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2020年4月13日月曜日

モラエス そして明治時代のペスト流行

いま、「孤愁・サウダーデ」という小説を読んでいる
著者は新田次郎だが
絶筆となり、子息である
藤原正彦氏が
書き継いだもの
主人公は明治時代の
ポルトガル外交官モラエスとその妻福本ヨネ 
600ページ以上ある
長編だが、いろいろと
興味深いことが満載
その一つ
これから初夏にかけて咲く
エニシダの花のこと
この花はポルトガルでは
ゲニスタ、スペインでは
イニエスタというらしい
ということはサッカーの
イニエスタ選手は
この花の名前(姓か)・・? 偶然にもモラエスも
イニエスタも神戸に
縁ができている・・

エニシダの花



こちらは今咲いている
レンギョウの花

よく見ると
エニシダの花とは
形状が違う

小説「孤愁・サウダーデ」に
書かれていることから
もう一つ
明治32年、神戸で
ペストが流行
これは史実で
明治32(1899)関西を中心
に罹患者は総計49名
(内死亡40名)で
内訳は神戸市22名
(内死亡18名)
大阪市21名(内死亡17名)
姫路で1名、その他
広島・福岡・和歌山・
長崎・静岡で死亡者
各1名ずつ
危惧した東京市長は
ペスト菌の媒介とされる
ネズミの買い上げ策を
同年12月27日の
東京参事会に提案
これは捕獲したネズミを
一匹五銭
(今の金額で1000円ほど)
で買い上げるというもの
これが施行されると
ネズミ捕獲器が
飛ぶように売れ、さらに
ネコを飼うことが大流行
夏目漱石が
小説「我輩は猫である」
で風刺するほどの
騒動だったようであります
神戸でのペスト流行は
半年ほどで
終息したようですが
明治32年は六甲山の鳴動と
群発地震が1年ほど続き
市民はかなり
不安だったようです

2020年2月3日月曜日

天岩戸神社の岩蓋 古代文字

宮崎県西臼杵郡高千穂町に鎮座する  天岩戸神社で発見されたとされる岩蓋  文政四年(1821年)に発見されたということですが  小型の箱式石棺の蓋(ふた)石だったということです  石棺内には銅鏡七面と四個の土器が副葬されていたということで小型の箱式石棺ということと副葬品の銅鏡に大鏡が含まれていることから  時代は弥生時代後期頃と思われます  文字が刻まれた蓋石と石棺が  同じ時代とは限りませんが・・・  

この岩戸文字が発見された後
明治八年(1875年)、大分県で上記(うえつふみ)が
発見され、そのなかの文字の解説により
この岩戸文字が解読されたということです

明治八年の読み
それみきみ みつみ 
おほえこれのうつはわ
ほのあかりのみこと
これのあめのいわとに
こもりますときに
あそひのそなえに
まつるひとの
おおみかかみわ
すめおおみかみの
みたまとして
あめのいわやとに
のこしもちいたししなるを
あめのいわやどの
これのきしに
いわもてよひらにたてて
かくしおくなり

昭和7年に記された
「高千穂古文字伝」より
田近長陽氏による読み
ソヂ ミキミカミツミカミケ
ミカトヲ(モ)ホエ 
コレノウツハワ
ホノアカリノミコトコレノ アメノイワトニ
コモリマストキノアソビノソナエニマツル
ヒトツノオ々ミカミワ
ハメヲ々ミカミノミタマシテ
アメノイアワトニ
ノコシモチ イダシナルヲ
アメノイワヤドノ
コチノキシニ
イワモテヲヒラニタテ
カクシオクナリ

参考として
藤芳義男氏による解読
其それ 神酒みき 甕みか 水みづ 甕みか
神食みけ 甕みか と覚おぼえ 是これの 器うつはわ
火明命ほのあかりのみこと 是これの天あめの岩戸いわと
に 籠こもります時ときの遊あそびの供そなえ
に奉まつる 一ひとつの大おお御鏡みかがみわ
皇すめ大御神おおみかみの御霊みたまとして天あめの
岩戸いわとに残のこし持もち出いだししなるを 
天あめの岩屋戸いわやどの 是これの岸きしに岩いわもて
四よ皮ひらに立たてて 隠かくし置おくなり

次に高橋良典氏による解読
祖母ゆ開かれつる神
避さるヶ戸を掘り
これに無戸籠うつくまる
火明ほのあかりの御代みよに 天之岩戸へ
籠こもります時に
阿蘇火のそば
地震なゐへわたり
タカヒメの祖おや
ツカヤリは
皇祖すめをやゆかりの
蓋ふたつくりて
天之岩戸へ逃れき
地怒り唸うなるを 
天之岩戸屋殿籠り
救へ岩守もりて 
生きながらえたり
由来いはれを吐けり

