2023年3月10日金曜日

匠家必用記 下巻 11、12、13章 読み下し

 匠家必用記下巻から
11、12、13章の
読み下しを紹介
間違いなどありましたら
ご教示願います

十一 鳥居の事
鳥居は神代の神門也。今宮社に用るは神代の遺風にして、木の鳥居を本式とす。当時鳥居を造ならば、先其宮の古例を尋、鳥居の風を定べし。又は御神名に付ても造やうある事なれば、よく吟味して造べきこと也。鳥居に品々有。神名の鳥居、黒木の鳥井、しま木の鳥居、三王(さんのう)鳥居、三輪の鳥井、稲荷の鳥居、わら座の鳥居、丸木皮剥ぎの鳥居、等の制あり。此ことえおしらざる人は識者に問て造るべし。若古例なき宮は神明の

鳥居、丸木皮削の鳥居、黒木の鳥居にして可也。近世押通り嶋木の鳥居に造は其宮によって自然と誤も多かりなん。又外に雨覆ある鳥居、或は石ずべの鳥居にして略義なり。式正のことにあらず。又、石の鳥居、唐かねの鳥居は是又略義也。心あらん人は木にて造り、時折造りかへるを本式とす。木は桧を用べし。余の木を用べからず。伊勢の石唐金のたぐひを用ざるをみてすいりやう(推量)すべし。故に名目抄も石にて鳥居をつ

くるは後世のついへなり、といへり。番匠たる人常に心得有べきこと也。鳥居の文字を書に、鳥居、鳥栖と書べし。花表(かひょう)と書べからず。鳥(花か?)表は鳥居に非ず。其形大に異也。花表のの図、列仙伝にあり。見べし。近世鳥居の文字をあやまりて、花表と書は大なる間違也。すべて鳥居は神代の神門と見て可也。内宮儀式帳にも不葺御門と有。今の鳥居のこと也。今在家かまへの入口に木を弐本立、笠木をして竹の戸あり。脇に柴垣等有。是則神代鳥居の象。柴垣は玉垣の意也。又俗説に鳥居は天の字を象りたるものといへり。按ずるに漢字は漸(ようやく)応神天皇の御宇にわたりて、是より已前文字なし。鳥居は神代よりあることなれば、附会の説論するにおよばず。よく考知るべし。

十二 棟上の事
棟上は宮造り屋造りの成就にして、別て目出度神事也。親類打寄朋友招き酒くみかわし、幾千万歳も子孫繁昌と祝し目出度目出度と唱、千秋らくを諷(うた)ひ、万歳楽をと賀はいともかしこき神国の風義(ならはし)ありがたきことならずや。番匠は此ことをかみより伝へてわがおもふ處少しも違はず成就したるは職神の御恵也。疎(おろそか)におもふべからず。故に此こと棟に棚をしつらひ職神を祭り、祝儀を献ずること普く人のしりたること也。然に祖神の御名を取失ひて、聖徳太子を祭らば嘸(さぞ)祖神も心よくばおぼし


めしまじ。されどもしらざれば是非なし。然ばおもはずも不忠不儀の名はのがれず。両部習合に為偽惑(だまされ)し人々、過ては改にはばかることなし。早くまことの祖じんの御名を知て、神恩を謝すべき也。棟上の神事入用の品は国の違はあれども大凡古代の法を考用べし。先、棟上には前日より心を正し、不浄を禁め(いましめ)、当日早天に沐浴(ゆあい)して浄衣(しゅえ)を着し、麻上下を着して棟木を挙べし。つちのうちよう別義なし。俗説に槌の打様、福徳寿命長久と唱て三槌打といへり。諸々に拠なし。信用するにたらざること也。兼て棟に棚をかまへ天神地衹を祭り、並に番匠の神の御神名を板に書て、大幣(おおぬき・おおぬさ)の中柱にかけ、松、榊を以て飾るべし。神社は極て東向南向也。俗家は西向北向たりとも東向南向にして、神を祭べし。

十三 神前備物の事

幣 弐本:一本は白紙、一本は青紙にて作べし。長さ極なし。見合たるにしてよし。
大幣(おおぬき・おおぬさ) 一本:常のことくへいを作り、又紐紅の麻苧(あさお)を添て付、頭に扇三本をひらきて付る。此大ぬさは本式あらざれども俗習にしたがひ書也。  
神酒 二瓶
御供 二膳:土器を用べし。
引蚫(のし) 二把
鯛 二枚
鯣(するめ) 二連
鰹 二連
昆布 二連

