2014年1月30日木曜日

正宗小刀 削り比べ

YouTubeにUPした
小刀の削り比べの画像を紹介しておきます






動画で最初に使った「正宗」銘小刀
鋼は安来鋼・白紙ということです
刃角度は約30度(研ぎ動画はこちら
刃角度が高い影響か、やや切れは重いものの
切り込みの微妙なコントロールには応えてくれます
小刀の刃角度が30度になると
刃を返して手前に削る際に手首の返りが大きくなるので
手首に負担がかかってしまいます
少しの時間ならば大丈夫ですが
長時間になると手首を傷めることがあるので
私は仕事で使う小刀は27度前後にしています


これは以前紹介した「正宗」銘、安来鋼・青紙の小刀
刃角度23度ほどですが、切れの軽さは
上の正宗とそれほど変わりません


これはスウェーデン鋼の左久作銘
切れは滑らかですが削り具合のコントロールにやや苦労します
刃角度は約26度


最後にこれは主力で使っているもの
切り込みの鋭さと切れの軽さを併せ持ち
微妙なコントロールにも応えてくれる優れものです
刃角度は約28度


2014年1月26日日曜日

刀匠・綱廣さんが鍛えた正宗銘小刀を研ぐ

相州鎌倉の刀匠、正宗二十四代目
綱廣さんが鍛えた小刀を
縁あって手に入れることが出来ました
銘は正宗


自分の道具として使うためこのように形成



砥ぎ動画をYouTubeにUPしました
その際に使った砥石群

動画で使った順に、上左からシャプトン刃の黒幕#320→
これは荒研ぎで、動画撮影はこの砥石で
5分ほど研いだ状態で始めました
その右、メーカー不明人造砥#1000→
群馬県産戸沢虎砥、粒度約#800→
同じく戸沢虎砥、粒度約#1200→
下段左、三河中名倉・アツ層、粒度約#1500→
ここから仕上砥ぎで、丸尾山産・黒蓮華巣板→
山口県岩国産杭名砥・蓮華巣板やや軟質→
同じく杭名砥・蓮華巣板やや硬質


杭名砥・蓮華巣板の硬質のもので砥ぎ上げた状態
鋼はほぼ鏡面に、地鉄の砥ぎ傷もほぼ消えています
これで充分な研ぎ上がりです
元の方の刃先が2cmほどまだ研ぎ上がっていませんが
この部分は使わないので問題ありません 


裏の様子


鋼の刃先の拡大画像(約100倍)
問題なく研ぎ上がっています

2014年1月24日金曜日

杭名砥・浅黄で燕鋼の鉋を砥いでみました

山口県岩国産杭名砥の硬口浅黄で
燕鋼の鉋を砥いでみました


今回砥いだ燕鉋は身幅は55mm(寸四鉋)で
刃角度修正中で砥ぎ面は3mmほどしかありません
それでも前回の石社鉋砥ぎよりも良く反応しました





こちらはさらに硬めのもの


これは上の手に入れた状態から
サイドをカットしたものです
前回の石社鉋砥ぎでは、ほとんど反応しなかったのですが
燕鋼には砥ぎ幅が3mmほどと狭くても
驚くほど良く反応しました

