2016年10月13日木曜日

神戸長田教会 Gallery with 佐野由美さんと 「パタンの空」  

昨日は神戸の長田教会まで足を運びました
以下、教会内に設けられている Gallery with の
パンフレットを紹介しておきます
別タブ、あるいは別ウィンドウで開くと
大きな画像を見ることができます






ギャラリー内の様子
この教会は神戸の震災にも耐え
震災後は佐野さん一家はここに避難され
画家である由美さんのお父さんは
ここで絵を描かれていたそうです


2002年の冬
由美さんがこの世を去った3年後になりますか
由美さんの手記 「パタンの空より」を読む機会があり
それに目を通していると
頭の中に音楽が流れてきました
読んでいる間、ずっとその曲が
繰り返し頭の中で鳴り続けるのです
読み終えて、ふと、この曲を楽譜にするべきでは
という思いが浮かんだので
ギターを手にすると、あれよあれよ、という間に
楽譜になってしまったのです

その曲には「パタンの空」というタイトルを付けました
由美さんがネパールを訪れ
帰国予定までの間
その地の空模様のように由美さんの
心の内も変化していっているのが
手記の「パタンの空より」から手に取るように
こちらに伝わってきました
その空模様、心模様が私の心の中で
曲となって響いたのだと思うのです
そういった曲です

その曲を昨日、由美さんの作品に囲まれて
録音してきました
拙い演奏ですが、1回録りで
やり直しはしないつもりでやりました
その演奏と由美さんの作品とコラボさせてもらい
その動画をYouTubeにUPしました

使った楽器はこの画像のように
自作の19世紀ギター、Laprevotteタイプです
一緒にカメラに収まって頂いたのは
由美さんのお母様、佐野京子さんです
ご協力頂き、感謝です

以下、私好みの由美さんの作品・・




こちらにある仏足群
ついつい連想してしまいました・・

2016年10月10日月曜日

特注ギター2台のネックを仕上げる 


ブリッジを接着した後、ネックを削っていく
これは荒削りの様子
小刀は左久作さんに鍛えてもらった12mm幅のもの
刃角度は約26度(スウェーデン炭素鋼) 

実際は両手で小刀を保持している(動画参照

ヒール部分の曲面は10mm幅の小刀を使う
重春銘の銑から自作したもの)

良く切れる弘正銘(東京鑿)の薄ノミ



荒削りを終えたところ


左は削る前の状態
右は荒削りを終えた状態


ネックの荒削りを終えた時点で
指板の厚みを調整する




そして仕上げ削り

ネックに使っているセドロ材は
逆目が交錯していることが多いので
二枚刃の南京鉋には助かっている
これは新潟の平出商店でお世話になったもの


刃口の真鍮は自分で埋め込んだ
瞬間接着剤で接着しているだけ
以前はエポキシで接着していたが
削った際の摩擦熱でポロリと剥がれることが多く
試しに瞬間接着剤を使ってみたら
ほとんど剥がれることがなかったので
その後は瞬間接着剤を使っている(参照





ネック削り完了

2016年10月9日日曜日

新たに入手した砥石 3丁

これは滋賀県高島・相岩谷産の仕上砥原石
底に抜けがあり、座りが悪いので
座布団(仕上砥の破片)をエポキシで接着

側の様子
石目が斜めになっているので
砥ぎ面はウロコになっていますが

見た目ではそれほど顕著ではありません

ダイヤモンドディスク・グラインダーで

平に荒削りを行い

荒めのダイヤモンド砥石(粒度150)で
仕上げ


層は戸前でしょうか・・
巣板のようにも見えなくもありません

寸八鉋で試し研ぎ
硬口ですが滑らかに研ぐことができます

研ぎ上がりは鋼Haganeはピカリと光りますが
砥ぎ面がウロコ状になっている影響か
全体に白く曇っています
巣板の研ぎ上がりとも言えなくもありません


これは播州の大工さんが使っていた砥石
向こうは青砥で、手前は仕上砥です

側の様子
どちらも手挽きのような跡が残っています

右の仕上砥は黒く見えているのは
カラスではなく、以前塗られていた黒漆のようなものです

層は巣板と思われますが
見栄えはあまりよくありません
一見、鳴滝の木津山産のような印象を受けます

青砥は、おそらく京都亀岡の神前・岡花産と思われます
柾目面に岡花産によく見られる
黒っぽいゴマ状の斑点が入っています
こちらは底面ですが
残念ながら中央に縦に割れが深く入っています

砥ぎ面まで達していますが
瞬間接着剤を流し込んで
今のところ割れは止まっています

寸八鉋を研いでみましたが
やや硬口で、滑らかに研ぐことができ

研ぎ上がりは、針気はほとんどなく
文句なしです
割れているのが何とも惜しいところです

こちらは仕上砥
こちらもやや硬口ですが
滑らかな研ぎ感で、心地よく研ぐことができます

硬口の巣板らしい研ぎ上がりで
地・刃ともに白っぽく曇っていますが
鋼はピカリと光るほどに研ぎ上がっていて
これで充分仕事で使えます

中砥の青砥とこの仕上砥の組み合わせは
理想的と言えます