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2015年3月29日日曜日

佑水銘特殊小刀を仕事で使う

以前紹介した備中(岡山県)の武田松水鍛冶工房
中西佑水さんが鍛えて下さった特殊小刀は
たいへん優れているので
仕事で使うため、自分の道具として
仕立て直すことにしました


これは刃の形状を使い易いように
グラインダーで形成した状態
実際に使うのは刃先から2cmほどで
その下の部分は指を当てたりするので
できるだけ刃先が厚くなるように削りました


その後、シャプトン「刃の黒幕」#320で荒研ぎをし
これはその研ぎ傷を消した状態です
使った砥石は昨日三木の知人から譲り受けたもので
おそらく関東方面の青砥だと思います
先日紹介した栃木県の深沢砥や荒内砥によく似ています
かなり使い込まれて大きく変形し
砥面を修正したら厚みが3cmほどになってしまいました
こういった関東の砥石が兵庫県の旧家でも使われていた
ということに興味が湧きます


上の青砥で研いだ状態




やや硬口で良く反応し
強い研磨力があります
こういった変形の小刀を研ぐのに重宝します


左は先日紹介した栃木県産の深沢砥



これも昨日譲ってもらったもので
産地不明の中砥です


目〆系のかなり硬い砥石ですが
これも研ぎ面がかなり凹むまで使われていました
上の画像は目起こしをして研いだ状態
鋼はピカリと光るほどに研ぎ上がります




黒い斑点の様子から
一見、福島県産の会津砥かなと思いましたが
群馬県産の沼田・虎砥のような縞が入っています
会津砥にこのような縞があるのは
私はまだ見たことがありません
果たしてどこの砥石なのでしょうか・・



仕上砥ぎはいつものように
森砥石さんからお世話になった
神前Kouzaki産の戸前を使いました


鋼は充分研ぎ上がっていますが
丸みの付いた地鉄面は研ぎムラが目立ちます


仕事で使う分には問題はありませんが


人様に研ぎ上がりを披露しているので
いちおう、化粧研ぎをしておきます
使った砥石は栃木県産の飛駒砥


ま、これくらいでいいでしょう・・






さっそく仕事で使ってみました
この小刀はギターのこの部分を削るために
鍛えてもらったもので、ようやく本領発揮といったところ・・


この後の工程で、バインディングを接着した後も
この部分を削る際に活躍してくれるでしょう


昨日紹介した両ミミをおとした弘正銘の八分薄ノミも
この作業で使います





ここまでは手の力だけでいけますが


この部分は手で押すとヒール部を
傷付ける恐れがあるのでプラ玄翁で叩きます
ノミは25日に紹介した某有名メーカーの三分追入ノミ
手で削ると切れが重いノミも
玄翁で叩くとほとんど分かりません


2015年4月2日木曜日

茨城県産赤沢砥 これは素晴しい!

関東の天然砥石の調査をしていらっしゃるTさんから
新たに採掘された赤沢砥が届きました
以前紹介したものと違い、かなり上質なものです

サイズも立派なもので一緒に撮影した
寸八鉋が小さく見えるほどです




反対面の様子


採掘の様子は名古屋砥泥会のブログで紹介されています
参照下さい



さっそく試し研ぎを行いました
今回もたまたま八分(刃幅24mm)の薄ノミを
研ぐ必要があったので、それを研いでみました
まず中砥ぎとして以前紹介した栃木県深沢産の青砥





次に愛知県産三河名倉砥で研ぎ傷を細かくしました
層は八重ボタンでしょうか・・


そんな研ぎ傷です



そして今回届いた赤沢産仕上砥
これはTさんが研ぎ面を仕上げて下さっていたので
たいへん助かりました
戸前層でしょうか・・美しい黄板です
まろやかな研ぎ感で心地よく研ぐことができます
若狭砥を採掘している尚さんによると
若狭・中井産と同様合成りの砥石層だということです
その戸前ということでいいのでしょうね


三河名倉砥の傷が1分ほどで消えました


しかも地鉄、鋼ともほとんど鏡面に研ぎ上がります
これには驚きました
この研ぎ感と研ぎ上がりは
以前、尚さんが採掘されていた福井県中井産の
硬口の仕上砥に似た印象を受けます(参照


刃先の拡大画像(約180倍)



次に大判の原石を一部面出しを行い、研いでみました
上のものよりも硬めですが
これも滑らかな研ぎ感です


さらに緻密に研ぎ上がりました
これも1分ほど研いだ状態




文句なしの研ぎ上がりです
関東にもこのような優れた仕上砥があったのですね・・


2015年5月13日水曜日

古い会津鉋 重上寸六を入手

古い会津鉋、重上・寸六(身幅66mm)を
手に入れました
研ぎ上げた状態


鋼(はがね)は和鉄(玉鋼)と思われます

重上は刃先の強靭さに評価が高く人気があり、
偽物も作られたということですが、この鉋は果たしていかに・・
使ってみれば分かるでしょう

研ぎに使った砥石、すべて天然砥石
中央左から中砥ぎの最初に使った茨城県産
深沢砥(粒度は約#800)
その右は中砥の栃木県産荒内砥(粒度約#1200)
その右は三河名倉砥(層はボタンと思われ粒度は約#1500)
右端は仕上砥ぎの中継ぎに使った京丹波亀岡、神前(Kouzaki)産戸前
下は最終仕上げに使った茨城県産赤沢砥
上は裏研ぎ専用の京都梅ヶ畑、奥殿(Okudo)産白巣板


地鉄(じがね)は幕末期の日本刀のような研ぎ上がり状態です
この鉋身は元々は外丸鉋と思われ、その形跡が
身の鎬部分の両端に見られます

刃先の拡大画像(約180倍)
先般紹介した重高・寸六とよく似た印象を受けます
研いだ感じや砥石の傷の付き方から
やや焼き入れは甘いかな・・
という気がします

台を自分好みに変えているところ
まず、木端返しの角度を修正しました

二枚刃鉋は一枚刃鉋と違って
押金(裏金)で逆目を止めるので木端返しは必要ありません
深い逆目を止めるには二枚刃の先端の様子を
確認できることが重要なので私は木端返しは
ほぼ90度に切り下ろし、幅も狭めにしています
刃口はできるだけ狭い方がいいのは一枚刃鉋と同じ
以前紹介した押金考参照下さい



木端返し部分出来上がり

鉋身を押さえる溝を修正しているところ

刃口部分が出来上がりました

次に削り面を調整(下端削り動画参照下さい)



出来上がりました


刃口の幅が不揃いでやや広すぎるが
中仕工鉋としては何とか使えそうであります

さっそくハカランダ材を試し削り
玉鋼独特のサリサリとした削り心地です

荒削りながら、深い逆目もほぼ止まっています
永切れを期待したいところであります
これからしばらく仕事で使ってみます

その後、いろいろ使ってみた結果
刃先の持ちが悪く
仕事で使えるレベルではありませんでした
重上鉋は往時かなり評判がよく
偽物も出回ったようですが
これはもしかして、その偽物かもしれません