2013年5月23日木曜日

千代鶴是秀作 藤四郎銘組鑿 一寸追入ノミを研ぎ上げました


昔の日原大工の棟梁が使っていた
千代鶴是秀作と思われる藤四郎銘組鑿の内
一寸(刃幅約3cm)追入ノミを研ぎ上げました








鎬はこれ以上攻めることは止めておきました






今回は前回と少し違った砥石を使ってみたところ
刃先は問題なく仕上がりました


参考までにこれは前回研いだ寸二の刃先
細かい乱れがあります
これはおそらく途中で使った硬めの青砥が原因と思われます
目起こしをする砥石をもっと粒度の細かいものにすると
もしかしたら大丈夫かもしれません・・




今回使った砥石
上段左から、いつものシャプトン「刃の黒幕」#320
次に福井県産浄教寺じょうけんじ赤砥(粒度約#800)
右端は丹波亀岡・岡花産青砥(やや硬めで粒度は約#1200)
次に使ったのは下段左端、群馬県産沼田砥
通称、瓢箪ひょうたん沼田、粒度#2000以上
右の2丁は仕上砥で前回使ったものと同じです
左は中継ぎの京都亀岡・丸尾山産「黒蓮華巣板」
右は最終仕上げに使った京都亀岡・一本松産戸前





2013年5月21日火曜日

安来鋼・白紙1号鉋、焼き入れ直し


いま使っている「も作」銘寸二鉋(身幅50mm)が
刃がかなり短くなったので
それに代わるものとして、同じ鋼(安来鋼・白紙1号)の
某有名メーカーのものを数ヶ月前に手に入れていたのですが
これがどうも調子が良くない・・
というよりも、これでは仕事では使えない

ギターの補強材にするスプルースをちょっと荒削りしただけで
ご覧のように、刃先がグニャグニャと変形している
もちろん切れは止まっています

銘にはモザイクをかけましたが
研いだ感じも焼きが甘すぎるかなという印象が強い
小鉋とはいえ価格は安くはない
だが、こういったものは返品は利かないだろうから
自分で焼き入れをやり直してみることにしました
焼き入れの様子は以前YouTube動画をUPしましたので


ということで焼き入れを決行し
画像は焼き戻しをしているところ
炭素分が多い鋼の特性を活かすため
低めの温度、約170度で1時間ほどやってみました

焼き入れでの歪みを修正するのに
やや苦労しましたが
何とか研ぎ上げてみました

研いでみて、以前よりも強靭さを感じます

刃先は問題ありません
焼き戻しもうまくいったようです

ということで早速他の鉋を含め寸二鉋3丁で
削り比べをやってみました

YouTube動画UPしました その1 その2 その3

以下はその画像です
製作中の19世紀ギターの補強材にする
スプルース材を荒削り

も作・寸二

勘兵衛・寸二


そしてウォルナット材を荒削りしました

も作

勘兵衛

3本の動画撮影後の刃先の状態です
これは某有名メーカーの寸二
刃先はほとんど変化はありません
かなり強靭になり、永切れするようになりました

そして「も作」銘・寸二のもの
上に比べると、やや刃先が摩耗しています
切れはまだ止んでいません

3丁めは、古い大阪鉋「勘兵衛」銘・寸二
これは炭素鋼系ですが
時代から判断しておそらく玉鋼と思われます
やや焼き入れが甘いので
3丁の中では最も刃先が摩耗しています

以上、これで焼き入れをやり直した鉋は
何とか仕事で使えるようになりました

2013年5月18日土曜日

工房の様子 國行銘寸六鉋 活躍の巻


先日手に入れた國行銘寸六鉋
なかなかやってくれます
複雑な杢のウォルナットの薄板を削ってみましたが


切れは軽く、深い逆目も止まっています





板の厚みは約1,5mm




これは製作中の19世紀ギター、ウィーン・タイプの
サウンドホール縁飾りになります


ウィーン・タイプの響板と裏板
弦長は600mm



こちらは同時製作中の19世紀ギター
ラプレヴォット・タイプの響板と裏板
裏板は燻煙熱化学処理されています
弦長は630mm


工房の様子 國弘寸六鉋大活躍の巻


先日手に入れた昔の職人さんによって
使い込まれた國弘銘寸六鉋を
仕事で使ってみました


製作中のマリアハープの構造材をかなりの量削りましたが


刃先がやられやすいセドロ材を荒削りしても
なかなか永切れしてくれます
日原大工が使っていた國弘と比べてしまうと劣りますが
このレベルのものはなかなかお目にかかれません


裏板を接着したところ


響板に補強材を接着


響板の接着を終え、裏板に空気抜きの穴を開けたところ


2013年5月17日金曜日

藤四郎銘組鑿の寸二追入ノミを研ぐ


播州(兵庫県南部)日原大工の棟梁が使っていた
千代鶴是秀作と思われる藤四郎銘組鑿ノミの
寸二追入鑿を研ぎ上げました












はがね部分を拡大してみました
刃先がやや荒れていますが
原因は今のところ分かりません
今後の課題としておきます
組鑿10本を研ぎ上げた時点で何か分かるかもしれません



研ぎに使った砥石
今回依頼を受けている藤四郎銘の組鑿は
できるだけ丹波産の砥石を使いたいと思い
このような組み合わせにしてみました

上段左端は人造砥のシャプトン「刃の黒幕」#320
その右は丹波亀岡・岡花産青砥(粒度約#1200)
右端は今回手に入れた青砥(粒度約#2000)
下段左端はこれはかなり硬い青砥で粒度は#2000以上あります
その右は丹波亀岡・丸尾山産巣板(黒蓮華)
右端は丹波亀岡・一本松産戸前




これは一本松産戸前ですが
ノミや小刀の最終仕上げ用として
現在主力で使っているものです
刃物を選ばず使え、たいへん重宝しています


地鉄じがねも研ぎ傷が肉眼では見えないほど仕上がります
上部の柿の木の枝が写っています