2015年2月4日水曜日

羅生門銘・寸六鉋を仕事で使う

1日に紹介した羅生門寸六鉋を
仕事で使ってみました
まずギターの響板として使う、30年ほど寝かせた
ドイツ・スプルースSpruceを荒削り
長年寝かせたスプルースは
木細胞中のミネラル分の結晶化が進んでいて
刃先が磨耗しやすいのですが
この鉋はほとんど変化はありませんでした
これには驚きました・・

次にギターの裏板として使うメープル材Mapleを荒削り

荒削りながら、逆目はほぼ止まっています

ギター1台分の響板と裏板を荒削りしましたが

刃先はまだまだ健全です
通常の鉋でしたら、この時点で
切れが止むものがほとんどなのです・・

刃の研ぎ角度は約26度
刃先部分をややハマグリに研いでいるので
実質は27度位はありそうです

さらにギターのネック材として使うセドロ材を荒削り

セドロ材は石気を含んでいるので
これも刃先が磨耗しやすい材なのですが

さんざん荒削りをやり
刃先はさすがに白く磨耗していますが
まだ切れは止んでいません
かなりの永切れです
これで価格が¥12000程度というのには
まったく驚かされます・・

その後、深い逆目のローズウッドを
荒削りしてみました

荒削りながら、深い逆目もほぼ止まっています
文句なし

2015年2月3日火曜日

天水さんが鍛えてくれた生反り小刀 

天水さんから生反り小刀が届きました
どれも素晴しい切れです

生反りは槍鉋(やりがんな)の小さなもので
日本では弥生時代から使われているものです
刃の形状、反り具合など無数の種類があります

先端の反りがもう少し欲しいところですが
鋼の厚みに余裕があるので
研ぎで修正できる範囲です


使われた鋼は安来鋼・白紙1号が2本と
スウェーデン鋼 K120(高炭素鋼)が2本
切れの軽さは白紙1号が優れている感じです

この「生反り」は主に19世紀ギターの
ライニング削りに使いますが
この作業は1台分削るだけでも
かなり手に負担がかかり、切れ軽さは重要なのです
以前紹介したように、今使っているものが
切れが悪いので、何とか切れの優れたものを・・
と思っていたので大変助かります


穂が短いものをさっそく仕事で使ってみました
縞黒檀の木口削りで
しかも木口の全面が削れない状態なので
刃物の切れの軽さとコントロール性能が要求される場面です

少しでも間違えると楽器本体に傷が付く
シビアな場面でもあります

こういったときは刃物に助けてもらうしかありません
たいへん助かりました


先端に反りがないものでも
このように使い道はあります

2015年2月1日日曜日

羅生門銘寸六を仕立てる 押金(裏金)考

羅生門銘の寸六鉋は
そのままでは
仕事で使えないので
自分の道具として
仕立て直しました
まず押金の鎬角度を
修正(20度~22度)
強烈な逆目を止めるための
押金(裏金)は
私はだいたいこのように
設定しています
この鉋は寸六で
荒削りにも使うので
身の刃先の形状に合わせて
両端にアールを付けています

また、鎬面を研ぎ上げて
ピカピカにすると
刃先を利かせる際に
先端が見にくいので
グラインダーをかけたままの状態にしています

ギリギリまで押金を
利かせるためには
先端の状態を確認しやすいということが重要です

刃先角度は50度~55度で先端はできるだけ細くします

押金の様子

刃先の先端の押さえ具合
強烈な逆目の場合は
もっと寄せます

今回手に入れた
羅生門銘・寸六は
押さえ棒の位置が低すぎて
押金の耳を折る余裕が
なかったので
押さえ棒の下部を
ヤスリで磨り減らして
何とかこの状態まで
持ってきました
押金の内側と鉋身の裏の
隙間が狭すぎると
刃先の合わせの状態が
確認しにくいのです

鉋仕立てを説明している
本などには
「身の刃先幅を押金よりも
やや狭くし両端の
重なり具合を確認する」
などと書かれてあるものも
ありますが
この方法は大雑把な
確認の仕方で
初心者には分かり易い
かもしれませんが
刃先全体の状態の
確認は出来ません
深い逆目を止めるためには
押金をギリギリまで
刃先に寄せるので
刃先全体の確認が
必要になります

強烈な逆目を止めるには
「木端返し」よりも
押金の先端を確認出来る
ことの方が重要なので
私は木端返しはほぼ
垂直に切っています

因みにこれは
三代目・千代鶴延国こと
落合宇一氏作の寸八鉋ですが
押金は千代鶴延国式と
呼ばれているもので
落合宇一氏考案のものと
されています
身はごく薄く、台の
押さえ棒は両端しかないので
押さえ具合が難しいのですが
ピッタリ決まれば心地よく
使うことができます
千代鶴延国鉋の
「鉋使用説明書」では
裏金(押金)は出来るだけ
緩く収めるように
説明されています

閑話休題
羅生門銘・寸六が仕事で
使える状態になりました



さっそく欅(けやき)材を
荒削りしてみました
切れに問題はなく
刃先の持ちも
期待できそうです

刃先の状態はやや
荒れていましたが
削り肌には影響は
及んでいません

先日紹介した
研ぎ上げた状態の
刃先の拡大画像
(約100倍)
刃先がやや粗く
乱れていますが
仕事で使う分には
削り肌には問題ありません

試し削り後の様子
堅い欅材なので刃先がかなりやられていますが
まだ切れは止んでいません
これで¥12000なら
御の字です
これの数倍の価格のものでも
これより劣る鉋は
多く出合ってきました

こちらは優れた
羅生門銘・寸八

上の寸六とほぼ同じ
量を削りましたが
刃先の強靭さは
こちらの方が優れています

しばらく仕事で
使ってみようと思います


2015年1月31日土曜日

羅生門銘 寸六鉋を入手

以前紹介した羅生門銘の古い寸八鉋
手持ちの鉋の中でもトップクラスの強靭さと
永切れを発揮してくれるので
同じ銘の寸六鉋を手に入れてみました
価格は¥12000程度
驚くほど安価です・・
古い寸八鉋とは刻印の様子も違うし
「武蔵之介作」という刻印もありません
他には東住人の刻印が入ったものもあるようです
ということは、羅生門銘は問屋銘で
作者はいろいろと存在しているのでしょうか・・

いろいろと気になるところですが
取り敢えず研ぎ上げてみました

中研ぎの最後に使ったのは
この産地不明の天然中砥
やや目〆系なので、この前段階の青砥の砥汁を
付けてから研ぎ始めました

中研ぎの最終段階として
理想的な研ぎ上がりです

会津砥のような雰囲気もありますが
会津砥でこのような緑がかったものは
見たことがありません
ご存知の御方はぜひ御教示お願い致します

画像右の天然砥石も産地不明で
色あいは似ていますが
質感はかなり違った印象を受けます


これは中山産黄板で研ぎ上げた状態



刃先の拡大画像
鋼は安来ハガネ青紙と思われます
かなり強靭な焼きが入っている感じを受けます
これまでの経験から、鉋はこれくらいの状態が
強靭で永切れしてくれるように思います

これは果たしてどんな結果を残してくれるのでしょうか・・

2015年1月30日金曜日

今日の作業の一部 琵琶の覆手カバーを作る

琵琶の覆手カバーを急遽作ることになった
材は桑


パーツが揃う


組上げ








プラネットカラーでオイル・フィニッシュ


出来上がり