撥弦楽器製作家・田中清人の仕事、 趣味に関するブログ
ユーチューブをまとめてみました。鉋からサウンドホール切抜きまで。ウ・ウ・・流石・・・手作業の極致素朴な質問ですが、三つほど教えてください。1)鉋 最後に片手で軽く前後させる理由?2)響板研磨 逆目はないのですか?3)鉋研磨総仕上げ ピカピカに仕上げたその後に最終研磨したら刃が薄曇り になるのは? 源 信正
ご覧いただき、ありがとうございます。響板は中央で接ぎ合わせていますので、そこが逆目になりやすいです。それから、広い板なので場所によっては逆目が交じっています。ですから鉋の刃口はできるだけ狭くし押え刃もかなり利かせています。鉋刃の研ぎで最後に片手で研ぐのは、両手で保持すると刃と直角に研ぎにくいためです。鏡面仕上げをしないときでも最後の仕上はこうします。刃と直角に砥石の傷を付けると、顕微鏡レベルでは刃先が鋸状にギザギザになっています。経験上このような研ぎ上げの方が永切れするのです。それに加え、片手で研ぐとやや刃先が日本刀で言う蛤(はまぐり)刃になります。そうするとはやり永切れします。ただ、鉋刃は台に固定されていますので、日本刀のような蛤刃にすると削れにくくなりますので、ごくわずかな蛤刃にします。
片手で直角研ぎをすると刃が曇るのはその部分の砥石の傷の付き方が違うためだと思われます。それと、軽く研いでいるので砥石の粒度の違いや埃が原因で「ひけ傷」になっている場合もあるのではないかと思います。日本刀に「ひけ傷」が入るのと同じだと思われます。
丁寧な解説ありがとうございます。よくわかりました。あとふたつ教えてください。1)研磨をするとき、砥石の新しい面で研ぐのか、砥くそ で研ぐのかということです。2)刀剣の研磨の説明でよく刀身に体重をかけ、熱くなるくらいに渾身の力をこめて研磨するとの説明があります。小野光敬先生のDVDを見てて砥石にあたるコトコト言う音を聞いていても確かにそうだと思います。しかし、私が手に入れられるクラスの砥石では柔らかすぎて、そこまで、力をこめて研磨できないと思い、むしろ、砥石と刃物があたり、擦れる感触がわかる程度の軽い力しか入れてません。これでいいのでしょうか? 源 信正
私は砥石の新しい面で研いでいます。中砥にしても仕上げ砥にしても泥状の研ぎ汁が多いと刃物が滑って研ぎにくく好きではありません。日本刀の研ぎでは青砥は使わないでしょうが、木工用の刃物は中砥として青砥が一般的に使われていました。ですが、青砥は砥泥が多く出るので私は嫌いです。仕上げ砥でも刃物が滑るほど多く砥泥が出るものは私は使いません。特に仕上げ砥のときは、刃物と砥石の接触している感じを体感しながら研ぐので、多い砥泥は邪魔になります。木工用刃物を研ぐときには力をできるだけ抜いて研ぐと説明されている技法書もありますが、これは時と場合によって使い分ける必要があります。私は、中研ぎは砥石が勝手に研いでくれるのであまり体重をかけずに研ぎますが、中継ぎの仕上研ぎ(曇砥)の場合は、小野光敬氏のようにかなり体重をかけて研ぎます。そうしなければ中砥の傷はなかなか消えるものではありません。刀剣研ぎの姿勢を見ても、研いでいる刀に全体重をかけることができる体勢だと思います。それを立ち研ぎのときにできるように、動画の「その1」で説明している雀足(じゃんそく)を使うことを思い付いたのは10年ほど前に古武術家の甲野善紀氏の本を読んだときでした。膝の力を抜いた雀足は「鉋かけ」「鋸使い」のときなど木工の仕事に多く応用できます。それを使うと体の負担も少なく、正確な仕事ができるのです。篠山刀剣会の研ぎ師の杉原氏は、内曇り砥のいいものは硬くても反応がよく、砥石の減りも少ないと言っていました。
早速のご回答ありがとうございます。やっと納得のいく答えがみつかりました。前に床屋さんの砥石をお借りして刃物に当てたとき、こんな硬い砥石があるものだと感じると同時に、マダマダ使いこなせないとも感じました。一年ほど前にエビ印の超セラミック砥石なるものを購入しました。水をかけて刃物を当ててみると、砥泥が山ほどでてきて、メーカーに不良品ではないかと問い合わせると、チラシが送ってきました。説明によると、水をかけると、結合材を軟化させ切れ刃を順次析出させ・・・・と書いてある。そんなものかと、かける水を減らしたりなど、何度か使って見たが、駄目で今は奥にしまってます。究極の砥石と研磨への道はまだまだ遠いと思いました。 源 信正
ユーチューブをまとめてみました。
返信削除鉋からサウンドホール切抜きまで。
ウ・ウ・・流石・・・手作業の極致
素朴な質問ですが、三つほど教えてください。
1)鉋
最後に片手で軽く前後させる理由?
