ラベル 琵琶製作 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 琵琶製作 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2023年5月13日土曜日

八音抄と琵琶名物等作様


琵琶の名物について書かれた
琵琶名物等作様を
コピーさせてもらい
それを和綴じ




琵琶について書かれている
八音抄のなかの「たへたる」はこの琵琶名物等作様では
「たりたる」となっている


この箇所はこちらのHPで
紹介している八音抄のページを
書く際にも?となった
ところで、「たへたる」は
堪えるという意味かと判断し
「堪へたる」としていたが、「たりたる」=「足りたる」の
方が前後の意味が
通じるような気がする

そういったことなので
HPの八音抄を書き換えた

2022年4月9日土曜日

紫檀 縞黒檀 牛骨で正倉院型琵琶撥を作る


正倉院型琵琶撥を作る
これは牛骨

牛骨で広い面積を取るのは
至難の技
所定の大きさより
長さ、幅ともに
やや小さくなる

穴は埋めるしかないか・・


こちらは紫檀と
縞黒檀のもの




出来上がり
左からブラジル紫檀
インド紫檀、縞黒檀
そして牛骨

2022年3月29日火曜日

正倉院琵琶撥 そして自作ギター

 


正倉院琵琶撥を模した撥
先般製作した琵琶を
注文して下さった方
自ら描かれたものです
手に取って実物を拝見すると
感慨深いものがあり感動的です


琳派風の雰囲気の中で
撮影してみました




さてこちらは
メンテナンスのため
工房にやってきた自作ギター
37年前、1985年に製作したもの


ブリッジの装飾に
ちょっと手を加えました
すべてフリーハンドで
彫ったものです


楽器の音については
おもしろい反応だなと思い


補強材の様子を見て
驚いた!


伝統的な配置とは全く違う

若い頃は様々な試みを
やっていて
1台1台違う構造で作り
同じものはなかった
というのを思い出しました
現在のオーナーさんは
音量が大きいので
これを選んだ
ということでしたが
音圧と音の飛び方は
独特のものがあります
若気の至りとはいえ
よくぞここまで
大胆なことをやった
と、若い頃の自分を
褒めてやりたいと思います

2022年3月24日木曜日

琵琶の構え方いろいろ

 

先般製作した
正倉院琵琶の模作品が
このように用いられていました
感謝

これは以前紹介したことのある
岩佐又兵衛が描いた絵


八音抄を著した鎌倉時代の
琵琶の専門家藤原孝道による
琵琶の構え方の指南書
女房(女性)は琵琶をひざのうえにおかず
左のひざをたてて下におくべし。」
琵琶にひぢをかくる時は袖のはたをも
をり返して手の甲までも
弾きかくさんとおもふべき也。」
などなど

こちらは京都宇治
平等院鳳凰堂の
雲中供養菩薩
片膝を立てた上に
小型の琵琶を乗せています

この琵琶はさらに小さいためか
胡坐aguraの上に乗せています

箜篌kugoを弾いているところ

こちらは簫syo

甘竹簫

縦笛

横笛

2022年3月1日火曜日

琵琶の音の表現





様々な琵琶の音の表現が
なされていますが
それを掻い摘んで
紹介してみます
その音りやらめく所なし
音に勢いあり
ひびらく所なし
その音甚だ烈はげし。
そうそう急雨の如し
その音尤も健やかなり
音勢などはいたく
大きならねども
声色こわいろことに美しく、
ゆるゆると聞こゆ。
泉流幽咽し(静かに流れ)、 
水下に難かためるに似たり
声色ことに美し。また、
したたかなる所もあり」
「聊か りやらめく所あり
声色乾きたるやうにて、
したたか鳴るばかりなり
声色すこぶる
品あるところあり
したたかなる琵琶なり。
声色はなつかしく、
けぢかき所はなけれども、
攻め力あり
音色殊のほか澄める
ところあり
りやらめき声などは
強あながちに優れねども、
声色などはゆへびて聞こゆ
浅々とある音」
「その音頗る尋常なり。
けぢけきさまの声あり
声色などはゆへゆへしき所あり
声色殊勝なり。したたかなる所も相具せり
声色ことに美し。いかいかしきところもあり。
音勢は小さけれども りやらめき声など殊勝なり
声色ことに潔くもろし。
りやらめく所あり。
その音 玉盤に大珠小珠
落つるに似たり
*玉盤に大珠小珠
落つるに似たりは
唐より伝わった「琵琶行」の
表現を真似ています
物より破れいづるがごときの声あり。
所謂、銀瓶を破り乍ながら水漿の迸る様即
この琵琶の音の姿なり
以上、いかがでしょうか
その中で「りやらめく」
という表現が頻繁に出てきますが
以下まとめてみました
*其音りやらめく所なし
*其中には聊いささかりやらめく所あり
*雑木の琵琶なればりやらめく所はなけれども
*なつかしくりやらめきたることはなけれども
*りやらめき声などはなし
*りやらめき音などはなけれども音色尋常なり
*音勢はちいさけれどもりやらめき声など殊勝なり
*こは色ことにいさぎよくもろしりやらめく所あり
*りやらめく音をもちて琵琶の至極とする事
この二の霊物(玄上と牧馬)よりおこれり

これらから推察すると
楽器の音の良い条件だと思われるのですが、
はっきりとした意味が判ればありがたいところです。
言語学者の菅野裕臣(かんの ひろおみ)氏によると、
日本語、朝鮮語などのアルタイ語に属する言語では、
語頭に「r」が立つ言葉は本来なかったということです。
つまり、「ら・り・る・れ・ろ」ではじまる言葉は
もともと日本語にはないということで、
あるとすればそれは漢字語やその他外来語が
入ってきてからのものだそうです。
そうすると、順徳院琵琶合に頻繁に出てくる
「りやらめく」という琵琶の音の形容語は
来語ということになります。
それは、おそらく琵琶がペルシャから中国
あるいはインド経由で日本に入ってきた際に
楽器の音の良し悪しを表現する形容の言葉も
いっしょに伝わってきたものと思われます。
あるいはまた、楽器製作者が日本に渡って来た
ということもあり得るのでないでしょうか。
そうした時に「りやらめく」、あるいは「りゃらめく」という
音の表現も伝わってきたということも考えられます。
そういうことなので、ペルシャ語に詳しい人に訊いてみましたが、
「りやらめく」に該当するような言葉はないということでした。

2022年2月24日木曜日

正倉院琵琶模作完成


正倉院琵琶を
模作した琵琶が
出来上がりました
動画ご覧下さい




捍撥(撥面)の絵

落帯の絵も素晴らしい
腹板(響板)はシオジ材
三枚接ぎ

楽器の重さは約5.6kg





槽(甲)は紫檀三枚接ぎ




海老尾はツゲ材
転手(糸巻き)は紫檀


正倉院所蔵琵琶の柱は
檜材が主ですが
紫檀甲との相性を考慮して
ツゲ材で作りました





こちらは琵琶置き台

黒柿木目の景色