2015年2月22日日曜日

工房の様子 備中鍛冶工房の佑水銘特注小刀

昨日、今日と琵琶の覆手の作り換えをやっています


薩摩琵琶の覆手は「島桑」を使うのが掟とされていますが
この琵琶は音が軽すぎるので
桑材に拘らず良い効果が得られる素材を使って欲しい
という奏者の希望で、堅くて重い紫檀材を使うことにしました


我が家のネコはマタタビには興味がないのに
ローズウッドなどマメ科の木の匂いがお気に入り


作業中、頼んでいた特殊小刀が届きました
鍛えて下さったのは備中(岡山県)鍛冶
武田松水工房の中西佑水さん


鋼は安来ハガネ・青紙スーパーだということです


この形状の小刀は楽器製作で重宝します
刃部の元から15mmほどは指を当てるので
初刃(うぶは)に戻しました(参照


研ぎ上げられた状態で送って下さいましたが
研ぎもお見事
刃角度は約30度 


柔らかいスプルースや


セドロ材でも切れは驚くほど軽く


粘りの強いメープル材や


堅い紫檀材もサクサクと削ることができます


さっそく仕事で使ってみました




抜群の切れで


コントロール性も文句なしです




これくらいの削りでは刃先は何ともありません








もう一息で出来上がりであります


完成

2015年2月21日土曜日

再生伊予砥と天然伊予砥、神前産仕上砥でハイブリッド鋼のノミを研ぐ

再生伊予砥二種と天然伊予砥
そして、神前産戸前を使って
ハイブリッド鋼  全鋼ノミを研いでみました
最初にいつものように
再生伊予砥の(ロ)から研ぎ始めました
比較的よく反応し、ハイス全鋼の小刀よりは
砥汁も多く出ています


前回紹介したハイスHSS全鋼小刀よりも
硬度が低い影響か、研ぎ傷も深く付いています
刃の幅は9mm



次ぎに再生伊予砥の(ニ)
こちらは砥汁はほとんど出ませんが
研がれている手応えはあります


不思議なことに、反応は鈍いのに
こちらの方が粗い研ぎ傷が付いています
これは前回のハイス全鋼小刀のときと同様です



そして天然伊予砥
これはよく反応しています


研ぎ傷も浅く、中研ぎとしては
理想的に研ぎ上がっています



ハイブリッド鋼のノミは以前紹介した際に述べたように
相性のよい仕上砥石が少ないのですが
この神前産戸前はよく反応し
充分に威力を発揮してくれます


ハイブリッド鋼独特の研ぎ上がりの様子です
燕鋼やハイス鋼など超特殊鋼はよくこのようになりますが
(粉末ハイス鋼はあまりなりません)
青紙スーパーや東郷鋼は通常の鋼のようにピカリと光ります





2015年2月20日金曜日

小刀の裏に琳派風の絵が・・・


これは小刀の裏研ぎをしながら
焼入れと焼戻しを行った際に偶然現れた模様
なんと、琳派風の風景画ではありませんか・・
山にかかる朧月・・

これは数年前に近所で撮影したもの
よく似ている・・

本阿弥光悦の作品にも同じようなものがあります

これは光悦の色紙
「さらぬたに 秋の旅ねは 悲しきに
松に吹くなり とこの山風」


こちらは加工された水晶の亀

こちらは海底を泳ぐ海亀のように見える
素晴しい

底から内側に彫られて表現されている
レーザー加工でしょうか・・
水晶の長さは7cmほどで亀の体長は約2cm

2015年2月19日木曜日

天然砥石の欠けの補修 そして深沢砥を両面使いにする


14日に紹介した栃木県産深沢砥の一つが
座りが悪く研ぎにくかったので


このように底面に別の砥石を接着
使った接着剤は瞬間接着剤


これで座りがよくなりました




これも14日に紹介した深沢砥で
広い面が板目面になっていたものを
幅の狭い柾目面も両側使えるようにしました


一方の面はノミ、小刀、小鉋研ぎ用として


そして反対面はカマボコ面にし


生反小刀研ぎ用として使います
このときは台から外して使います


燕鋼の小鉋を研いでみました(身幅43mm)


緻密で粒度がよく揃っていて
中研ぎの最終段階として優秀な砥石です




こちらは以前紹介した産地不明の中砥



大きな抜けに木を接着しました
接着にはシリコン・コークを使用


これで安心して使うことができます