2009年12月23日水曜日

驚異の砥石 謎の仕上砥


但馬(たじま・兵庫県北部)で長年使われていた
砥石をいただきました

まず、この仕上げ砥石を紹介しようと思いますが
試し研ぎをしてその力強さに驚きました
このような砥当たりのものには
初めてお目にかかりました
これを持ってきて下さった方の話によると
京都の北部で採れた砥石だと聞いたと
いうことでしたが、産地はどこなのでしょうか・・
これに似た色合いのものを何点か持っていますが
どれも違う研ぎ味なのです・・
強いて挙げれば滋賀県高島産のものが似ていますが
高島産の砥石はかなりの数使ったことがありますが
このような反応のものは知りません
硬めですが、強靭な特殊鋼の鉋刃でも
ザクザクと力強く研ぎ上げてくれるのです
ちょうど今、このような砥石が欲しいと思っていた
ところなので、たいへん驚いています
25日に、砥取家さんに行くことにしていますが
そこでも、このようなものを探すつもりだったのです


この画像では刃先が使い減ったままで試し研ぎを
したので、刃先は仕上がっていませんが
ほぼ鏡面に研ぎ上がり、地鉄(じがね)肌が美しく現れます


割れている個所を接着し、台に付けました
長年使い込まれて、厚みは8mmほど
まで減っています。それでも、硬い砥石なので
この先頻繁に使っても10年以上は使えるでしょう
大切に使わせていただきます



それから、もう一つ紹介します
画像左のもので、中砥の但馬砥です
これは本来の但馬砥と思われ
諸寄砥とも呼ばれていたものだと思います
右のものも同じ方から以前いただいた但馬砥ですが
色合いが違います
右のものは近年掘られているもので
諸寄以外の但馬地域、兵庫県豊岡市内各地で 
掘られているもののようです

さて、上の画像左の但馬砥は
持ってきて下さった方の話によると
その方の御尊父が数十年前に40年以上
使ってこられたものだということです
ですから、これは文字どうり
本物の但馬砥(諸寄産)と思われます
30年ほど前に、この砥石は幻の砥石と
言われていたものです・・
私が、兵庫県に越してきたときも
この砥石を求めてあちこち尋ね歩いたのですが
結局いいものに出会うことはできませんでした
それが、このようなかたちで出会うことができ
いま、不思議な感慨に浸っているのです・・


これは特殊鋼の鉋刃を研いだものです
すばらしい反応で、近年掘られているものよりも
強い研磨力があります


これは但馬砥独特の研ぎあがりですね

2 件のコメント:

大二郎 さんのコメント...

 そういえば日刊工業新聞の十大新製品賞に日立金属のHPM-MAGICという金型用鋼が選ばれていましたね。鏡面加工性に優れているらしいのでこれで研ぐとさらに良い仕上がりになるかもしれませんね。

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

大二郎さん、コメントおおきにです。
金型の世界のことはとんと分かりませんが、日立金属サイトのHPM-MAGICの説明では#3000から#5000で鏡面に仕上がるとなっていますので、天然砥石に比べてかなり荒い砥石でも鏡面が得られるようですね。
木工用刃物にも使えれば、おもしろそうですね。