2012年9月27日木曜日

398円の鉋



工房からの眺め
ここ1週間ほどでヒガンバナが
一気に咲き始めました




日中の日差しも和らぎ
猫も日光浴・・





仕事中に使っていた
3mm幅の平彫刻刀の刃が
根元から折れたので
仕方なく近所のホームセンターに行ってみました
目当てのものは何とか
1本置かれていて一安心
それを手にして、ふと下を見てみると
鉋が置かれていて、値段を見てみると
¥398というのが目に入りました
手に取ってみると
一枚刃の小鉋ですが
台は樫、刃口を見てみると
ちゃんと一枚刃用の形状に
作られています
これは試してみなければ・・
ということで買ってきました



身は全鋼で、グラインダーで火花を出してみると
炭素鋼系の火花が飛びました


こちらは裏ですが
このままではとても使える状態ではないので


裏を仕上げ


研ぎ上げました
動画参照ください


台は身を収める溝と削り面を少し
修正するだけで済みました
使ってみると驚き(動画参照
切れ味よく、永切れもします
台が薄く、やや持ちにくいですが
仕事でも充分に使えるレベルです


刃先が摩耗しやすい
スパニッシュ・セダーを荒削りしましたが
通常の鉋よりも永切れするくらいです


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以下、研ぎ動画の画像を
紹介しておきます

これは動画で最初に使っている
中研ぎ用砥石、シャプトン「刃の黒幕」#1000



次に丹波亀岡・岡花産の青砥(粒度約#1500)



そして仕上げ研ぎとして
京都新田産の戸前
これで充分仕上がっていますが



参考までに最後の鏡面仕上げを行いました
画像では違いがそれほど分かりません・・



2012年9月25日火曜日

今日の工房の様子


今日の作業の様子

横板の厚みを仕上げ、曲げた状態
この作業の前にはラプレヴォット・タイプの
ライニング(接着代(しろ))を仕上げ
現在水に浸けています




その後、作りかけていた(参照
自作のノミ(身幅4mm)を研ぎ上げ
柄を作りました






2012年9月19日水曜日

刀剣用砥石で青紙スーパー鋼の鉋身を研ぐ


前回紹介した刀剣用砥石を使い
今回は安来鋼・青紙スーパーの鉋身を
研いでみました(動画参照
以下その画像です


これは備水砥(粒度約#1000)
と思われる中砥

身幅は50mm

これは今回手に入れたものではありませんが
上の備水砥の傷を消すため使った
三河白名倉砥(粒度約#2000)


そしてこれは最初に紹介した画像中央の
三河細(こま)名倉砥

これはほとんど仕上砥といった感じです

そして仕上げ研ぎ
硬めの内曇(天井巣板)です


上とは別の角度で撮影すると
こうなります

2012年9月18日火曜日

刀剣用砥石で自作小刀を研ぐ

You TubeにUPした研ぎ動画
画像を紹介しておきます
研いでいる小刀は自作したもの(参照

今回新たに手に入れた
刀剣研ぎ用の砥石
手前から備水砥と思われるもの(粒度約#1000)
その上は三河細(こま)名倉砥
これは木工道具用の刃物を
研ぐことに関して言えば
ほとんど仕上砥という感じです
そして奥のものは内曇砥(天井巣板層)
これは堅めの巣板で
鋼はほぼ鏡面まで仕上がります
刀剣研ぎでは地鉄(じがね)を研ぐ
内曇地砥と思われます

それぞれ研ぎ面は刀剣研ぎ用に
四方に円く成形されていましたが
木工刃物を研ぐため
平面に修正しました

これは備水砥と思われる中砥の研ぎ傷

備水砥の後にいきなり細名倉では
備水砥の研ぎ傷を消すことは困難なので
三河中名倉(ボタン層と思われる)を当てました

そして今回手に入れた三河細名倉で研ぎます

そして内曇砥で仕上げ
刀剣の研ぎでは、この後
さらに硬い仕上砥を薄くスライスしたもので
磨き上げていきますが
木工用の刃物はこれで充分使えます

2012年9月13日木曜日

工房の様子 螺旋象嵌出来上がり


9日に紹介した特注トーレス・タイプの




サウンド・ホール縁飾りが
出来上がりました




こちらは同時製作中の
左は野村隆哉研究所に依頼し
燻煙化学処理してもらったもの
右は未処理のもの




こちらはメープルの裏板
左は1枚板で燻煙化学処理を施したもの
右は二枚接ぎ(はぎ)の未処理材


出来上がった時点で音が
どのように違うのか
興味が湧くところであります・・


マムシに咬まれた飼いネコのその後



マムシに咬まれた飼いネコ、ほぼ回復
まだちょと頬が腫れてますが元気になりました
写真後方の草むらは
いかにもマムシがいそうな雰囲気・・
念のためネコは繋いでおります


