2016年11月20日日曜日

工房の様子 サウンドホール縁飾りを嵌め込む

昨日の作業の続き
両縁を平に削る

荒削りも

仕上げ削りも同じ鉋を使いました

使った豆鉋は
古い会津鉋 重高銘

次に貝の部品を作っていきます

まず型作りから



出来上がった型

アバロン(メキシコ鮑Awabi)貝のシートに写す

糸鋸で切り抜く


ピラニア・ソーも使う



切り抜いたら

糸鋸の挽き跡を滑らかに仕上げる


貝の部分、出来上がり


そして、木の部分を作っていく

材はオバンコール


墨付けを終えたら

小刀と

ヤスリを使って
接着面を仕上げていく




組み合わせの出来上がり


瞬間接着剤で接着

次は両縁との接着面を仕上げていく

まず型を作る




型が出来上がり

墨付をする


墨付終了

糸鋸で切り抜く


切り抜きを終えた状態
左は特注小型モダン・タイプのもの

ガルシア・タイプの方を仕上げていく



これはゼリー状瞬間接着剤で接着

接着完了

あとは木の部分を削り
全体を平にすれば出来上がり

2016年11月19日土曜日

工房の様子 響板と裏板の切り抜きとサウンドホール縁飾り

接ぎ付け接着を終えた響板と


裏板をギターの形に切り抜く準備

バンド・ソーで切り抜く


切り抜き完了


その後、響板の表面を仕上げる

中仕工Nakashiko鉋として使った

そして仕上げ削り
逆目が交錯しているので
片手で削りました

使った鉋は三代目千代鶴、落合宇一作三水銘・寸八
鋼はスウェーデン炭素鋼と思われますが
切れ味軽く、これも永切れします

接ぎ目の逆目も完全に止まっています
こちらはガルシア・タイプの響板
30年以上寝かせたドイツ・スプルースです


こちらは小型モダン・タイプの響板
これも30年以上寝かせたドイツ・スプルース


羅生門寸六の刃先
鋼Haganeは特殊鋼系で
おそらくヤスキ鋼・青紙1号と思われます
研ぎ上げた状態では刃先に細かい乱れがありますが
驚くほど永切れします

三代目千代鶴・三水銘の刃先

ガルシア・タイプは
サウンドホールの縁飾りに貝を嵌め込むので
いつもとは違った工程で進めていきます

縁飾りのデザインを作っていく

まず縁飾りを入れる部分に
クリコ錐を使って切り込みを入れる


クリコ錐の刃先の様子

切込みをいれた部分を彫刻刀で彫り込む
まず7.5mm幅の平刀で荒彫り


次に9mm幅の平刀で底をさらい

12mm幅の平刀で仕上げ

彫り終えた状態

溝を彫り終えたら両縁の飾りを接着
これはタイトボンドで焼き付け接着を行っているところ


縁の接着完了

この後の作業は明日行います


2016年11月18日金曜日

スプルースの経年変化

楽器用材を整理していたら、24年前に製材した
ヨーロッパ・スプルースの板が出てきた

これはチェロの響板材として
ドイツから仕入れたもので
ギター用に製材した1枚です
スプルース材が経年変化で重さなどが
どのように変わっていくのか知りたくて
計測をやり始めたのですが

2010年を最後に計るのを忘れていたものです
そういうことなので、今日
2016年11月18日に、これまでと同じように
計測してみました

一回目は午前9時頃
気温9.8度 湿度56%
幅は上の画像の最後にも記しているように
168.0mm

長さは

1994年に計測を始めてから
変化はなく500mm


重さは230g
その後、約6時間後の測定では
気温19.8度 湿度50%
幅167.5mm 長さ500mm 重さ230g弱
1日の間でも幅や重さに僅かながら
変化があります

1992年に計測を始めた頃は
重さしか量っていませんでしたが
1994年8月から幅と長さを計り始めました
その頃と今を比較してみると
重さは約5g軽く、幅は0.3mmほど狭くなっている程度です
1992年にドイツから入手した時点で
かなり乾燥している感じで
すでに平衡含水率の状態になっていたと思われるので
計測した時点での環境により
重さや幅が変化していたものと思われます

以下、参照下さい





この部分は2008年の3月19日から20日にかけて
ハロゲンストーブで加熱し
その後の状態を計測したものです

最初に片面をストーブで3分焙り
その後反対面を3分
それを3回繰り返した後
すぐに計測したものです
重さは焙る前は228gだったものが
223gとなっており、5g減っています
幅は168mmだったものが167.5mmと
0.5mm狭くなっています
長さは変化はなく500mm

その後、再度焙ったりしましたが
幅が狭くなっても重さは変わらない
など、妙な変化をしましたが
24時間後に計ってみると大きく変化していました
このあたりは興味深いところですが
その後、今日の時点では
2008年の加熱をする前の状態と
それほど変わらない状態に戻っているのも
また、興味深いところであります