2015年5月19日火曜日

粗めの砥石の接着 そして清仁銘の寸八鉋



以前、天然中砥石の接着について紹介したことがありますが
今回は荒めの砥石の接着について紹介しておきます
この画像の砥石は、現在私が唯一刃付研ぎとして使っている
人造砥石、SHAPTONシャプトンの「刃の黒幕」grit320です
この砥石は荒研ぎとして頻繁に使うので
これまでかなり新調してきましたが
刃の黒幕は厚さが薄いので
私はこのように新しい砥石を
使い減ったものに接着しています

この時の接着剤はゼリー状の瞬間接着剤を使っています
中砥は低粘度のものが有効ですが
粗めの砥石は低粘度ではちょっと心配なので
ゼリー状のものを使っています


木工用の瞬間接着剤(ゼリー状)は
木を接着する際はやや時間がかかる場合がありますが
砥石の場合は数秒であっという間に接着完了します
塗る場合はこの画像の白い線のように塗っています


さて、こちらは今回手に入れた
古い寸八鉋身(身幅73mm)、銘は清仁
この銘についてご存知の方はぜひご教示願います
鋼は特殊鋼系ですが、裏出しと研ぎを行った印象は
焼き入れはそれほど強靭ではないようですが
強い粘りを感じました


台尻にはこのような刻印があります




刃角度がかなり低く研がれていたので
刃先から1mmほどを約30度に修正


台も長い間保管されていた様子で
使われた形跡はありません
興味深いのは身の仕込み角度ですが


57度もあります・・
これで二枚刃になっているのは
どういう目的で作られたのでしょうか・・
これまでの経験から、これはかなり使うのが難しい気がします


手前は通常の仕込みのもの(義廣寸四・身幅60mm)で


約40度(八分五厘勾配でしょうか・・参照下さい)


とりあえず台の仕込みを調整し
台も全体に削って汚れを除去しました




さっそく仕事で使ってみましたが
案の定、使うのに苦労しました
身の仕込勾配が大きいので
厚めに削るのが難しく、逆目を止めるための
押金(裏金)の刃先への寄せ具合が確認しにくいのです

鉋屑が縮れていますが、これも仕込勾配が大きいためです

逆目を止めるだけの目的ならば
90度仕込みの立鉋がよいのですが
立鉋では薄く削ることしかできず
厚みを減らしながら深い逆目を止めることはできません
また刃先の磨耗が激しいので
ギター1台分を仕上げるには
何度も研ぐ必要があるでしょう
それから、立鉋にもっていくまでの
下削りといいますか、中仕工削りに気を遣う必要もあります


さて、清仁銘・寸八で削ったローズウッドですが
何とか深い逆目を止めることは出来ましたが
このように仕込み角度が大きいと
厚めに削りながら深い逆目を止めることは
ほとんど不可能と言っていいでしょう・・


ギターの横板1枚を仕上た後の
刃先の状態ですが
ほとんど変化はありません
刃先の強靭さは期待できそうです


これは、現在ローズウッドの仕上げ削りに使っている
義廣銘(参照)の寸四ですが
上の清仁の鉋屑よりも厚めに削っていますが
縮れはなく


しかも逆目もほとんど止まっています

このように、実際に仕事で使うには
出来るだけ軽い削りで厚みを減らし
しかも深い逆目を止めることができる必要があるのです

2015年5月17日日曜日

淡竹の筍 そして美しいタモ材

昨日のことですが
近所の御方から淡竹(はちく)の筍を頂きました
淡竹はアクやエグ味がほとんどないので
掘りたてやから生でいけるで・・
というこのなので


包丁でちょっと切ってみたら
瑞々しい・・




さっそく頂きました
ワサビしょうゆ、味ポン、どれもいい
味噌でもいいかも
タケノコ独特の風味が繊細で
春の香り・・とでも言うのでしょうか・・
幸せ感が体中に広がりました
筍さんに感謝



 さてこちらも昨日の出来事ですが
今日は大阪で「広葉樹フェア」がある日だから、と
喜び勇んで会場の中田木材に向かう
到着したら、あらま、明日でした・・トホホ・・

それでも橘さんが気を遣ってくれて、これはワタクシのために
用意していたものだから・・と美しい杢のタモ材を見せてくれました
感謝

帰り道、車が信号で止まる度に脇の毛布をめくっては
チラリ・・ニタ~~

途中、休憩しようと、能勢の道の駅に寄ったら・・


なんと、木材が売られているではないですか


しかも探していた桑材まである・・早速これは購入・・


ついでにラック・ウォルナットも


収穫


桑材はかなり古く、重いのでもしかして島桑かも・・
これは注文を受けている五組の茶入を作ることもできる大きさ
ありがたい


それからの帰り道はニタ~~が倍増・・


タモ材は充分乾燥しているということなので、すぐ使える


2015年5月13日水曜日

古い会津鉋 重上寸六を入手

古い会津鉋、重上・寸六(身幅66mm)を
手に入れました
研ぎ上げた状態


鋼(はがね)は和鉄(玉鋼)と思われます

重上は刃先の強靭さに評価が高く人気があり、
偽物も作られたということですが、この鉋は果たしていかに・・
使ってみれば分かるでしょう

研ぎに使った砥石、すべて天然砥石
中央左から中砥ぎの最初に使った茨城県産
深沢砥(粒度は約#800)
その右は中砥の栃木県産荒内砥(粒度約#1200)
その右は三河名倉砥(層はボタンと思われ粒度は約#1500)
右端は仕上砥ぎの中継ぎに使った京丹波亀岡、神前(Kouzaki)産戸前
下は最終仕上げに使った茨城県産赤沢砥
上は裏研ぎ専用の京都梅ヶ畑、奥殿(Okudo)産白巣板


地鉄(じがね)は幕末期の日本刀のような研ぎ上がり状態です
この鉋身は元々は外丸鉋と思われ、その形跡が
身の鎬部分の両端に見られます

刃先の拡大画像(約180倍)
先般紹介した重高・寸六とよく似た印象を受けます
研いだ感じや砥石の傷の付き方から
やや焼き入れは甘いかな・・
という気がします

台を自分好みに変えているところ
まず、木端返しの角度を修正しました

二枚刃鉋は一枚刃鉋と違って
押金(裏金)で逆目を止めるので木端返しは必要ありません
深い逆目を止めるには二枚刃の先端の様子を
確認できることが重要なので私は木端返しは
ほぼ90度に切り下ろし、幅も狭めにしています
刃口はできるだけ狭い方がいいのは一枚刃鉋と同じ
以前紹介した押金考参照下さい



木端返し部分出来上がり

鉋身を押さえる溝を修正しているところ

刃口部分が出来上がりました

次に削り面を調整(下端削り動画参照下さい)



出来上がりました


刃口の幅が不揃いでやや広すぎるが
中仕工鉋としては何とか使えそうであります

さっそくハカランダ材を試し削り
玉鋼独特のサリサリとした削り心地です

荒削りながら、深い逆目もほぼ止まっています
永切れを期待したいところであります
これからしばらく仕事で使ってみます

その後、いろいろ使ってみた結果
刃先の持ちが悪く
仕事で使えるレベルではありませんでした
重上鉋は往時かなり評判がよく
偽物も出回ったようですが
これはもしかして、その偽物かもしれません


2015年5月11日月曜日

自作のバイス作業台の詳細

自作の万力作業台の詳細を知りたいという
要望がありましたので紹介しておきます
YouTube動画もUPしました












黒い部分は硬めのゴムを接着しています
厚みは5mm