2016年1月19日火曜日

藤四郎銘組鑿と天水さんの小刀 そしてマンドラのケース

マンドラのケースが届きました
ピッタリですね

梱包の箱がさっそく占拠され

カメラを向けたら叱られた


昨日の作業の一部
古いマンドリンの修復で
藤四郎銘のノミを使ってみました
柔らかいヨーロッパ・スプルース材で小さな部品を
作るときは、刃物がよく切れてくれないと仕事にならない



小刀は土佐の刃物鍛冶、天水Takamiさんが鍛えてくれたもの
少し焼戻しを行ってからさらに切れが軽くなった
ノミと小刀を比較するのは難しいと思うが
天水さんの小刀は藤四郎ノミと較べて
切れの軽さとコントロール性に何ら遜色がない
鋼Haganeは「不二の白」



2016年1月18日月曜日

日原大工の棟梁が使っていた道具と再会

2年ほど前に
播州(兵庫県南部)・日原大工の棟梁が
使っていた藤四郎銘の組鑿Nomiと
國弘Kunihiro銘の鉋
そして左勝廣のコテ鑿を
研ぎ上げたことがありますが(参照

その道具たちに錆が付いたので
再度研いでほしい、という要望がありました




左勝廣の銘は
これまで判読できませんでしたが


銘を反転させてみると
上の文字は勝と読めるような・・
おそらくこれは左勝廣に間違いないでしょう
参照下さい


研ぎ直す前に試し削りを行ってもよい
ということなので
さっそく仕事で使ってみました
YouTubeに動画をUPしました

動画で使ったのはこの四本
左から刃幅五分(15mm)、八分(24mm)
六分(18mm)、一寸(30mm)
動画では五分~六分~八分~一寸
そして、その逆、という順番で使いました

削った材はオリーブ材
これはやや堅めで粘りの強い材です

刃の研ぎ角度は五分のものが約24度

動画撮影前の刃先の拡大画像(約150倍)

こちらは動画撮影後
以下、同じです


六分は

約27度




八分は約24度




一寸も

約23度



竹中大工道具館の新築工事にも携わられた
工藤工務店の工藤一男氏によると
低い刃角度の追入鑿は
深く差したり抵抗力を少なくして割るなどのために
刃角度を22度から24度位まで低くし
包丁のように、刃先だけ小刃Kobaを付けて
使っていたのだそうです
昔の大工さんの経験から得た知恵ですね
感心しました・・

普通のノミは27度から30度位で研いでいたそうです
上の刃先の拡大画像を見てみると
やはり刃角度が低いものは
刃先が細かく欠けています
オリーブ材の木口削りでやられたものと思われますが
刃角度が約27度のものは大丈夫なので
工藤氏がおっしゃっているように
刃角度が低いものは28度くらいで
小刃を付けた方が良さそうですね

動画撮影を終えた状態

2016年1月12日火曜日

益田展行さんのギターリサイタル



1月9日、益田展行さんのギターリサイタルに足を運びました
今回のギター演奏会は全曲Bachということで
何としても聴きたかったのです
バッハだけのギター演奏会は
前回聴きに行ったのは十数年前だったでしょうか・・
そのときは西垣正信さんでしたが
西垣さんの超絶技巧にも引けをとらない
今回の益田さんのバッハにも感服しました

西垣さんのリュート組曲全曲演奏会は
京都(バロックザール)と神戸で聞きましたが
その時の印象は「神様に説教をされている」といった感じでした・・
それが今回の益田さんのバッハでは
悟りを得たお釈迦さんが優しく諭してくれているような
そんな穏やかな心持になれたのです
これは不思議な感覚でした

ですが、西垣さんと益田さんに共通していることもありました
それはどちらの音楽も、耳を傾けていると
精神が研ぎ澄まされ、頭が冴え、深い思考に入っていけるのです
今日の益田さんのリサイタルは、あっという間に時間が過ぎ
終わったときには心地よい頭脳の疲労感
そして心と体は爽やかさで満たされたのです
このような演奏会というのは私は初めての体験でした

1月22日は東京の近江楽堂で行われます

2016年1月7日木曜日

特注マンドラの製作状況

ニスの下塗りを終えた状態
響板には色を付ける予定だったが
サウンドホールの縁飾りや
ピックガードのRed Mallee材の
色あいとのバランスを考慮した結果
響板には色を付けないことにした




そしてフレットを打ち込む前に
指板のポジション・マークを入れる
形状はピック・ガードと同じような雰囲気にした
素材はメキシコ・鮑Awabi貝
Abalone



位置か決まったら
ミニ・ルーターで荒彫り



その後、ノミ(刃幅12mm)で
仕上げていくが
その前に研ぐ必要がある
これは栃木県産の深沢青砥で
中砥ぎを行っているところ

そして仕上砥ぎには
奥殿産の戸前を使ってみたが
心地よい研ぎ感で、研磨力も強い

深沢産青砥(粒度約1000)の研ぎ傷を
およそ1分でここまで持っていけた
これにはたいへん助かる
地鉄jiganeには奥殿産独特の
やや荒い研ぎ傷が付いているが

鋼haganeはほぼ鏡面に研ぎ上がっている


こちらは刃幅9mmの
これもよく反応します

こちらも深沢青砥の後
1分ほど研いだ状態
通常のノミのように
研ぎ上げた際の鋼の冴えや
地鉄の美しさはないが
切れの軽さと永切れは優れているので
これにはたいへん助かっているのです

そして以下は仕上げ彫り




収まりました

指板表側に貝のポジション・マークを
収めるときには
将来、メンテナンスで
指板を削ることを考慮し
外し易くしておく
こうして、隙間にカッターナイフを
挿し込み

軽く持ち上げるだけで
外せるようにしておきます


そしてセラック樹脂で固定


こうしておくと、将来貝を外す際には
加熱してセラック樹脂を軟化させ
カッターナイフで持ち上げると
簡単に外すことができる

これを瞬間接着剤など
合成接着剤で接着してしまうと
貝を割って取り除くことぐらいしか
方法がないのです

貝を固定したら
余分のセラック樹脂を除去し

ヤスリで貝を削り

サンドペーパーで平に仕上げます



そしてフレットの打ちこみ

完了