これは昨日紹介した江戸時代の画家
岩佐又兵衛勝以が描いた屏風絵の一部です。
ケースに入れられた三味線が描かれています。
全体図
これも岩佐勝以が描いたもので
琵琶法師が描かれています。
この琵琶も黒漆塗りと思われるケースに
入れられています。
同じく琵琶法師図。
これも黒いケースに入れられています。
これは鎌倉時代後期(14世紀)
に描かれた琵琶法師
(東北院職人歌合絵巻)。
これもケースに入れられているようです。
白いのが気になります。
岩佐勝以はこれを参考にしたのでしょうか。
布の袋に入れられた琵琶が描かれているのが
一般的と思っていたのですが
このようにケースに入れられたものが描かれているのは
大変興味深いところです。
さて、この琵琶も江戸時代初期の画家
岩佐又兵衛勝以が描いたものですが
かなり異様な琵琶です。
撥が当たるところを保護するための
撥面の位置が覆手(bridge )の下側にあり、
鶴首(neck )の形状もおかしいし、
柱(fret )のサイズも違う。
これはどう見ても楽器を見ずに描いているとしか思えません。
ということは、これはかなりの規模の工房で描かれ、
描き職人(弟子や息子など)も
多人数であったことが想像されます。
興味深いところです。
これは通常の琵琶です。
異様な琵琶が描かれている全体図
(といっても、絵巻物の一部です)。
鍬形蕙斎が
描いた琴師の工房の様子
喜多川歌麿が描いた琵琶
絃の張り方が
三味線のようになっている
実際にこういった琵琶が
あったのだろうか・・
人倫訓蒙図彙で
紹介されている
琴師の工房の様子
この琵琶も絃の留め方が
三味線のようになっている
この絵も同様
こちらの琵琶は
本来の留め方だが
絃を留めている
覆手の形が異様で
三日月形になっている
異様な楽器といえば、この楽器もかなりおかしい。
説明は「寛永、正保の頃の古画なり。
胡弓の古製と見るべし。胴丸く、弓短小にして
今と大いに異なる也。和漢三才図絵に胡弓は
南蛮より始まる、と見えたり。この図の古製蛮絃に近し。」
と書かれています。
通常、胡弓の胴は三味線同様四角ですが、これは丸い。
絃倉の転手の位置も逆。弓の形状もかなり違う。
それから、この絵が胡弓弾いているところならば、
弓を当てている絃の位置が駒bridgeの下側というのもおかしい。
おそらくこれも想像で描いたものと思われます。
いろいろ調べていたら、
イランの民族楽器ケマンチェ
という、よく似たものが見つかりました。
右の三絃のものは胴が丸く糸巻きの位置も同じ。
おそらくこれが描かれたのでしょう。
参考までに鈴木春信が描いた三絃の胡弓。
北斎の娘、應為酔女筆の署名がある三曲合奏図。
この胡弓は四絃。江戸時代中頃に四絃になったとされています。因みに、北斎の娘、應為(おうい)の署名は通常「應(応)為榮(栄)女」ですが、稀に「榮女」が「酔女」と書かれたものがあります。酔狂でそうしたのでしょうか・・
同じ構図の無銘の絵。
イアタリア、ジェノバのキヨッソーネ東洋美術館所蔵。
イアタリア、ジェノバのキヨッソーネ東洋美術館所蔵。