2016年11月19日土曜日

工房の様子 響板と裏板の切り抜きとサウンドホール縁飾り

接ぎ付け接着を終えた響板と


裏板をギターの形に切り抜く準備

バンド・ソーで切り抜く


切り抜き完了


その後、響板の表面を仕上げる

中仕工Nakashiko鉋として使った

そして仕上げ削り
逆目が交錯しているので
片手で削りました

使った鉋は三代目千代鶴、落合宇一作三水銘・寸八
鋼はスウェーデン炭素鋼と思われますが
切れ味軽く、これも永切れします

接ぎ目の逆目も完全に止まっています
こちらはガルシア・タイプの響板
30年以上寝かせたドイツ・スプルースです


こちらは小型モダン・タイプの響板
これも30年以上寝かせたドイツ・スプルース


羅生門寸六の刃先
鋼Haganeは特殊鋼系で
おそらくヤスキ鋼・青紙1号と思われます
研ぎ上げた状態では刃先に細かい乱れがありますが
驚くほど永切れします

三代目千代鶴・三水銘の刃先

ガルシア・タイプは
サウンドホールの縁飾りに貝を嵌め込むので
いつもとは違った工程で進めていきます

縁飾りのデザインを作っていく

まず縁飾りを入れる部分に
クリコ錐を使って切り込みを入れる


クリコ錐の刃先の様子

切込みをいれた部分を彫刻刀で彫り込む
まず7.5mm幅の平刀で荒彫り


次に9mm幅の平刀で底をさらい

12mm幅の平刀で仕上げ

彫り終えた状態

溝を彫り終えたら両縁の飾りを接着
これはタイトボンドで焼き付け接着を行っているところ


縁の接着完了

この後の作業は明日行います


2016年11月18日金曜日

スプルースの経年変化

楽器用材を整理していたら、24年前に製材した
ヨーロッパ・スプルースの板が出てきた

これはチェロの響板材として
ドイツから仕入れたもので
ギター用に製材した1枚です
スプルース材が経年変化で重さなどが
どのように変わっていくのか知りたくて
計測をやり始めたのですが

2010年を最後に計るのを忘れていたものです
そういうことなので、今日
2016年11月18日に、これまでと同じように
計測してみました

一回目は午前9時頃
気温9.8度 湿度56%
幅は上の画像の最後にも記しているように
168.0mm

長さは

1994年に計測を始めてから
変化はなく500mm


重さは230g
その後、約6時間後の測定では
気温19.8度 湿度50%
幅167.5mm 長さ500mm 重さ230g弱
1日の間でも幅や重さに僅かながら
変化があります

1992年に計測を始めた頃は
重さしか量っていませんでしたが
1994年8月から幅と長さを計り始めました
その頃と今を比較してみると
重さは約5g軽く、幅は0.3mmほど狭くなっている程度です
1992年にドイツから入手した時点で
かなり乾燥している感じで
すでに平衡含水率の状態になっていたと思われるので
計測した時点での環境により
重さや幅が変化していたものと思われます

以下、参照下さい





この部分は2008年の3月19日から20日にかけて
ハロゲンストーブで加熱し
その後の状態を計測したものです

最初に片面をストーブで3分焙り
その後反対面を3分
それを3回繰り返した後
すぐに計測したものです
重さは焙る前は228gだったものが
223gとなっており、5g減っています
幅は168mmだったものが167.5mmと
0.5mm狭くなっています
長さは変化はなく500mm

その後、再度焙ったりしましたが
幅が狭くなっても重さは変わらない
など、妙な変化をしましたが
24時間後に計ってみると大きく変化していました
このあたりは興味深いところですが
その後、今日の時点では
2008年の加熱をする前の状態と
それほど変わらない状態に戻っているのも
また、興味深いところであります

2016年11月17日木曜日

工房の様子 次の製作に取りかかる

製作中の特注ギターと
修復中の19世紀ギターのニス塗りを終えたので
次の製作に取りかかりました

これは響板材で、30年以上寝かせた
ドイツ・スプルース

これは特注小型モダン・タイプに使うもの
弦長は640mmで1弦に20フレットを追加します

こちらは特注ガルシア・タイプ
弦長640mm


荒削りの様子
スプルースの荒削りには
私は二寸鉋を使っています

この鉋は田圃義廣銘の二寸鉋(身幅80mm)


そしてこちらは古い会津鉋
重利銘・二寸(身幅76mm)

荒削りを終えた状態


こちらは裏板に使う
インド産ローズウッド

荒削りには清忠銘の寸二鉋を使っています
この鉋は特殊鋼(青紙1号か・・)で
驚くほど永切れしてくれます
台の仕込みは九分勾配、刃角度は約30度

このローズウッドはガルシア・タイプに使うもので
12年ほど寝かせたものです
材質は緻密で粘りがあります

荒削りを終え、接ぎ付け面を仕上げているところ
YouTube動画参照下さい


使った長台鉋は長光銘・寸四

接着準備完了
こちらは小型モダン・タイプに使うもの


使った鉋

左端は荒削りに使ったZDP189全鋼鉋
中央は中仕工用で、おそらく明治時代の古いもの
銘は「永房」か(鋼は玉鋼・身幅57mm)・・
右端は仕上げ削りに使った長光寸四(鋼は炭素鋼系・身幅60mm)



接着完了

その後、ガルシア・タイプの
サウンドホール縁飾りのデザインを考える

こんな感じ・・
中央部はアワビ貝で
その縁はオバンコール材を使う予定
このデザインはアンモナイトの殻の
内部構造をモチーフにした


印象的なこの部分ですね