2013年2月16日土曜日

クラシックギター展&コンサートの様子


2013年2月9日~10日
大阪府茨木市立生涯学習センターきらめき
で開催されたクラシックギター展&コンサートの様子を
少し紹介しておきます

会場入り口



初日の9日は「きらめきホール」で楽器の展示が行われました






2日目の10日は1階の工作室で






1階エントランスではランチタイム・コンサートが企画され
地元のギター愛好家の方々による合奏も披露されました



地元茨木市のギタリスト藤村良氏と


遠く茨城県から駆け付けてくれた大島直氏による
展示楽器の弾き比べも行われた



両日に渡って行われた製作家・丸山利仁氏による
ギター製作のレクチャーも内容の濃いもので
参加者の熱い視線を集めていました


手持ちのデジタル・カメラで動画撮影しましたが
離れていたため、音の入りが悪く失敗・・
一部YouTubeに限定公開しておきます




レクチャーでは丸山氏製作の3台のギターも展示され
ギタリストによる弾き比べも行われました


こういった試みは製作家にとってたいへん有意義です
引き受けて下さったギタリストに感謝です




展示楽器の弾き比べコンサートは
2月10日に3部構成で行われた
写真左から本郷道太氏、寺町誠氏、私、井内耕二氏、丸山利仁



ギタリスト北口功氏は製作家一人一人に
インタビューも行うという八面六臂の活躍
左から二番目は地元茨木市在住の製作家・福田寛紀



18名の製作家のギター18台に
バルベロ・イーホ、A・フェルナンデス、H・ハウザーを加え
合計21台のギターで2曲ずつ演奏するという
離れ業を北口氏は難なくやってのけられた・・

演奏曲目に同じ曲はなく、42曲をすべて暗譜で

しかもほとんどノーミスで演奏・・プロ演奏家の凄さを実感・・



私は19世紀ギターのLaprevotteタイプを弾いてもらいました
唯一小さなボディの楽器だったため
演奏家にとっては酷なことだったと思いますが
快く引き受けて下さった北口氏に改めて感謝します







2013年2月15日金曜日

工房の様子



製作中の2台のLacoteタイプ
ネックとヘッドのジョイントを仕上げました

この後ネックを仕上げ、Ebonyのベニヤを巻き付けます
黒檀のベニヤ(厚さ0,5mm)は2日ほど水に浸けてから接着します







会津鉋 重勝銘の四方反り鉋を入手

古い会津鉋、重勝銘の四方反り鉋を手に入れました
身幅は32mm





錆がかなりひどい状態でしたが





裏を仕上げ、研ぎ上げてみました


刃の部分をグラインダーにかけてみると
炭素鋼系ですが、部分的に火花の飛び方が違います
玉鋼のように純度の高い鋼ではなく
卸し鉄のようなものが使われているのでしょうか・・
加えて、焼きがほとんど入っておらず
このままでは使える状態ではありません
後日、焼き入れをやり直すことにします

2013年2月13日水曜日

国弘鉋を入手


昔の職人さんが使っていた古い鉋を手に入れました

銘は国弘の寸八
裏出しを試みましたが
強靭でほとんど出すことが
出来ませんでした
これ以上やると
地鉄(じがね)がやられて
しまうので断念・・

この鉋身は刃角度が30度ほどで研がれていたので
研ぎ面全体をグラインダーで約28度に修正しました

研いでみると硬い研ぎ感で
焼きが入り過ぎているのでは・・と不安がよぎりました
研ぎ上げてみると案の定、刃先はこのように荒れていて
これではちょっと仕事では使えません・・

台は古い状態のものを全体に表面を削り



刃口を補修しました

セドロ材を削ってみましたが削り肌が荒れています

そういうことなので
焼き戻しを行いました
今回は約190度で
40分ほど行いましたが
改善されなかったので

石油ストーブに乗せて
焼き戻しました
温度は250度ほどになっていた感じです・・

これで改善されました
研ぎ感に硬さごまだ
残っているので
かなり強靭な鋼と思われます

鉋屑にも艶が出ました

削り肌も滑らかになり
これで仕事で使える
レベルになりました

2013年2月8日金曜日

小熊・廣貞と東廣貞削り比べ

小熊・廣貞の寸六鉋身を手に入れていましたが
同じ作者が打ったと思われる裏金が見つかったので取り寄せてみました

裏金の幅と身の幅はピッタリ合いました





そういうことなので二枚刃鉋として台を作ることにしました






手前が台に収めた小熊・廣貞(鋼は東郷鋼と思われます)


奥は東廣貞(鋼は安来(やすぎ)鋼・青紙)


この二丁で削り比べをやってみました
動画参照ください



動画で削った板は製作中のBox-harpの
響板にするヨーロッパ・スプルースとインド産ローズウッドです
上の画像は小熊・廣貞寸六
寸六といっても身幅は68mmあります
現在では寸八は身幅70mm~72mm、寸六が65mmが一般的ですので
そのちょうど中間サイズということになります



こちらは東廣貞寸八(身幅70mm)
動画では最初に小熊・廣貞を使いましたが
スプルースを含め、削る音の違いがお分りだと思います
削った手応えもずいぶん違った感じを受けました
刃角度は小熊・廣貞が約27度で東廣貞が約29度
削った印象は刃角度29度の東廣貞の方が軽く感じました
小熊・廣貞は東郷鋼独特の粘りを感じます



削り肌はどちらも同様で、荒削りでも逆目はほとんど止まっています




動画を撮り終えた時点での刃先の状態も
どちらも同様で、まだまだ切れは止んでいません






左端はBox-ハープのミディアム・サイズの響板で
野村隆哉研究所で熱化学処理してもらったものです

右の2枚は大型サイズの響板(未処理)と裏板ですが
これは左利き用として作っていきます


2013年2月6日水曜日

長光銘寸八鉋を仕事で使ってみました


長光銘鉋身寸八、二枚のうち一枚を
一枚刃鉋に仕立て、仕事で使ってみました
刃角度は約28度







まずセドロを削ってみました
動画参照ください


切れは軽く、削り肌に問題はありません


セドロは刃先が摩耗しやすいのですが
荒削りから中削りをかなりの量やりましたが
刃先はまだまだ大丈夫です


刃を研ぎ直して、今度はBoxハープの響板にする
ヨーロッパ産スプルースを仕上げてみました
動画UPしました


長光の本領発揮といったところか・・




これも美しい削り肌を得ることができました


動画撮影後、そのままの状態でさらにセドロ材を
かなりの量を荒削りしましたが、まだ切れは止んでいません
充分永切れしてくれます
刃先の摩耗の仕方も全体が均一に摩耗しています


これは古い安来鋼・青紙が使われた
千代正銘の寸八鉋ですが
仕上げにちょっと使っただけで
ここまで摩耗し、部分的に細かく刃こぼれが見られます
ですが、セドロ材を削るとほとんどの鉋はこうなってしまうのです