ギターの丸いサウンドホールを切り抜いたり
縁飾りを嵌め込むための溝を切るための
サークルカッターはどのようなものを
使っているのかという
問い合わせがありましたので
これは30年以上使っているもので
ギター製作をやり始めたときに
最初に手に入れたものです
手で回すものを繰子錐(クリコキリ)
あるいはクリックボール(商品名)
今でもホームセンターなどで売られています
センターと刃部は自分で加工し直しました
右はサウンド・ホールを切り抜く刃
左は縁飾りの溝切り用とした刃です
因みに、これはパフリング・カッターとして
足の片側を短くし、もう一方を刃にしました
パフリングの位置をこれで軽く傷を付け
彫刻刀(印刀)で切り込みを入れています
これまで自作した専用ケビキや
使ってみましたが、どうも使いにくいので
今はこれを使っています
もう20年ほどこれでやっています
今日の工房の様子
ラプレヴォット・タイプはニス塗りを終え
乾かしているところです
奥に吊るされているスプルースは
次に製作する特注トーレス・タイプと
ラプレヴォット・タイプに使うもの
ラプレヴォット・タイプの響板と横板
右のローズウッドはトーレス・タイプに使うもの
これは次に製作する
ラプレヴォット・タイプの裏板
10年ほど使った小刀
刃が短くなると柄を鉛筆のように削ってきた
これで1cmほど短くなっている
この身は30年ほど前に
ある刀匠に打ってもらったもの
5本打ってもらったが
すべて切れが悪かったので
自分で焼き入れ・焼き戻しをし直した
3本はどのようにしても改善されず
使えるのは2本だけでした・・
これはそのうちの1本
平造りの方を研ぎ上げてみましたが
約170度、1時間焼戻しでは
刃こぼれがひどい状態でした
鋼は安来鋼(やすぎはがね)白紙1号
再度、約190度で1時間焼戻し
まだ刃こぼれが目立ちます
そういうことなので
今度はガスコンロで上の状態になるまで熱し
戻してみました
これで刃こぼれがなくなりました
ですが、結果的にこの前の状態が
最も切れ味が軽かったような気がします・・
刃物というのは不思議です・・
同じ鋼材から切り出した二本を
同様に焼戻しを行い
刃角度を約25度に修正しました
左は片切刃、右は平造り
刃角度を25度まで低くすると
身の厚みとの関係で
研ぎ面が広くなりすぎたので
右の平造りは鵜の首になっていますが
左の片切刃は半面だけが鵜の首状です
これで研ぎ面の面積が狭くなったので
研ぎ易くなりました
鋼材から切り出した様子
焼き入れの準備を終え
先ほど焼き入れを行いました
焼き入れ後の状態
焼き入れ前に刃物に焼刃土などは
塗りませんでした
ただいま焼き戻し中・・
オーブントースターを使う場合もあります
焼き戻しを終えた一枚を
荒研ぎしてみたが
焼き戻しが足りないという
判定が下りました
現在、再度焼き戻し中・・
玉鋼の小刀を仕上げました
日本刀の平造り短刀のように
両側から内側に反っているもので
ギター製作用として重宝するのです
このような小刀は市販されていないので
この小刀の良さを
少しでも知ってもらえたらと思い
藤井刀匠に2点新たに打ってもらったのです
これはまだ研ぎの途中で
これから最後の仕上研ぎを行います
これは昨日、焼き戻しをして
試し研ぎをした状態で削ってみたものです
玉鋼の小刀は切れが軽く、永切れします
青紙や白紙の鋼の小刀と削り比べを
やってみましたが、やはり玉鋼には
切れの軽さがありました
研ぎ上がった刃先の状態
本の整理をしていたら
画家・竹内絹さんの本が現れた・・
2007年付けの手紙が添えてある
竹内さんとはもうずいぶん前
20年ほど前になるのか
知り合ったのだったか・・
たぶんそうだったと記憶している
たしか神戸でやった私の楽器製作展に
来てくれたのでした
その後、近藤さんの作品展の会場に行くと
必ずと言っていいほど竹内さんと顔を合わせた
関東に住んでおられる竹内さんが
関西でやっている近藤さんの
作品展会場に足を運ばれているその時に
こちらがその会場に赴く・・
そんな偶然が重なったので
竹内さんも私のことを気にかけてくれていて
それで本を出版されたときに
私にも送って下さったのだと思う・・
この本は、大正八年生まれの竹内さんが
喜寿(八十八歳)のときに出されたもの
本を頂いたお礼に
自作の勾玉をお送りしたら
いたく喜んで下さって
丁寧な礼状を頂いた・・
今はどうされているのかは
近藤さんからも聞かないが
天衣無縫な絹さんのこと
風のようにあちらこちらに赴き
笑顔を振り撒いておられるに違いない
銑せんという古い道具を手に入れました
重春という銘が刻まれています
打たれたものだと思われます
会津の桶作りの道具として
地・刃ともに健全で
研ぎ直せばまだまだ使えるでしょう
しかし、私は銑として使うことはない・・
刃の長さは24,5cm、身の幅は4cm強
厚みは4mmはある
これだけあれば小刀や小鉋身が
多く取れるだろう・・
歴史的資料として残しておくべきか・・
悩むところであります・・
堤章著「会津の刃物鍛冶」によると
重春銘について、このように説明されています
のように刻まれていますが
これは明治以降の近代会津刃物鍛冶の
先駆者とされる重房銘の刀工であった
若林安右衛門の長男安左衛門の
流れだということです
一方、本来の「重」の字を刻んだのは
若林安右衛門の二男猪之吉の流れだそうです
昨日仕上げた鉋身には
台も付いていましたが
かなりひどい状態だったので
長さを短くして
なんとか身を収めました
ちょっと頭デッカチになってしまったが・・
刃口も補修したので
これで一応削ることができそうです
ギター用ヨーロッパ・スプルースを
削ってみましたが
パサパサの削り屑で艶がありません
削り肌はそれほどひどくありませんが
刃こぼれの痕が残っています
拡大した刃先はムラがあり
部分的に刃こぼれがあります
約180度で1時間焼き戻しをしてみました
研ぎ直した状態
刃先が精緻になり
刃こぼれもなくなっています
削った手応えも軽くなり
削り屑に艶があります
削り肌も滑らかになりました
これで仕事に使える状態になりました