角樽 一荷
掛銭 二貫:或は五カン、七貫
鏡餅 二備
蒔(まき)銭 見合
小餅 見合
弓 二張
矢 二節:カリマタ、カブラヤ
以上 


右の通り用べし。何れも白木の臺木具を用て可也。ぬりものわ(は)よろしからず。番匠たる人は麻上下を着し神拝する。次に中臣祓を誦べし。次に大殿祭祓門建立の時は、大殿祭祓を除て御門祭りのたぐいをよむべし。次に一切成就の祓をよみ、次に四方へ祝儀餅、蒔銭を披露すべし。北より始、東南西と弘む。神事終て祝言を述べし。


此時禁物(いみもの)
樒(しきみ)、抹香、焼香、線香
数珠並仏具の類
仏経並真言並尼僧
汚穢不浄の人
口に不浄を言わず
右の禁べし此外万事不浄を遠ざく可也。

2023年3月9日木曜日

メキシコ貝 abalone


修復中の楽器
縁飾りの貝が
欠落しているので

メキシコ貝で補修


割り取った残り

少し形を修正したら

オブジェとして
充分観賞に耐える
素晴らしい存在感

2023年3月7日火曜日

イベントの紹介

 
兵庫県姫路市のギャラリー喫茶
觀創居で開催中の短冊展
面白い発想だな、と感心した
ところで、これらは手書きなんだろうか
印刷なんだろうか、興味が涌く
銅版画はどうなんだろう・・




こちらは3月29日(水)に
滋賀県の喫茶&ギャラリー
る~むブナ で
行われるコンサート

25年ほど前、近所の小学校が
建て替えのため取り壊された際に
貰ってきた特別教室の床間の
床板で作ったテーブルの天板
いい雰囲気が出ている
直径1m以上の大木だったと
思われるスプルース

2023年3月4日土曜日

ブリッジピン、ストラップピンを作る


明治10年生まれの女流画家
伊藤小坡 ito shoukaが
描いた琵琶を弾く女性
このような大きな琵琶
楽琵琶だったら重さは
5kg以上はあるはず
それを立って弾いている
というのは謎・・
ストラップのようなもので
吊っているのだろうか・・

こちらは随代の俑
おそらく四絃琵琶と
思われる

こちらは正倉院に所蔵
されているものと同じ
五絃琵琶と思われる

工房の様子
ギター2台分のブリッジピン
そしてストラップピン



ストラップピンの頭部は
珊瑚の化石を参考にしたが
これまでと同じように
なってしまった

2023年3月2日木曜日

匠家必用記下巻 六、七、八、九、十章 読み下し 

匠家必用記下巻から
六、七、八、九、十章の
読み下しを紹介
間違いなどありましたら
ご教示願います

 

六 鞭掛の事
鞭掛は宮でんむね板の下、破風中よりつらぬき出たる木なり。神代には万事しっそなれば、屋根まいの端外へあまいたるかたち也。男神のみやに十本、女神宮に八本也。然れども伊勢両宮にかぎり、このほかのみやには、はばかるべきことか。



七 玉垣の事
玉垣は角なり木にぬきを通し、神社の廻りに押通して之を設く。又は左の図のごとく厚き板にて造るもあり。是本式の玉垣也。或は木の皮を削ずそのまま用るあり。是を黒木の玉がきといふ也。玉がきを瑞垣(みづがき)ともあらがきともいふ。神社によりて二重、三重、設る也。然時は内にあるを瑞垣と云、外にあるを玉がきともあら垣ともいふなり。


皆是汚穢(けがれ)、不浄を入ざる為の垣也。谷氏曰、木の削たるを朱の玉垣と云。朱にぬる謂なし、と。今俗間にいふ玉がきわ過半上を立格子にして下に壁を、或は組格子に付こし板打、上に雨覆有。是は玉がきといふ物にはあらず、かべがきなり。神社のかこみなり。意あらん人は本式の玉垣に造るべきこと也。


八 拝殿の事
神社の拝殿を造るにはひじき造りなるべし。からはふ等は両部習合の制作にして、神代の遺風にあらずと先輩に聞き侍る。

九 神門の事
神門を建立するには、其地の広狭を見合、宜に造べし。近世印行の書に、門を造に唐尺の法を用といえり。甚妄説也。信用することなかれ「唐尺の弁委は後にいだしぬ」。組物彫ものづくり、或は二重(にちょ)造り、瓦ぶきと、神国の忌風にあらざる故、神の御心に叶ざらんか。門の両脇に門守の


神と安鎮ずる也。此神を豊盤間戸尊、櫛盤間戸命と云。両部習合に神門には両金剛を安置す「今俗に云仁王なり」。是を仏門に置は是にして、神門に置くは非也。くわしくは俗説弁に見えたり。

十 灯籠の事
神社のとうろうは木にてつくるを本しきとす。石、銅のたぐひは略義なるべし。