2009年11月5日木曜日

青山文庫と香道資料

篠山鳳鳴高校内にある青山記念文庫の閲覧に行ってきました。知人の知り合いに香道を教えている人がいて、その人から、青山記念文庫には香道に関する貴重な資料が保管されているので、ぜひそれを見たいと頼まれたということで、こちらに問い合わせがあったのです。
ところが、こちらは恥ずかしながらそういう事は全く知らなかったのです。それで、どんなものか知っておく必要を感じ足を運んだのでありました。
鳳鳴高校内に備えられている書庫は、大型金庫のような扉が取り付けられ、空調のよく効いた立派なものでした。所蔵品の目録も備えられていたので、それを手がかりに
香道に関する資料というものをなんとか探し出しましたが、一箱にまとめて納められたその資料は、和綴じ本で47冊ほどありました。すべてに目を通すことはできませんでしたが、その中で私が興味深かったのは、香道でも歌合(うたあわせ)のように香合(こうあわせ)をやっていたということです。以前、こちらのHPで琵琶合のことを紹介したことがありますが、それと同じことを香道でもやっていたのですね。
これは知りませんでした。
また、源氏香というもの(参照)では、五種類の香が用いられるようですが、これは日本刀の鑑賞で入札鑑定をする場合に五振りの刀が用いられるのと共通していて(参照)、
興味深く感じたのでありました。これは中国の陰陽五行説の影響だと思われますが、下に紹介した本でも中国風の挿絵が随所に見られます。
それだけ、当時幕府が推奨していた儒教の影響が大きかったのだと思いますが、それに警鐘を鳴らしたのが本居宣長だったのであります(参照・九段目)。

参考までに、これは私が所蔵している江戸時代中頃に出版された和綴じ本から引用したものです。この挿絵は、女性のたしなみとして必要な女十芸の内の一つ、「香をきく(鼻偏に香)」という説明図です。この本は明和九年(1772年)に京都で出版されたもので、香道が流行していた当時、裕福な町人の女性のたしなみの一つに入れられるほどだったようです。
因みに他の九つには、「女の道を学ぶ」、「糸を紡ぐ」、
「織りと縫物」、「手習い(習字)と文を読むこと」、
「味(あじわい)を調う(ととのう)こと」、「秤目とそろばん」、
「歌(和歌)を詠む」、「琴を弾(しらぶる)」、そして「双六(すごろく)を打つ」とあります。




最後に同書に載せられている
源氏香の柄の着物を紹介しておきます

この柄の着物は現在でもあるということです


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