平中芳明氏による解読
それ みきみ みつみ お 
(相手側、満気身、密身、緒)
そちらは、気が満ちた御身、きめ細かい綿密な御身、
魂を繋ぐ緒

ほえ これの うつは わ 
(誉、恵、こちら側、打つ、葉、和)
秀でた叡智の、こちらの、心を打つ言葉が上手く混ざる

ほの あかりの みこと これの あめのいわとに (誉、証、尊、こちら側、天岩戸)
秀でた証の尊 こちらの天の簡単には動かない磐戸に

こもります ときに あそ ひの そなえ (籠、時、彼方側、秘、備)
籠ります時に、こちらからもそちらからも遠いあちらの密かな備えをする

に まつる ひとの お おみ かかみ わ (二、祀、尊、緒、御身、加佳味、和)
再び祀る時、尊き人の魂の緒、御身に要素が加わり良い趣きに上手く混ざり和合する

すめおおみかみの 
みたま として あめ
皇大御神の御魂として

いわやとに のこし もち いたし しなる (岩屋戸、残、保つ、至、品)
天の岩屋戸に保管して成熟するように

あめのいわやどの これの きしに い (天岩屋戸、こちら側、居)
天の岩屋戸のこちらの側に居て

わ もて よひらに たてて (和、以て、四方、盾)
協力して四方を護って
かくし おくなり (隠、置)
人の目にふれないようにして置く

他にも
あります。

2020年1月9日木曜日

明月神社と彫物師


正月の山歩きに行った際
途中で寄った
もう一つの神社 
こんもりとした小山は
古墳のようにも見えます 

近くに、このような
美しい形の山を
望むことができます




明月は「あかつき」
と読むようです
祭神は月夜見命
月夜見(つくよみ)は
月読とも書かれますが
神社の祭神としては
珍しく、かなり古い
ものと思われます
元宮は九州壱岐にある
月読神社とされています






社殿の裏と向かって右側は
大きな岩になっています
元々は磐座iwakura信仰
だったものと思われます

正月の供え物が
興味深い





装飾彫物も立派です



脇障子の彫物


こちらの脇障子の
裏面には彫られた年記と
彫物師などの名が
刻まれていました


年号は安政二年
(1855年)の卯年三月
次の行は
「摂州◯之庄◯里村」
次は「彫物師
新井弥三郎正次」
◯は判読できません

施主の名前も
刻まれています
右は巌本藤右エ門
左は西芳右エ門


日貿出版社から
出されている
寺社の装飾・近畿編で
紹介されている
大歳金比羅神社
本殿の装飾彫刻の作者は
「摂津国有馬郡
藍曲り邑mura
新井弥三郎正次」
となっているので
明月神社の住所の刻みは
「摂州藍之庄曲里村」
と思われます
ちょっと調べてみたら
この住所は現在の
兵庫県三田sanda市
藍本と思われます
三田市藍本は明月神社が
ある所とは20kmほどの
距離です

この表は安政二年の
摂津国での大工組の
様子ですが
(吉田高子氏による
論文から引用)
藍本にほど近い三田にも
大工組があったようなので
その繋がりから
藍本の彫物師である
新井弥三郎正次に
装飾彫物の依頼があった
ということも考えられます

参考までに
寛永年間(1624年~1645年)
の近畿六カ国の
大工組の様子が
「中井家大工支配の研究」
という谷直樹氏の論文で
述べられているので
その部分の表を
紹介しておきます
これを見ると
摂津国の大工組頭六人の内
彫物組頭が一人含まれて
その大工組は五人によって
構成されていることが
分かります

2019年1月29日火曜日

優れた西物仕上げ砥石

地元の方の協力を得て
昔採掘されていた砥石山を見学



採取させて頂きました

京丹波産(西物仕上げ砥石)


試し研ぎ動画 

ハイス鉋を研いでみてビックリ
こちらは上の画像右のもの

そして左のもの
こちらの方が研ぎ感は滑らかで
研ぎ上がりも緻密です
砥ぎ疵はやや粗めですが
ハイス鉋がこのように
全体が美しく砥ぎ上がる仕上砥は
手許には他にありません

側の様子

砥ぎに使った砥石
画像左から人造砥石・研承1000→
伊予砥(中砥)→今回採取した仕上砥

京丹波産の他の産地の仕上砥と
比較してみました
左の二枚が今回のもの
その右は亀岡・大内産
右端は園部・池ノ内産
上は園部・八木ノ島産

大内産でハイス鉋を研いだ状態
画像では分かりにくいですが
今回採取したものよりは
砥ぎ疵がやや粗めで
地・刃ともに研ぎ上がりに
ムラがあります

これは池ノ内産
こちらも研ぎ上がりに
ムラが見られます

そして八木ノ島産
こちらも同様で
今回採取したものとは
研ぎ上がりが、ずいぶん違った
印象を受けます

次に東物と比較してみました
右は仕上砥氏の名門
梅ヶ畑産の戸前です

研磨力が強い影響か
鋼(刃)が黒く研ぎ上がっています
研ぎ上がりのムラも
かなりあります

撮影の角度を変えてみました
砥ぎ上がりのムラが顕著です

こちらは今回採取したもの
地・刃ともに均一に
しっとりと研ぎ上がっています
砥ぎ疵はやや粗いものの
日本刀の古刀のように
美しく研ぎ上がっています

砥ぎ上げたハイス鉋を
仕事で使ってみました
黒檀削り