2016年7月3日日曜日

二種類の備水砥と馬路山産合砥を使って幅広鑿を研ぐ

昨日YouTubeにUPした砥ぎ動画
画像を紹介しておきます

最初に使ったのは柔らかめの備水砥(熊本県産)
Soft Binsui




粒度は約800 Grit 800


次に硬め備水砥
Hard Binsui


粒度は約1200 Grit 1200


次からは仕上砥ぎですが
中継ぎとして使ったのは
柔らかめの産地不明の合砥
(おそらく京都・愛宕山産と思われます)
Unknown Awase-to Soft fine finishing stone 


これで充分仕事で使えますが


硬口の京都・馬路山産合砥で
最終仕上げを行いました
Hard finishing stone 馬路山Umajiyama



馬路山産の仕上砥は
硬口でも同じ山の大平産と比べると
地鉄が緻密に曇り、優れた内曇砥のように研ぎ上がります


5 件のコメント:

高口定雄 さんのコメント...

備水砥の採掘現場のことを勉強しようと思い、調べていたところ、次のような記事がホームページにアップされていました。すでにご承知かと思いますが、御参考まで。

http://www.kamiamakusa-life.jp/info/2015/05/post-25.html

高口定雄(茨城県日立市)

高口定雄 さんのコメント...

天草砥、備水砥の産出地を調べると、判然とせず、現状では備水砥の産地として、熊本県上天草市江樋戸 が判る程度です。素人には具体的なブランド名と産出場所が極めて判りづらい状況ですが、やむなしです。

弥生時代~古墳時代の天草では砥石産出していたかも。地名を頼りに探すと、天草市天草町下田北、下田南付近で、砥石を求めていたようです。

1.根拠となる地名

  熊本県天草市天草町下田北小字「黒辺」 ← 兵庫県篠山市にも「黒辺」地名あり。黒部に同一
           下田南小字「砥石」 ← 「砥石」地名が古代に遡る証拠はないが、砥石が産出されることの証拠

 天草町の高浜~下田南~下田北にかけて陶石に利用される陶土が産出されています。
産総研の地質図ナビを見ると、高浜~下田南~下田北の地質は「約1億年前~6500年前に海で形成された砂岩と泥岩が繰り返す地層」ということで、砂岩もあることから、砥石も産出可能な土地であることがわかります。

 陶土も、ケイ素(シリカ)が多いことから、玉作の磨きや、穴穿孔時の研磨剤としての使用も考えられます。


茨城県日立市諏訪町「黒目作」の隣は砥石山で砥石産出地
栃木県芳賀郡茂木町深沢の砥石産地近傍には、地名「クロカタ(黒方=黒部)
などの例に加えて、今回の天草砥でも「くろべ(黒部、黒辺)」地名が共出します。

ここ天草市から北上し、長崎県諫早市長野町「来比(くるび)」、宗方町「北船木、南船木」を目指したと想像しています。

地名で探る古代史を楽しんでいます。

高口定雄(茨城県日立市)



楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

いろいろとありがとうございます。
砥石産地と黒辺、興味深いですね。

九州も阿蘇や霧島など大きな火山があり、特に熊本の
マグマ・火山起因の鉱床は規模が大きいようです。
阿蘇鉱山は岩石から温泉中に溶出され、それが冷えて水底に沈殿して
できたものとされていますが、そのことと熊本県に弥生時代の鉄関連の遺跡が
多いこととは何か関係があるような気がします。

篠山では近年までマンガンが採掘されていたくらいですか・・
http://kdskenkyu.saloon.jp/pdf/dt21koz.pdf

それから、これは生物由来の湖沼鉄の生成の一因になりましょうか・・
http://jagh.jp/jp/g/activities/torikichi/faq/80.html
スカンジナビア半島ではこの他、圧倒的な量が存在したのでしょうね・・
スカンジナビアの湖沼鉄は形状により4種類ほどに大別されていたようで、
1・スラグのような塊で管状の孔が貫通している
  (日本の鈴、あるいは高師小僧と呼ばれるものに似ている)
2・クルミの実のような形状
3・あられ状
4・円盤状

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

古代製鉄物語では著者の浅井壮一郎氏は
スカンジナビア半島で採れる湖沼鉄には沼鉄鋼と湖鉄鋼が挙げられているが
その違いは起因する植物の違いだろうとし、
芝のように見える丈の短い水草にできる鉄鋼を沼鉄鋼、
葦のような丈の高い水草にできるものを湖鉄鋼というのではないか、としています。

高口定雄 さんのコメント...

沼鉄鋼と湖鉄鋼に違いがあるとは知りませんでした。
紹介いただいた資料等で、勉強させていただきます。
ありがとうございます。

高口定雄(茨城県日立市)