2012年9月12日水曜日

Antonius Stradivarius 作ギターの図面


9月17日に兵庫県西宮で行われる
西垣林太郎さんのレクチャーコンサート
使われる楽器のうち
ストラディバリ作ギターのコピー楽器(参照)の
図面をデジタル化したものはないか
という問い合わせがありましたので
Web上を探してみましたが
見当たりませんでした
この楽器のオリジナルが収蔵されている
とされるアシュモリアン博物館サイトでも
楽器の図面は販売されているものの
ストラド・ギターの図面のデジタル画像は
サムネールの小さなものしか見当たりません
そういうことなので、以下図面のコピーを
UPしておきたいと思います
原図は古い青焼きコピーなので
線が明瞭ではなく
この画像はそれをさらにコピーしたものです

右クリックで別画面で開くと
大きな画像を見ることができます



















2012年9月9日日曜日

特注トーレス・タイプの貝象嵌



製作中の特注トーレス・タイプの響板
これは20年ほど前に入手していたチェロ用材
燻煙化学処理してもらったものです
サウンドホール縁飾りには
螺旋模様を象嵌します
使う貝は白系のアワビ貝と
緑系のメキシコアワビ
これらは貼り合わせシートから切り出します


ヘッドには注文を下さった方
自らがデザインされた
虫喰いのある枯葉を象嵌します
なかなかおもしろいデザインです
使う貝は白系のアワビ貝と
緑系のメキシコアワビ
これらも貼り合わせシートから切り出します
もう一種、黄蝶貝は1枚もののシートです



こういうことをやっている間
飼いネコが7日の夜からずっと
プリンターを置いている台の下に
うづくまっていました
夕方、ごそごそと出てきた顔をみて大笑い
どうもマムシに咬まれたようで・・
以前、飼っていた小型犬が
マムシに咬まれたときと同じ症状です
この時は咬まれるところを目撃しましたが
今回は確かではありません
しかし、ほぼ間違いはないでしょう
以前獣医に訊ねたときには
犬や猫はマムシに咬まれても
まず死ぬことはない、ということだったので
今回もしばらく様子を見てみます
それほど深くは咬まれていないようなので
大丈夫でしょう
さっきエサを少し食べました・・


2012年9月5日水曜日

スプルースの光透過実験


いま製作中の2台のラプレヴォット・タイプ
響板に燻煙化学処理された
アルペン・スプルースと
未処理の同じ産地のスプルースを使っています

サウンドホールの縁飾りを入れる部分を
削り取ったところで、ふと
処理されたものと未処理のものの
光の透過具合はどうなのだろうかと思い
いい加減な実験ですが
ちょっと比べてみました
上の画像は右が30年ほど自然乾燥させたものを
燻煙化学処理してもらったもの
左は未処理のもので
20年ほど自然乾燥させています



心なしか右の処理されたものの方が
光の透過率が低いような気がします


溝を彫ったところはどちらも
厚みは2mmほどです





溝を彫っていないところは
どちらも現状の厚みは約3,2mm

こちらは未処理のもの


こちらは燻煙化学処理されたもの



これに、このような電球を当て


反対面から見ると
未処理のものはこのように透過します



そしてこちらは処理されたもの
やはり燻煙化学処理されたものの方が
光の透過率は低いようです

このような実験を思い立ったのは
ここ30年ほど150年以上経った古いギターを
かなりの数修理・修復してきましたが
響板に使われているスプルースは
ほとんど光を透過しないのです
それが何故なのか、そしてどれ位の年数で
透過しなくなるのか
ということを知りたいと
かねがね思っていたのです



そういうこともあり
25年ほど前にやってみたことのある
実験をもう一度やってみました
上のスプルースは30年ほど自然乾燥させた
アルペン・スプルースですが

このように光が透過します



これを家庭用アイロンの強(約190度)で



このような状態になるまで
両面から熱をかけてみました
時間にして片面2分ずつ、合計4分ほどです


やや透過率が下がったような感じです




これをさらに高い温度で
両面から少し焦がしてみました
時間は片面数秒です



そうすると焦げた部分は
ほとんど光を透過しなくなりました

これは木質部が炭化したためだろうと
思われますが、内部までは
影響は及んでいないようにも思えます

真相を知りたいところであります・・