2012年9月5日水曜日

スプルースの光透過実験


いま製作中の2台のラプレヴォット・タイプ
響板に燻煙化学処理された
アルペン・スプルースと
未処理の同じ産地のスプルースを使っています

サウンドホールの縁飾りを入れる部分を
削り取ったところで、ふと
処理されたものと未処理のものの
光の透過具合はどうなのだろうかと思い
いい加減な実験ですが
ちょっと比べてみました
上の画像は右が30年ほど自然乾燥させたものを
燻煙化学処理してもらったもの
左は未処理のもので
20年ほど自然乾燥させています



心なしか右の処理されたものの方が
光の透過率が低いような気がします


溝を彫ったところはどちらも
厚みは2mmほどです





溝を彫っていないところは
どちらも現状の厚みは約3,2mm

こちらは未処理のもの


こちらは燻煙化学処理されたもの



これに、このような電球を当て


反対面から見ると
未処理のものはこのように透過します



そしてこちらは処理されたもの
やはり燻煙化学処理されたものの方が
光の透過率は低いようです

このような実験を思い立ったのは
ここ30年ほど150年以上経った古いギターを
かなりの数修理・修復してきましたが
響板に使われているスプルースは
ほとんど光を透過しないのです
それが何故なのか、そしてどれ位の年数で
透過しなくなるのか
ということを知りたいと
かねがね思っていたのです



そういうこともあり
25年ほど前にやってみたことのある
実験をもう一度やってみました
上のスプルースは30年ほど自然乾燥させた
アルペン・スプルースですが

このように光が透過します



これを家庭用アイロンの強(約190度)で



このような状態になるまで
両面から熱をかけてみました
時間にして片面2分ずつ、合計4分ほどです


やや透過率が下がったような感じです




これをさらに高い温度で
両面から少し焦がしてみました
時間は片面数秒です



そうすると焦げた部分は
ほとんど光を透過しなくなりました

これは木質部が炭化したためだろうと
思われますが、内部までは
影響は及んでいないようにも思えます

真相を知りたいところであります・・


2012年9月2日日曜日

二枚刃・寸四(身幅55mm)長台鉋が完成



先日、自作した長台鉋のために
注文していた押え金が
出来上がってきました

身は明治時代の頃と思われる古いもの
鋼は炭素鋼系


押え棒は釘を代用

二枚刃・寸四(身幅55mm)長台鉋が完成
台はオリーブ材

2012年9月1日土曜日

鉄工芸作家・近藤明氏作の手回しオルゴール


鉄工芸家の近藤明氏による
手回しオルゴール第一号が出来上がりました
音は想像していた金属音がなく
密度のある上品な音でした
各音域のバランスがよく驚かされました









右は拙作の杉間伐材で作ったもの

2012年8月27日月曜日

長台鉋を自作


鉋身が1枚余ったので(参照
長台鉋を自作することにした

台の長さは33.3cm
試みに硬くて粘りのある
オリーブ材を使ってみた
滑りもいいのではないか
と期待

鉋身幅は56mm
身の仕込み角度は八分勾配(約36個度)

実際に掘ってみると
オリーブ材には脆(もろ)さがあり
加工にやや苦労した
二枚刃にするが
特注で打ってもらっている
押え金が出来上がってくるまで
一枚刃で使っていく

スパニッシュ・セダーを削ってみた
台の滑りはいいように感じる

荒削り用の長台鉋が二丁になり
作業の幅が広がった

2012年8月22日水曜日

会津「重力」銘の古い鉋身


古い会津鉋身を手に入れました
銘は「重力」、身幅約5.5cm
先般手に入れた重道銘の鉋身
よく似た造り込みですが
「会津の刃物鍛冶」という本では
紹介されていない銘です
どなたかご存じの方はぜひご教示願います


裏押しをしてみましたが
錆は浅く、なんとか使えそうです


低い刃角度だったので
先端一分(約3mm)を角度28度ほどにしました

鋼は炭素鋼(玉鋼でしょうか)ですが
刃先は緻密で美しい研ぎ上がりです

7月に手に入れた古い鉋の台に収めることにし
台の「背馴染み」にメープルの薄板を貼り足し

なんとか収めました


試し削りとしてカール杢のメープル材を
削ってみましたが、切れ味は軽く
これでしたら仕事で使えるでしょう

深い逆目を完全に止めることは
一枚刃ではやや無理があります・・

21日に紹介した板バネ製の小刀の柄を
仕上げるため使ってみました

荒削りでも仕上げ削りでも
問題なく使え、永切れしてくれます

これくらいのことでは
刃先はほとんど変化ありません