これは以前紹介したハイス全鋼鉋砥ぎと
同様の現象で、このように硬い仕上砥は強靭な鋼ほど
良く反応するのです(参照




刃角度修正中のため
刃先から3mmほどを約29度で砥いでいます


砥ぎ傷も前回の石社鉋(炭素鋼)よりも浅く
問題なく研ぎ上がっています

おそらく燕鋼は炭素鋼よりも強靭なため
砥ぎ傷が付きにくかったためと思われます


これは前回の石社鉋(炭素鋼)の砥ぎ傷

2014年1月20日月曜日

杭名砥・白巣板と京都産白巣板 砥ぎ比べ

前回紹介した、山口県岩国産・杭名砥の内
白巣板・蓮華2丁と京都産白巣板4丁とで
砥ぎ比べをやってみました
YouTube動画UPしました

砥いだ鉋は前回と同じ石社鉋寸八
研ぎ始めは前回の杭名砥浅黄で
砥ぎ上げた状態から行いました
これは前回の最終研ぎ
硬口の浅黄で砥いだ鋼部分の砥ぎ傷です



最初は杭名砥のやや柔らかめの白巣板
この画像と次の砥ぎ上がりの画像は
前回UPしたものを使いました




刃先の拡大画像は新たに砥いだものです
鋼の砥ぎ傷は浅く刃先部分は傷が消えかかっています
これで充分仕事で使えるレベルです



次は杭名砥のやや硬めの蓮華巣板
これも前回UPした画像です




上の画像では、地鉄には針気状の傷が確認できますが
鋼には及んでおらず 
鋼は更に砥ぎ傷が細かくなり、消えかかっています



次は京都奥ノ門産白巣板


硬さは普通で、反応よく心地よく砥ぐことができます
奥ノ門産独特のザリザリとした研ぎ感です




研ぎ感同様、鋼の砥ぎ傷はやや粗く深い感じです



次は京都梅ヶ畑・奥殿産巣板で美しい紅色の紅葉が出ているものです


やや硬めですが良く反応し
奥殿産としては比較的滑らかな研ぎ感です




上の奥ノ門産よりは細かめの傷ですが
やや粗い感じを受けます
奥殿産巣板は研磨力がある分
粒度が細かめでも
このように砥ぎ傷は比較的粗めで深く付きます



次は同じく梅ヶ畑・菖蒲産の蓮華巣板です
全面に蓮華が出ている珍しいものです


やや硬めですが菖蒲産独特の滑らかな研ぎ感です


地鉄は日本刀のように美しく研ぎ上がっています
鋼も光るほどに研ぎ上がっていて
さすが菖蒲産といったところです


砥ぎ傷は浅く、拡大画像も文句なしです



最後に京都新田産の白巣板です
現在、新田山を掘っておられる森砥石さんも
これは初めて見たというほどの珍品です


両側の様子
途中に蓮華のようなものが確認できます


硬めですが反応良く、心地よく研ぐことができます


全体にピカリと光る砥ぎ上がりですが


鋼の砥ぎ傷は砥石の質の割には粗めで
深い傷が付いています
砥石は砥いでみなければ分からない
ということを改めて感じました


2014年1月19日日曜日

山口県岩国産 杭名砥を入手 

山口県岩国産の杭名砥という
仕上砥石を手に入れました
お世話になったのは
地元の刃物工房藤本さん
画像下の左2本は白巣板蓮華
上の2本は戸前・浅黄と
いったところでしょうか
右は赤ピン系で粒度粗めです

裏の様子

側の様子

白巣板蓮華はほとんどが
巣無しなのだそうです
京都の奥ノ門産白巣板や
梅ヶ畑の菖蒲や奥殿産とよく似ていて
紛れてしまうと見分けは
付かないでしょう

これは戸前・浅黄のやや粗い方です

試し研ぎの様子を
左端は中研ぎに使った
京都亀岡産と思われる青砥
やや黄色がかった珍しいものです
その右の6丁は杭名砥で
動画では上の左端から右に
下の左から右にという順で
使っていきました
仕上砥は動画撮影の前に砥ぎ面が
同じ条件になるように
写真に写っている黒名倉で表面を
擦っておきました

中研ぎに使った青砥(粒度約#1000)


やや柔らかめで強い研磨力があります

研ぎ上がりは緻密で、針気もありません

仕上砥ぎに使った赤ピン系の杭名砥
この手のものは採掘されていた当時
人気があったそうです

ザクザクと心地よく研ぐことができます

粒度は粗く、仕上砥というよりも
中砥といった感じです
家庭用の包丁などを砥ぐのに
威力を発揮したものと思われます

次は白巣板蓮華のやや柔らかめのもの

砥いだ感じは梅ヶ畑の奥殿産の
シャリシャリとした手応えと
菖蒲産のような滑らかさを
併せ持ったような感じです
これは東物と言われれば
納得してしまいます

地鉄にやや砥ぎ傷が確認できますが
鋼は光るほどに研ぎ上がっています
これで充分仕事で使えるレベルです

刃先の拡大画像(約100倍)
砥ぎ傷が浅く、刃先はほぼ傷が消えています
このように研ぎ上がるものは梅ヶ畑の中にも
そうは見られないと思います

次は同じ蓮華巣板でやや硬めのもの

真っ黒な砥ぎ汁が出ます

地鉄に所々細かい針気が見られます

刃先の拡大画像(約100倍)
針気は鋼にも及んでいますが
刃先では消えているのでそれほど
深さはないようです
これも文句なく研ぎ上がっています
このレベルで研ぎ上がるのは
東物(梅ヶ畑産)では
菖蒲産の優れたものか、巣板以外では
中山産の優れたものくらいでしょう・・
まったく驚きます

次は硬めの浅黄

硬い割にはよく反応しますが
粒度が粗い手応えを感じます

やはり地鉄にも粗い傷が付いています

鋼の傷は想像していたよりは細かい感じです

最後に、これはかなり硬めの浅黄ですが

反応は鈍いものの
これも研ぎ感に粗さを感じます

研ぎ上がりは一見ピカリと光っているようですが

刃先の拡大画像(約100倍)
拡大してみると
鋼全体に粗めの傷が深く付いています
粒度は細かいのでしょうが微粒の粒が硬く
鋼に深く傷が付いているのかもしれません

そうすると、今回の中では
白巣板蓮華の2丁が研ぎやすく
しかも研ぎ上がりも優れている
ということが言えると思います
私としては仕事で使うには
最初に使った白巣板のやや柔らかめのもの
ということになりそうです

砥いだ鉋は広島の刃物鍛冶
石社いしこそさん作の寸八(炭素鋼系)


後日、手に入れた蓮華巣板