2013年1月11日金曜日

重房銘鉋身を研いでみた


昨日届いた重房銘の寸六鉋身の裏押しをし、研いでみました

裏押しを終えた状態



研ぎの仕上げには京丹波亀岡・大内産の仕上砥を使ってみました
あまり良い状態ではありませんが
筋はあたらず、問題なく使えます



やや硬めですが良く反応し、強い研磨力があります



大内は丸尾山を採掘されている砥取家さんがある地域ですが
そのためか丸尾山産の仕上砥とよく似た仕上がりです



違う角度で撮影したもの
地鉄(じがね)は荒めの仕上がりで鋼(はがね)は微塵に曇ります
刃角度を26度ほどに変更しているので
刃先から6mmほどを仕上げています
 



最終仕上げとして京都梅ヶ畑・中世中山産仕上砥を使いました
かなり硬い石質ですが、硬さを感じさせない研ぎ感です



ご覧のように地・刃ともにスッキリと冴えました




違う角度での撮影
刃先に研いだ際の返りが細かく残っています
鋼はやや甘めの焼き入れとなっているようです
ギター製作で使えるかどうか気になるところです・・
30年ほど前に重房銘の小刀を手に入れ
ギター製作用として使ったことがありますが
焼きが甘すぎ、使うのを断念したことがあります・・





これは今回の鉋研ぎとは何の関係もありません・・
近所の猪肉販売店で売られていたので買ったものです
猪(イノシシ)の牙ですね・・
この牙も猪の道具として理想的な形をしているのだと思います・・




2013年1月10日木曜日

19世紀ギター Laprevotte タイプ完成

弦長625mm どちらもSuzuki音律「文殊」


奥のものは、響板と裏板を野村隆哉研究所にて
熱化学処理してもらったもの

音出しの動画UPしております


































2013年1月9日水曜日

重房銘の寸六鉋身を入手



荷物が届くと真っ先に検査・・



重時銘の鉋身を挿げる台も届きました



これが新たに手に入れた会津・重房銘の鉋身と裏金
新潟の外栄金物さんからお世話になりました



(はがね)をグラインダーにかけると炭素鋼系の火花が飛びます



重時銘・寸六と並べてみました




この刻印の重房銘は何代目のものか判然としませんが
登録商標は取得されていたことが分かっています







身幅は左の重房銘は約67mm
右の重時は約65mm
身の厚さはどちらも厚いところで約8mm



2013年1月6日日曜日

会津刃物 重明銘の鉋身を入手

江戸時代から刃物産地として名が知られていた会津
その地で打たれたと思われる重明銘の寸六鉋身を手に入れました

あまりよい状態ではありませんが
何とか使えるようにはなりそうです
かなり使い込まれていて鋼(はがね)部分は
あと3cmほどしか残っていません

重明銘は重房銘の分家筋の流れで
初代重房は江戸時代末の刀工です
明治維新後、廃刀令が出てからは
刃物鍛冶を専業とし、その傍らで刀も打っていたようですが
重房銘は初代重房の長男と二男が受け継ぎます
その後、互いに本家を主張したため協議が行われ
結果、銘の「重」という字の切り方で違いを付けることにし
「重」の字の縦中央に引かれている線が
里という字に収まっているのが長男・安右衛門一門の字体
里という字から上に抜けているのが二男・猪之吉一門の字体
ということで決着したということです
上に紹介した重時銘の「重」は里の字から上に抜けているので
二男・猪之吉一門の流れということになります
(堤章著「会津の刃物鍛冶」による)

その他手持ちの会津鉋


鋼をグラインダーに当ててみたら
火花はほとんど出ませんでした
ということは鋼材は東郷ハガネでしょうか(参照)・・


2013年1月3日木曜日

優れた産地不明中砥二種で際鉋刃を研ぐ


YouTubeにUPした研ぎ動画の画像を
紹介しておきます

今回研いだものは身幅38mmの際鉋(キワカンナ)
際鉋はギター製作でもあると重宝します





最初に使った砥石は産地不明の中砥
石質は粘板岩のように積層にはなっていません
手持ちの天然中砥と比べてみると
群馬県産の砥沢虎砥にもっとも近い感じがします
参照(内田広顕著「刃物に関する諸材料」から
1970年当時の砥石採掘事情)


左が砥沢虎砥ですが
これは産地がはっきりしているものです(参照
中央のものも砥沢虎砥と思われるものですが
確かではありません
そして右が今回手に入れたものです
左から右に順に粒度は細かくなっています


粒度は#1500といったところでしょうか
硬めで緻密な石質ですが、よく反応し強い研磨力があります






次に使ったのは、これも産地不明の中砥
これと同じものを以前四国にある石材店から
購入したことがありますが
それよりは良く反応し、これでしたら
中研ぎの最終段階として充分使えます
四国の石材店から手に入れた際に産地を訊ねたら
外国産というところまでは教えてくれましたが
産国は言えないということでした


石材店では青砥の代替品ということで販売されていましたが
これは青砥というよりも対馬砥に近い感じを受けます
側も青砥や仕上砥のような顕著な層は確認できず
頁岩の一種かなという印象を受けます


粒度は#2000以上ある感じです





仕上げ研ぎは中継ぎとして
丸尾山産・天上内曇(天井巣板)を使いました
石質は硬めで、今回研いだような
刃先の直線をきっちりと出すための研ぎには
持ってこいの仕上砥です


硬めにもかかわらず良く反応し強い研磨力があります



地・刃ともに美しく微塵に曇り
地は青く、刃は白く仕上がります
このレベルでしたら刀剣研ぎでの
地鉄(じがね)部分を研ぐ内曇地砥
としても充分使えるのではないでしょうか




最終仕上げとして使ったのは
仕上げ砥石の名門、京都梅ヶ畑・中山産の戸前です
やや硬めの石質ですが
反応良く、心地よく研ぐことができます


時折、こういったことをして自慢している人を見かけますが
これは研ぎのごく基本的なことができていることの
傍証とはなりますが、それ以上の意義は何もありません
私は若い頃、研ぎの師匠から
こんなことを人に自慢するのは恥ずかしいことだから
決してやらないようにと戒めを受けました
当然のことながら、鎬面を少なくした
二分研ぎや三分研ぎではこういうことはできません


さすが中山産の仕上砥
地鉄の模様がくっきりと現れ
鋼はほぼ鏡面に仕上がります
コッパながら文句なしの仕上砥石です