2011年7月30日土曜日

青紙鋼の逆襲


このブログで、青紙鋼の鉋は切れが重いとか
白紙鋼の方が永切れするといったことを
続けて云っていたためか
ここのところ青紙鋼の優れた鉋が
逆襲をしてきているようです・・

 今回手に入れた古い鉋身も青紙鋼でした
銘は國(国)家(くにいえ と読みたいところです)
火花の出方は27日に紹介したものよりも少なく
以前紹介した初代・金井に似た感じです

台に挿(す)げて早速使ってみると
研いだ感じでは良い感触でしたが
鋼が甘すぎてちょっと使い物になりません
ということで焼き入れと焼き戻しをやり直しました
今回の焼き戻しは180度前後で90分
上の画像と下の二枚は焼き戻し後の様子です








 そしてこれら三枚の画像は
焼き入れ前の状態です




 はがねと地鉄じがねの様子には
ほとんど変化は見られませんが




使ってみて驚きました




まず、いつものガンコな不明材
削ってみたのですが
切れ味軽く、驚くほど永切れします


逆目もほぼ止まっています



さんざん削っても刃先はやや摩耗したくらいで
まだまだ調子よく切れます



 そのままの刃先の状態で、ごく柔らかくパサパサの
スプルースを削ったのですが
これも切れ味よく削ることができるのです



削り肌も美しい・・・これには参りました
初弘の青紙鋼や先日の「」銘鉋と
ぜひ削り比べをやってみたいところです

2 件のコメント:

  1. 御刀で焼入れするときは、弟子も外に出して深夜親方が一人で行っていたといいます。
    それほど、焼入れ、焼戻しは微妙なものだと言えます。
    アイロンという文明の利器で簡単に実用的な刃付けが出来ようとは・・・・。
    映りは若しかすると、二度焼きではなかろうか?
    最初に映りの部分を時間を長く焼戻しをし、泥を刃文に合わせて再度丁寧に付けて再度焼入れを行い、そして、刃先のみを焼戻しする。
    映りの科学を解明したいものです。
            源 信正

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  2. 「映り(うつり)」といえば
    鎌倉時代の山城物の沸(にえ)映り、室町時代の美濃物の
    白け映り、そして鎌倉時代から室町時代の備前物の
    乱れ映りと棒映りが代表的なものですが、
    映りは上位刀工にしか出すことができなかったことを
    考えると、おっしゃるように何か技術的な操作だった
    ということも考えられそうですね・・
    現代の刀工のなかで映りを出すことができる人が
    どれくらいいるのかは知りませんが
    その方法は当然秘中の秘とされているのでしょうね。
    映りのことも、楽器の名器の解明と同じで、結果を分析
    することはできても再現するのは至難の技で
    人間の微妙な感性が必要なのだと思えます。

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