2023年4月28日金曜日

小林秀雄の赤岳 そして有元利夫の版画


久しぶりに
小林秀雄の本を眺めていて
ドキリとした
以下、その文
「八ヶ嶽の山頂は、初雪で真っ白であった。その日は夏沢温泉まで行って一泊する積りでいたが、つい暢気な歩き方をして、意外に時間を費し、夏沢近くなって、近道をしようと本道を離れた。やがて雪は小径を消し去り、登るにつれて深くなる。夕闇は迫って来る。恐らく近道は失敗らしい。引返すのも業腹で、熊笹の中を、ガサガサと一直線に登って行くと、熊笹の中からポッカリ浮び上るやうな具合に、突然、噴火口の縁に出た。誰も予期していなかった突発事件にでも出会ったやうに、不意に足下に現れた雪で化粧した、すさまじい急斜面を見下し、一同息を呑んで、立竦んだが、真っ白な火口の正面には、三角形の赤嶽が、折からの夕陽を受け、文字通り満身に血潮を浴びた姿で、まるで何かが化けて出たやうに、ヌッと立っていた。口を利くものはなかった。お互に顔を見合せ、めいめいが、相手の顔に自分の蒼くなった顔を感じた。」
上の写真は赤嶽だが
小林秀雄が体験した
雪の噴火口の際から眺めた
夕陽で染まった真っ赤な
赤嶽は、写真では無理で
誰か絵に描いていないか
と、数日いろいろと
探していたが
見つからなかった
そうしたところ
本棚の奥の方に有元利夫の
画集が目に入り
パラパラとめくってみたら
あった

これがそれ
赤嶽を表現したものではなく
また、版画なので
色は付けられていないが
これを赤く画像処理したら
よりそれらしく見えるのでは
ないか、と、
やってみたのが

これ

こんな雰囲気もある
これも有元利夫の作品
タイトルは出現

これは有元容子さんの作品
山の色は違うが
同様の雰囲気がある

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