2015年2月14日土曜日

関東産天然砥石 深沢青砥 赤沢仕上砥

 関東方面の天然砥石を調査していらっしゃるTさんから
近況報告を頂きました

今回は八溝山地の南部地域に行かれたそうです

まず行かれたのは
大泉砥(別名 荒内砥)の
採掘地である堤上と大泉
堤上では最後まで
商売をしておられた
I氏宅を訪ね
貴重な最後の一本を見せて
もらったということです

次に訪ねた大泉のT氏宅に
保管されていた大泉砥

これは大泉砥の原石
その後、少し離れた
栃木県深沢のN氏宅を
訪ねたそうです
先々代は京都亀岡出身で
この地に良い砥石があると
聞いて採掘を
始めたということです
家の裏山が荒内山という
ことから「荒内砥」の名が
付いたそうで
こういった話はたいへん
貴重です
また、三谷と大泉で採れた
砥石は性質が違うそうで
ここではNさんの他に
下館の人も掘っていた
ということです
Nさんのところでは
山からレールで下ろし
家で電動鋸で加工
また佐渡や福島の砥石原石を
貨車で運んで、ここで加工し
東京に販売していたそうです


そしてこちらは
旧七会村上赤沢の
仕上げ砥石





ありがたいことに
これらの砥石を送って
下さいました
以下、その試し研ぎの様子です
YouTubeに動画をUP
しておりますので参照下さい

この動画は途中でカメラの
バッテリーが消耗し
最後の部分が途中で
切れてしまいました
お詫びいたします

動画で最初に使ったのは
上の画像の左端の中砥
栃木県茂木町
深沢産の青砥です
 

以前紹介した大泉砥とされる
中砥によく似ています
おそらく同じ産地の
ものでしょう
ということは
左のものは大泉砥ではなく
深沢産青砥ということに
なりますか・・

研いだ感じや

研ぎ上がりもよく似ています
粒度はやや粗めですが
(600番程度)
砥目がよく揃っていて
ひどい針気もないので
優秀な中砥と言えます

動画で次に使った砥石は
上の画像の左から2番目の
深沢産の中砥

これも同様のものです


研いだ感じや

研ぎ上がりも同様です

次に、これも深沢産
ということですが
上の2丁とは質感
色あいが違います

画像では丹波産の
青砥のようにも見えますが
質感は明らかに違い
粒度も粗く見えます

ところが研いでみると
見た目よりも緻密で

傷が浅く、鋼は研ぎ傷が
見えないほどに
研ぎ上がります
これには驚きました・・

次も同じ深沢砥ですが
これは研ぎ面が
板目になっているものです

柾目面の厚みがないので
このように板目を
研ぎ面にした
ということです

動画では砥汁がほとんど
出ていませんが
研ぎ応えはありました

以前紹介したことがありますが(参照
板目面の青砥も
使い方によっては
役に立つものです
柾目面のように
研磨力はなくても
このように研ぎ傷が浅く
中研ぎの最終段階まで
持っていくことが出来ます

これは埼玉県の滑川で
採集されたものだそうです
かなり違った
色あいと質感です

青砥のように層状の
粘板岩質ではなく
三河名倉砥のような
凝灰岩質です

程よい硬さで反応も悪くはなく
心地よく研ぐことができますが
研磨力はあまり感じません

その分、研ぎ傷が浅いので
中研ぎの最終段階として
使えそうです
鋼はピカリと光りかけています

最後に茨城県七会村
上赤沢産の仕上砥石です
これはこちらで紹介している
明治十年に行われた
「第一回内国勧業博覧会」に
出品された砥石の報告書に
記載されているものです

残念ながらこのサンプルは
ガリガリの石質で
筋も硬いので

このように仕上砥とは
言い難いものですが
上質のものもあったものと
期待したいところです・・

こちらは上のものよりは
良い状態ですが
部分的に風化の具合が
違っていて
研ぐには難しいところが
ありました

できるだけ良い部分で
研いだ状態ですが
粗い筋がやや目立ちます
これも上質のもので
研いでみたいところです
以上、貴重な関東産の
天然砥石を紹介しました
これらの砥石を提供下さった
Tさんに
改めて御礼申し上げます

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