2013年10月10日木曜日

新身の小刀の裏を研ぐ

10月6日にUPしたYouTube動画の画像を紹介しておきます
動画で最初に使った
電着ダイヤモンド砥石#800


裏面に貼り付けている#1200


人造砥石でも手持ちの刃の黒幕#1500は
刃物の裏を砥ぐには反応が悪く
目起こしをして使うのですが
このPAPA2000はそのままでも良く反応してくれます


これは群馬県産沼田砥・砥沢虎砥
粒度は約#1000
これはそのままでは反応が鈍いので
目起こしをして使いました
人造砥の傷は#2000でも深いので
天然砥石の#1000で研ぎ戻したくらいが
ちょうど良い感じです


愛知県産三河名倉砥・ボタン層
粒度は#2000以上


ここから仕上砥石で、これは荒めの中世中山砥
硬さはやや硬めです


そして最後に京都梅ヶ畑・中山産の戸前で仕上げました


9mm幅の小刀で鋼は安来鋼・青紙
これは試しに購入したものですが
青紙鋼の小刀は鉋同様切れが重く
仕事で使う気にはなれません・・




鎬面の様子


これは現在主に使っている小刀で9mm~12mmのものです
刃角度は22度~28度
左のものが切れが最も軽く(刃角度約28度)
順に右に切れが重いものを並べてみました
左の最も切れが軽いものと右の重いものが
青紙鋼というのが興味深く
また、刃角度の違いはほとんど切れの軽さには
関係がないのもおもしろいところです
今回の青紙鋼の小刀は右端のものと同様でした・・

左端のものは30年ほど前に刀匠に頼んで
5本打ってもらったものの一つです
価格は1本¥5000程度でした
青紙鋼の良いものが手に入ったので
ということで打ってもらったのですが
現在の青紙とは違うものとしか思えません
昭和の始め頃の初代・二代初弘や初代金井の鉋のように
青紙鋼の鉋でも切れが軽く、永切れするので
そのような鋼だったのかもしれません

他のものは使い込んでしまったので
これが最後の1本となってしまい
代わるものを探しているのですが
これに匹敵するものに未だ出合えないのです・・

2013年10月8日火曜日

バロックギターとGelas風フラットマンドリン

これから製作するバロックギターのボディの原型を作り
原寸図を描きました 弦長は630mm






原寸平面図を描きましたが
日によって見え方が違うので1週間ほど様子を見ます

次の日、全体を眺めているとボディ・ラインに
気に入らないところがありました
もう少しイタリア風にしたいところ


気に入らないところを修正


このときデカンショ節など日本の音楽を聞いたりしていると
楽器全体の雰囲気が日本風になるので気を付けている
この時には先般手に入れた
アコーディオンとチェロによるバッハを流した


外側の線が修正したところ


肩ももう少し張りを付けたいところ・・


2日後、肩部分を修正


BGMはいろいろな演奏家によるバッハの
ヴァイオリン・ソナタとパルティータ



こちらはもう1台製作のGelasジェラ風フラットマンドリン






これは参考にさせてもらったオリジナルGelas




型枠の下拵え終了 

2013年10月7日月曜日

パーチメント・ロゼッタが届く

これから製作するバロックギターのための
パーチメント・ロゼッタがイタリアから届きました
作って下さったのはイタリアのElenaさん
すばらしい技術です 




これはバロックギター用





そしてこれは製作中のマリアハ-プに付けるもの


2013年10月5日土曜日

包丁の刃が欠ける

買って間もない包丁でトウモロコシを切ったら
このように刃が大きく欠けてしまった
メーカーに見てもらったら
これは何か堅いものを切って包丁を捻ったためになったもので
包丁自体には問題はないという返答がきた
刃物を販売している他の業者は
トウモロコシの芯はカボチャのように堅いので
使い方が悪いとこうなると言っていたが
別に普通に切っただけで特にひどく捻ってはいない
どう考えてもこの包丁は鋼の素性が悪いか
焼き戻しが足りないかのどちらかだと思うのだが・・


因みにこれは15年ほど使っている白鷹さん作の菜切り包丁だが
これなどはトウモロコシを何本切ったか覚えていないほど
切ってきたが別に何ともない


また、これは20年ほどナタ代わりに使っている
小振りの中華包丁


上の2丁の包丁よりも刃の厚みは薄いが


このように乱暴に木を削っても何ら問題はない
もちろん捻ることは何度もやっている


なぜこれは刃が欠けないのかね・・


昔に採掘された優れた青砥を入手

京都丹波亀岡産と思われる
大きな青砥を手に入れました


「各国大博覧会賞牌受領」という字が
右から置かれているので
時代は大正から昭和初期と思われます

ラベルに書かれてある「大礼記念京都大博覧会」は
昭和3年に行われているようなので(参照
このラベルはそれ以降のものということになります





研ぎ面(柾目面)に茶色いゴマ粒状の斑点が確認できます


やや赤みがかっていますが
それほど柔らかくはなく、カッチリと砥ぐことができます
鉋研ぎにはちょうど良い感じです
YouTube動画参照下さい


丹波産青砥によく見られる針気(地鉄に付く太目の研ぎ傷)が
ほとんど見られず、緻密で粒度がよく揃っています
地・刃の境がクッキリとし、内曇で研いだように研ぎ上がっています
こういった感じは神前産には見られないと思うので
産地はもう少し南西の、青野から宮川あたりでしょうか・・
粒度は約#1200

このような青砥には30年ぶりに出合いました・・
30年以上前、20代の頃は研ぎの師匠から分けてもらった青砥を
主に使っていて、5本ほど使い減らした頃、分けてもらいに行ったら
もう優れた丹波青砥は手に入らないと言われました
そのことの意味は後々理解することになるのですが
その、若い頃使っていた優れた丹波青砥と
この青砥は顔も研ぎ感も、研ぎ上がりもよく似ているのです
思わず、ご老体でも目がキラキラとした師匠の顔が浮かびました・・




動画では青砥の次にやや硬めの中山産・戸前を使いましたが
やはり青砥の傷をいきなり消すのは無理があったので
この太平山天井巣板(内曇うちぐもり)に取り換えました





内曇砥独特の研ぎ上がりで
地・刃ともに美しく微塵に曇ります



最終仕上げに使った
京都梅ヶ畑・中山産の戸前


やや硬めの仕上砥で
中研ぎを細かめに研ぎ上げておくと(#2000以上)
これだけで研ぎ上げることができますが
#1200ほどだと時間がかかってしまいます


研いだ鉋身は以前紹介した義廣銘寸四