2012年3月3日土曜日

平家琵琶の腹板を接着


製作中の平家琵琶
腹板を膠・ニカワで接着


上の画像は膠が下に
垂れてもいいように
新聞紙を敷いていますが
その下はこのように4点で固定しています




参考までに
これは500年ほど前の
平家琵琶ですが
接着部はすべて膠が
使われていました
内部の書付により
安永十年(1781年)
修復されていますので
オリジナルの接着剤は分かりませんが
おそらく膠が
使われていたので
修復の際にも膠を使ったものと思われます
八音抄でも
にかわ付きの面(接着面)は四分(約1.2cm)に弱きほど
内の深さは五分(約1.5cm)にいきたる程
少し撓たわみかかりたるやうに得るべし
と説明されています

現在の琵琶製作では
ソクイ使われるようです

平家琵琶の腹板に堰を接着

製作中の平家琵琶、堰を接着
ピノッキオの鼻のよう・・
この鼻は腹板を槽に接着する際に
槽の底に当たる長さにカットされます
この時やや長めにカットし
腹板を接着したときに鼻のところで
緊張感を持たせるようにします
擦弦楽器の魂柱のようなものですかね・・



八音抄の堰に関する記述

堰を置くこと 撥面参照の中すみの程あるべし。中すみより上へ寄るべからず。二に取らば下へ寄るべし。広き方はしもと云う堰の下がり上がりによりて、声の良し悪しは未だ探り出ださず。堰は板返し固からず、又柔らかならず。木の少し勇めきたらむ良し。堰に別の柱を立たさまにしたるあり。さあるべしとも覚えず。良き物どものは、別の柱をす。ただ刻み残したる長さ二寸(約6cm)ばかりも一寸四・五分(約4,2~4,5cm)もありげなり。すべて甲・腹の木少しおくれたらば堰は太くもこはらか心ざすべし。甲・腹固くしやう過ぎたらば、くつろかにすべし。

2012年3月1日木曜日

平家琵琶の半月と陰月を仕上げる

製作中の平家琵琶
半月(目)と陰月を仕上げ
これで腹板が出来上がりました
半月を仕上げる動画をUPしました


こちらは内側





2012年2月28日火曜日

平家琵琶、槽を削る


製作中の平家琵琶の槽(甲・裏板)の
内側を削りました

ウッドカーバーで荒彫りした後
鑿・ノミで厚み調整していきます



完成

中世中山仕上砥おそるべし

注文していた中世中山仕上砥が、さゞれ銘砥(330mate)から届きました。期待どおりの銘砥でありました。
数年前、木工家の徳永さんのところで、徳永さんの師である竹内碧外が使っていた仕上砥を見せてもらい、研がせてもらったのですが、その砥石に魅せられ、同じようなものがないものかと探していたのです。
ザクザクとした研ぎ応えにもかかわらず、仕上がりが
緻密で、1本の仕上砥で中継ぎと最終仕上げを兼ね備えているもの・・
この夢のような仕上砥は、「さゞれ銘砥」の中岡氏が掘っている中世中山砥にあるに違いないと確信。機会があるごとに1本、また1本と手に入れていたのです。
ほぼ近いものには数本出合いましたが、まだ何かちょっと違うという感が拭えないでいたのです。
そして念願叶い私にとっての理想の仕上砥に出会うことができたのです。中岡氏に感謝、感謝です。 


これは先般手に入れた
佐野勝二作・昭豊銘の寸八鉋
研ぎ面は一分研ぎ(幅3mmほどの研ぎ面)ですが

このように良く反応し
強い研磨力があります
そして鋼(はがね)は鏡面近くまで仕上がるのです
鋼は安来鋼・青紙と思われます




そしてこれは炭素鋼の石社(いしこそ)・寸八
研ぎ面は二分(約6mm)研ぎ




そして研ぎ面三分(約9mm)研ぎの
千代正鉋・寸八



どちらもこのような感じで反応します