2016年7月12日火曜日

Ludwig Beck ルードウィヒ ベックの 「鉄の歴史」と湖沼鉄

今はもう絶版となっている
Ludwig Beck ルードウィヒ ベックの
「鉄の歴史」から湖沼鉄に関する記述を
紹介しておこうと思います

湖沼鉄は日本ではほとんど研究がなされていないようですが
古代の鉄に関して大きな示唆を与えているものと思われ
浅井壮一郎著「古代製鉄物語」や
蔵富春成著「古代水辺民の遺産」で
それぞれ言及されています
また、日本刀の研究においても
湖沼鉄が注目され始めているようです参照

日本刀の研究に関しては
俵國一による「日本刀の科学的研究」でも
当時(昭和20年代)、古墳から出土した直刀の分析結果から
多くのものに銅分が含まれているので
古墳時代の原料は鉄鉱石とするのが妥当としています
そのことに関しては、現在では
出土した古代の鉄に銅が含まれている場合は
中国大陸で磁鉄鉱を原料にして炒鋼法で造られたもので
チタン分が多い場合は砂鉄を原料に造られたものと
結論付けられているようです

湖沼鉄は日本では高師小僧とも呼ばれていて
製鉄に関する兵主(ひょうず)神から派生したとされる
ヒョウスベ(河童・カッパ)も湖沼鉄に
関係があるのではないか、という説もあります参照

また、それは鈴石と呼ばれたり
鳴石と呼ばれたりしていますが
これらはみな生物由来の褐鉄鉱で
湖沼鉄の一種と言ってもいいのかもしれません

出版社はたたら書房


以下、ベックの「鉄の歴史」1巻③から
湖沼鉄に関する記述です
画像を別タブ、あるいは別ウィンドウで開くと
大きな画像を見ることができます


ベックの「鉄の歴史」は1897年に刊行されたものですので
この分析データも当時のものと思われます

参考までに
これは明治43年(1910年)に刊行された
俵國一による著書「鉄と鋼  製造法及性質」ですが
以下、そのなかで紹介されている鉄原料の
分析データを紹介しておきます

赤鉄鉱の成分
表中の満俺はマンガンのことです

磁鉄鉱の成分

褐鉄鉱の成分

炭酸鉄鋼の成分

鉄滓及鉱滓の成分


以下、ベックの「鉄の歴史」に戻ります



以下はその他の記述から
興味深いものを少し紹介しておきます






2016年7月10日日曜日

昨日のコンサートの様子

昨日7月9日、神戸市須磨区にある
海の見える隠れ家サロン奏喜Hibiki
でのコンサート、無事に終えることができました
ご来場の皆様、そしてスタッフの方々
ありがとうございました




2016年7月7日木曜日

ストラディバリのヴァイオリンと自然の美

2011年、東北震災の際に、支援資金を得るため
日本音楽財団がコレクションのストラディバリ作
ヴァイオリンを売りに出したときのオークションの様子が
YouTubeにUPされています

これは、その動画の一部を画像として
ピックアップしたものですが


そのヘッドのスクロールを見ていて


手許にあるアンモナイトの化石の
渦巻きに似ているな・・と、ふと思ったのです

そういうことなので、アンモナイトの画像を
ストラディバリのヴァイオリンの渦巻きに重ねてみました

アンモナイトの画像を少し透明にしてみました
ほぼ重なっていますね・・
ストラディバリの楽器には黄金比が取り入れられている
という説もありますが
こうしてみると、ヘッドのスクロールにも
フィボナッチの数列など、自然の法則が
取り入れられているようにも見えます
ストラディバリも貝殻やアンモナイトの化石を
コレクションしていたのでしょうか・・笑

因みに、これは他のアンモナイトの化石





こちらは工房の様子
特注ラコート・タイプ(弦長630mm)は
もうじきニス塗りを終えます


2016年7月3日日曜日

二種類の備水砥と馬路山産合砥を使って幅広鑿を研ぐ

昨日YouTubeにUPした砥ぎ動画
画像を紹介しておきます

最初に使ったのは柔らかめの備水砥(熊本県産)
Soft Binsui




粒度は約800 Grit 800


次に硬め備水砥
Hard Binsui


粒度は約1200 Grit 1200


次からは仕上砥ぎですが
中継ぎとして使ったのは
柔らかめの産地不明の合砥
(おそらく京都・愛宕山産と思われます)
Unknown Awase-to Soft fine finishing stone 


これで充分仕事で使えますが


硬口の京都・馬路山産合砥で
最終仕上げを行いました
Hard finishing stone 馬路山Umajiyama



馬路山産の仕上砥は
硬口でも同じ山の大平産と比べると
地鉄が緻密に曇り、優れた内曇砥のように研ぎ上がります