10月10日に少し紹介したように
現在主力で使っている9mm幅の小刀が
最後の1本になっているので
次のものを準備しておこうと探しているのですが
なかなか切れが軽いものと出合えません
今回手に入れたものは有名な作者のもので
鋼にスウェーデン鋼が使われたもの
スウェーデン鋼は切れが軽いので
期待したのですが・・
身幅が21mmあるので半分に切れば
9mm幅が2本取ることができます
地鉄の柔らかい部分を金切鋸で切り
鋼部分は金槌で叩けば
このように鋼は割れます
白いところが割れた鋼部分
上の画像左の1本を研ぎ上げて
粘りの強いメープル材を使ってみましたが
切れが重い・・
柔らかめのスパニッシュ・セダーも重い切れです
楽器の響板に使うヨーロッパ・スプルース
これも柔らかい材ですがダメ
柔らかい木ほど切れが重い、という
切れない刃物の典型的な様相を呈しています
そういうことなので焼き戻してみることにしました
180度で1時間の焼き戻しを行いましたが(参照)
ほとんど切れは変わらず、重いままです
刃先を確認してみると細かな乱れがあります
これが原因でしょうか・・
今度は温度をかなり高めてみました
(鋼の色と温度についてはこちらを参照下さい)
刃物としてギリギリの焼き戻し温度だと思います
小刀でしたらこれくらいでも大丈夫ですが
鉋でしたら甘すぎておそらく使えないでしょう
刃先にやや乱れは見られますが
以前よりは精緻な感じです
削ってみるとかなり切れは軽くなっていました
これだったら何とか仕事で使えるレベルです
一方、こちらの方は
高温の焼き戻しでも
このように刃先が欠け、改善されませんでした
今度は焼きが入るギリギリの温度で
焼き入れをやり直し、焼き戻しは行いませんでした
これでなんとかいけそうですが
試し削りではもう一方のものよりも
やや切れは重い感じです・・
ですが、これも何とか仕事では使えるでしょう
以上、新たに手に入れたスウェーデン鋼の小刀の顛末でした・・
はじめまして。
返信削除スウェーデン鋼もピンキリの様ですね...
以前KRONというスウェーデン鋼の2722鋼(SKH51相当)と思われるマシンソー刃からベタ裏片刃切出し小刀を製作したのですが、
SKH51と比べると砥石の食い付きが些か良く歯欠けもせず永切れしたので
スウェーデン鋼には良い印象を持っていたのですが、中々様々有るようですね。勉強になります。
刃欠けしやすい刃物が焼戻しで良い塩梅に仕上がると嬉しくなっちゃいます。
コメントありがとうございます。
返信削除昔の職人さんは生反り小刀などは
自分で好みの反りをつけて、
焼き入れも自分でやっていたそうです。
ですから、焼き入れ、焼き戻しの操作で
切れ味が変わることも当然熟知していたものと思われます。
https://kiyond.blogspot.com/2014/07/blog-post_30.html