2)響板研磨
逆目はないのですか?
3)鉋研磨総仕上げ
ピカピカに仕上げたその後に最終研磨したら刃が薄曇り になるのは?
源 信正
ご覧いただき、ありがとうございます。
返信削除響板は中央で接ぎ合わせていますので、
そこが逆目になりやすいです。
それから、広い板なので場所によっては
逆目が交じっています。
ですから鉋の刃口はできるだけ狭くし
押え刃もかなり利かせています。
鉋刃の研ぎで最後に片手で研ぐのは、
両手で保持すると刃と直角に研ぎにくいためです。
鏡面仕上げをしないときでも最後の仕上はこうします。
刃と直角に砥石の傷を付けると、顕微鏡レベルでは
刃先が鋸状にギザギザになっています。
経験上このような研ぎ上げの方が永切れするのです。
それに加え、片手で研ぐとやや刃先が日本刀で言う
蛤(はまぐり)刃になります。
そうするとはやり永切れします。
ただ、鉋刃は台に固定されていますので、
日本刀のような蛤刃にすると削れにくくなりますので、
ごくわずかな蛤刃にします。
片手で直角研ぎをすると刃が曇るのは
返信削除その部分の砥石の傷の付き方が違うためだと思われます。
それと、軽く研いでいるので砥石の粒度の違いや埃が
原因で「ひけ傷」になっている場合もあるのではないかと思います。
日本刀に「ひけ傷」が入るのと同じだと思われます。
丁寧な解説ありがとうございます。よくわかりました。
返信削除あとふたつ教えてください。
1)研磨をするとき、砥石の新しい面で研ぐのか、砥くそ で研ぐのかということです。
2)刀剣の研磨の説明でよく刀身に体重をかけ、熱くなるくらいに渾身の力をこめて研磨するとの説明があります。
小野光敬先生のDVDを見てて砥石にあたるコトコト言う音を聞いていても確かにそうだと思います。
しかし、私が手に入れられるクラスの砥石では柔らかすぎて、そこまで、力をこめて研磨できないと思い、むしろ、砥石と刃物があたり、擦れる感触がわかる程度の軽い力しか入れてません。これでいいのでしょうか?
源 信正
私は砥石の新しい面で研いでいます。
返信削除中砥にしても仕上げ砥にしても
泥状の研ぎ汁が多いと刃物が滑って研ぎにくく
好きではありません。
日本刀の研ぎでは青砥は使わないでしょうが、
木工用の刃物は中砥として青砥が一般的に使われていました。
ですが、青砥は砥泥が多く出るので私は嫌いです。
仕上げ砥でも刃物が滑るほど多く砥泥が出るものは
私は使いません。
特に仕上げ砥のときは、刃物と砥石の接触している感じを
体感しながら研ぐので、多い砥泥は邪魔になります。
木工用刃物を研ぐときには力をできるだけ抜いて研ぐ
と説明されている技法書もありますが、
これは時と場合によって使い分ける必要があります。
私は、中研ぎは砥石が勝手に研いでくれるので
あまり体重をかけずに研ぎますが、
中継ぎの仕上研ぎ(曇砥)の場合は、小野光敬氏のように
かなり体重をかけて研ぎます。
そうしなければ中砥の傷はなかなか消えるものではありません。
刀剣研ぎの姿勢を見ても、研いでいる刀に全体重を
かけることができる体勢だと思います。
それを立ち研ぎのときにできるように、動画の「その1」で
説明している雀足(じゃんそく)を使うことを思い付いたのは
10年ほど前に古武術家の甲野善紀氏の本を読んだときでした。
膝の力を抜いた雀足は「鉋かけ」「鋸使い」のときなど
木工の仕事に多く応用できます。
それを使うと体の負担も少なく、正確な仕事ができるのです。
篠山刀剣会の研ぎ師の杉原氏は、内曇り砥のいいものは
硬くても反応がよく、砥石の減りも少ないと言っていました。
早速のご回答ありがとうございます。
返信削除やっと納得のいく答えがみつかりました。
前に床屋さんの砥石をお借りして刃物に当てたとき、こんな硬い砥石があるものだと感じると同時に、マダマダ使いこなせないとも感じました。
一年ほど前にエビ印の超セラミック砥石なるものを購入しました。
水をかけて刃物を当ててみると、砥泥が山ほどでてきて、メーカーに不良品ではないかと問い合わせると、チラシが送ってきました。
説明によると、水をかけると、結合材を軟化させ切れ刃を順次析出させ・・・・と書いてある。
そんなものかと、かける水を減らしたりなど、何度か使って見たが、駄目で今は奥にしまってます。
究極の砥石と研磨への道はまだまだ遠いと思いました。
源 信正