「平田家文書 その7」で紹介した
菱川師宣の職人図の「研ぎ」図の
古典籍総合データベースの資料(参照)では
説明文の一行目最後の二文字が
「ちち」としか読めないと指摘しましたが
(赤線で囲った字)
室町時代の「七十一番職人歌合」の
同じ図では「ちと(少しの意)」となっています
そうすると「ちと押さばや」となり
これだと意味が成り立ちますね
それから、「ちと」の前の字は
師宣の図では「今」となっていますが
この図では「と」です
今という字も崩せば「と」によく似た
ものになりますが、上の図は明らかに
「と」の字だと思われるのです
しかしながら
「おもき」で改行されているので
文頭に「と」がくると意味を成しません
そうすると、この文は
「先が重きと ちと押さばや」とするよりは
「先が重き 今ちと押さばや」
の方が意味は分かりやすいですね
版木を彫った職人のミスなのでしょうか・・
これは「七十一番職人歌合」の
「貝すり(貝磨り)」図ですが
岩波書店の解説本では、「ばくたい」を莫大とし
「べき(べし・の連体形)」を予定の意味として
「たくさんの貝が必要だろう」と解釈しています
「白かねさいく・白銀細工」図の
「なんりやう」は
源 信正氏のご指摘のとうり南鐐(なんりょう)
とされています
意味は「美しい銀、良質の銀」