2013年3月17日日曜日

写実考


3月14日のブログ
画家・磯江毅氏のことを
述べましたが
それを読んで下さった方から
感想を頂きました

一昨年、奈良県で
開催された「磯江毅展」を 
ご覧になったということで
その感想と
1991年発刊の「月刊美術」誌
195号に掲載されている
磯江氏の文章を
紹介して下さったのです
こういったことは
大変ありがたく
この場にて改めて
御礼申し上げます
ご本人から了承を
頂きましたので
月刊美術の記事を
紹介しておきます

「リアリズムとは、
言うまでもなく
写実主義の事であり、
写実とは実を写すと書く。
そして実とは真実の
実であり、現実や果実の
実でもある。
実とは、肉眼を通じて
精神に映し通した像を
言うのだろうか。
 見つめれば、見つめる程、物の存在が切実に移り、
超現実まで
見えてくるがある。
そこまで実感し、
感動を起こす
精神の繊細さをもって
初めて実を写せるのでは
ないだろうか。
習い覚え、慣れ親しんだ
テクニックだけに頼って
機械的に描かれた画面に、
実が宿るはずがない。」

「日常生活の中で
見慣れた物でも、
見れば見る程、
その本来の用途や
目的を忘れさせ、
初めて接する物の様に
思えてくる事もある。
その時の視覚や感覚が
先入観や観念を追いはらい、
新たに個人的な関わりを
持ち始めてしまう
からかもしれない。
当たり前の物でも、
あえてこだわれば、もう当たり前でなくなってしまう。
そこで初めてリアリティに
触れたと言えるのでは
ないだろうか。」

14日に述べた私の戸惑いの
原因はここのところに
ありそうですね・・

ですが、手許にある
柿崎亨氏の絵は
磯江氏の絵ほど細密には
描かれていませんが
私はこちらの絵の方に
物の存在の本質を
感じるのです
それと同時に作家の
個性も感じる

磯江氏の絵には
物の本質というよりも
作家の本質が
濃密に込められている
と私には感じるのですが
なのに、作家の個性は
感じないのです
これは不思議な感覚です・・
このことを認識できたことは大きな収穫で
紹介頂いた磯江氏の
文章(言葉)を受けなければ
このことには気付かなかったかもしれません
絵というものは
ほんとうに不思議です・・
そして、そのことを言葉で
表現するということの
難しさ、もどかしさも
痛感するのです・・

そういうこともあり、
写実についてもう少し
知りたいので

森本草介氏の画集を
注文したのでありました・・

2013年3月14日木曜日

磯江毅氏の絵


画家・柿崎亨氏がブログで言及されていた
磯江毅氏の画集を入手
それに目を通して3日目・・まだ掴めない・・
掴めないのは自分自身の戸惑い・・の原因・・
物の存在の不思議、そしてそれを描くということの不思議・・
それには、以前HPの「芸術について」で書いたこと(参照)を
もっと深く掴むことができるかもしれない
という期待も含まれている
それには、もっと磯江氏の画集と対峙する時間を
増やすしかないのかもしれません

板の樹種と材質まで分かるというのは凄い・・



こうして見ていると、物の存在の奥の奥まで
描かれているような気がする・・
それに加え、他者を寄せ付けないような厳しさを感じます
梶井基次郎の「桜の樹の下には屍体が埋まっている」
というような、鋭い感受性も伝わってきます
見ることを強いられて、こちらの見方を
観察されているようでもある・・

不思議な存在感の絵であります・・

最近入手した本


江戸時代の徒弟制度についてちょっと調べているので

松翁道話(しょうおう みちのはなし)を入手


これは一口で言えば、道徳に関する逸話集


道徳なんて古臭いでしょうか・・
しかし、今の時代こそ道徳について深く考えてみる
必要があるのではないでしょうか・・

数年前、私はこんな経験をしました・・

とある芸大に行った際、バスを降りたらにわか雨が降ってきた
コンビニがあったので私はそこで傘を買い大学へ向かった
構内に入り、指定されていた部屋へ入るため
傘立てに傘を入れ室内に入った
10分ほど雑談をして目的の所へ案内されたので部屋を出たのだが
さっき入れた傘がもう無くなっていた・・
人を感動させるための芸道を修めている者が
簡単に人のものを盗む・・これで芸術大学・・?




この2冊は昔の中国に関するもの
天工開物貞観政要(じょうがん せいよう)


昔の中国は尊敬されていたのに
いつから今のようになってしまったのか・・
これも道徳の欠如としか思えない
孔子や孟子が道徳について説いたのは中国ではなかったのか・・


2013年3月11日月曜日

粉末ハイス鉋


本黒檀削りに使うハイス(HSS)鉋(参照
ここ数年間新たに入手したものが永切れしてくれないので
粉末ハイス(powder metal high speed steel)
のものを使ってみることにしました

価格は通常のハイス鉋の2倍だが
背に腹は代えられない・・身幅は50mm


刃を研ぎ上げ、刃口にステレンレスを埋め出来上がり・・
ついでに先般手に入れた四方反り鉋の刃口にも埋めました
使ってみた感想は仕事で指板を削った際にでも報告します