2020年7月23日木曜日

画家 長谷川利行の生き方、作品

大塚信一Nobukazu氏が
今年の5月に上梓された
「長谷川利行 
芸術家と時代」を入手
長谷川利行
(1891年~1948年)は
異色の画家として若い頃
注目したことがあるが
その頃は不遜にも
リコウ、リコウ、と
呼んでいた
正しくはトシユキで
長谷川は、絵に入れた本人のサインではHasekawa
となっている

京都出身ということで
私は同じ京都出身の
陶芸家、八木一夫と
比較したりしていたが
世代は30年ほど
八木一夫の方が若いので
比較するのは
無理があったか・・
しかしながら
八木一夫の抽象作品には
長谷川利行の絵と相通じるものを私は感じる
どちらにしても
物を作る者は
その意義について
深く考えるものであるし
生きている時代に
抗うことは死を意味する
ということも分かっている
そのあたりのことを
長谷川利行は徹底的に
問い詰め、ミノムシが
簑を作るように
自分は絵を描いていく
という決心をしたのだと
思うが、著者の大塚信一氏はそのことを
様々に推察していく

長谷川利行の作品
「浅草停車場」製作年不詳(40歳頃か)

「大和家なほる」
頼れるオバ様、という
感じがよく出ている
製作年不詳

門付、製作年不詳

「隅田公園」製作年不詳
個人的に好きな絵
高天原Takamagahara
そのものが現れている

夜景、製作年不詳

裸婦、製作年不詳

1938年、長谷川利行が
47歳のときに描いた
「二右衛門島」
初めてこの絵を
見たときには若い頃の
ものか、と思ったが
亡くなる2年前に
描かれている
これには驚いた
長谷川利行は30歳頃から
ほとんど独学で
絵を描きはじめているので
通常の画家が若い頃に
描くようなものを
最晩年に描いたのか・・
ここのところも興味深い

因みに、これはルドンが
若い頃描いたもの
上の長谷川利行の
「二右衛門島」と
同じ世界を感じる

ルドンが描いた花

そして、長谷川利行が
描いたもの

長谷川利行が描いた海
製作年不詳

「鉄柱のある風景」
製作年不詳

これは熊谷守一の作品
大正5年(1916年)
熊谷守一36歳のときに
描かれたもの
熊谷作品としては
初期の頃で、ルオーなど
西洋のフォーヴィズムの
影響を受けている
感じがある
長谷川利行よりも9歳年上で長谷川利行は熊谷守一を
尊敬していたので
絵にもその影響が見られる


逆に上の二枚は
長谷川利行よりも
約10歳年下の
靉光Aimitsuが
描いたもの
靉光は若い頃
長谷川利行と会い
その時に長谷川利行は
靉光を描いている
そういったこともあり
靉光は長谷川利行を
尊敬していたようで
この二枚の絵は
長谷川利行の雰囲気も
感じることができる

長谷川利行が1928年に
描いた靉光

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