2012年3月4日日曜日

タイトボンドでベニヤ焼き付け

長勝鋸さんに注文している
特注導突鋸を試し挽きするための
ギター・ネックのサンプルに、試みとして
タイトボンドでベニヤを焼きつけてみました

普段は膠・ニカワでやっていますが
タイトボンドの方が焼き付けするのは容易ですね
ただ、沁み出てきて付着したボンドの除去が
容易ではありません




膠は除去が容易なのです
以前、メープルのベニヤをタイトボンドで
試したことがありますが
メープルは緻密なのではほとんど沁み出てこず
問題ありませんでした




濃い色のベニヤだったら
色が濃いタイトボンドの方が
いいのかもしれません
これはまたいつか試したいところです

新作・端材オブジェ2点


2012年3月3日土曜日

平家琵琶の腹板を接着


製作中の平家琵琶
腹板を膠・ニカワで接着


上の画像は膠が下に
垂れてもいいように
新聞紙を敷いていますが
その下はこのように4点で固定しています




参考までに
これは500年ほど前の
平家琵琶ですが
接着部はすべて膠が
使われていました
内部の書付により
安永十年(1781年)
修復されていますので
オリジナルの接着剤は分かりませんが
おそらく膠が
使われていたので
修復の際にも膠を使ったものと思われます
八音抄でも
にかわ付きの面(接着面)は四分(約1.2cm)に弱きほど
内の深さは五分(約1.5cm)にいきたる程
少し撓たわみかかりたるやうに得るべし
と説明されています

現在の琵琶製作では
ソクイ使われるようです

平家琵琶の腹板に堰を接着

製作中の平家琵琶、堰を接着
ピノッキオの鼻のよう・・
この鼻は腹板を槽に接着する際に
槽の底に当たる長さにカットされます
この時やや長めにカットし
腹板を接着したときに鼻のところで
緊張感を持たせるようにします
擦弦楽器の魂柱のようなものですかね・・



八音抄の堰に関する記述

堰を置くこと 撥面参照の中すみの程あるべし。中すみより上へ寄るべからず。二に取らば下へ寄るべし。広き方はしもと云う堰の下がり上がりによりて、声の良し悪しは未だ探り出ださず。堰は板返し固からず、又柔らかならず。木の少し勇めきたらむ良し。堰に別の柱を立たさまにしたるあり。さあるべしとも覚えず。良き物どものは、別の柱をす。ただ刻み残したる長さ二寸(約6cm)ばかりも一寸四・五分(約4,2~4,5cm)もありげなり。すべて甲・腹の木少しおくれたらば堰は太くもこはらか心ざすべし。甲・腹固くしやう過ぎたらば、くつろかにすべし。

2012年3月1日木曜日

平家琵琶の半月と陰月を仕上げる

製作中の平家琵琶
半月(目)と陰月を仕上げ
これで腹板が出来上がりました
半月を仕上げる動画をUPしました


こちらは内側





2012年2月28日火曜日

平家琵琶、槽を削る


製作中の平家琵琶の槽(甲・裏板)の
内側を削りました

ウッドカーバーで荒彫りした後
鑿・ノミで厚み調整していきます



完成

中世中山仕上砥おそるべし

注文していた中世中山仕上砥が、さゞれ銘砥(330mate)から届きました。期待どおりの銘砥でありました。
数年前、木工家の徳永さんのところで、徳永さんの師である竹内碧外が使っていた仕上砥を見せてもらい、研がせてもらったのですが、その砥石に魅せられ、同じようなものがないものかと探していたのです。
ザクザクとした研ぎ応えにもかかわらず、仕上がりが
緻密で、1本の仕上砥で中継ぎと最終仕上げを兼ね備えているもの・・
この夢のような仕上砥は、「さゞれ銘砥」の中岡氏が掘っている中世中山砥にあるに違いないと確信。機会があるごとに1本、また1本と手に入れていたのです。
ほぼ近いものには数本出合いましたが、まだ何かちょっと違うという感が拭えないでいたのです。
そして念願叶い私にとっての理想の仕上砥に出会うことができたのです。中岡氏に感謝、感謝です。 


これは先般手に入れた
佐野勝二作・昭豊銘の寸八鉋
研ぎ面は一分研ぎ(幅3mmほどの研ぎ面)ですが

このように良く反応し
強い研磨力があります
そして鋼(はがね)は鏡面近くまで仕上がるのです
鋼は安来鋼・青紙と思われます




そしてこれは炭素鋼の石社(いしこそ)・寸八
研ぎ面は二分(約6mm)研ぎ




そして研ぎ面三分(約9mm)研ぎの
千代正鉋・寸八



どちらもこのような感じで反応します

平家琵琶の撥・バチを切り抜く


製作中の平家琵琶の撥を切り抜きました
動画UPしました
素材のツゲ材を削っているところは
昨日紹介しました




2012年2月27日月曜日

青紙鋼鉋三丁の削り比べ


製作中の平家琵琶の腹板(表板)の
厚みを仕上げ、目(半月)と陰月を
開けようと思いましたが
陰月を開けるには撥(バチ)が必要
ということに気付き、予定変更
まず、寝かせていた撥用のツゲ材を
荒削りしました
これはいい機会だから
先日手に入れた初代・佐野勝二作
昭豊銘の鉋と同じような鋼(古い安来鋼・青紙)
打たれた初代・金井鉋と二代・永弘鉋
三丁で削り比べをやってみました


まず使ったのは昭豊・寸八
この画像は、かなり削った後の状態で
切れはやや重くなっています


刃先はかなり摩耗していますが
削り肌は気になるほど荒れていません
画像の板の下にある節が
他にも3ヶ所あるのですが
これを削っても刃先は変化はありません
強靭な刃で、しかも永切れします


画像向かって右側が節を削った箇所ですが
この部分に目立った変化はなく
全体に同じように摩耗しています


次に使ったのは二代・永弘の寸八
この画像も昭豊と同様の使い方をした状態です
昭豊と同様切れはやや重くなっています


節で刃先が欠けたようで
削り肌に筋が付いています


刃の向かって右側の
節を削ったところが顕著に摩耗しています
昭豊よりは強靭さが足りない感じです


そして最後に初代・金井の寸八を使いました
節を削ったら、刃先がすぐに毀れましたが
刃先が摩耗しても切れは軽いです


節でやられた刃先で
目立った筋が付きました


節を削ったところが、ひどくやられています

以上、削り比べをやってみましたが
刃先の強靭さは昭豊が優れており
切れの軽さは初代・金井が突出しています


平家琵琶の腹板の厚みを仕上げる

製作中の平家琵琶の腹板(響板)
厚みを仕上げました(動画参照
最終的には板の厚みは縁8mm強
内部は厚いところで約14mm
動画では確認のためカリパーで
厚みを計っていますが
この厚みはあくまでも結果であって
何ミリの厚みにしようとして出した
ものではありません
ここのところが楽器作りでは重要になってきます
八音抄参照ください


この後、目(半月)と陰月(サウンドホール)を開けます

ヴァイオリンなど西洋の楽器は
この後削り肌を滑らかに仕上げますが
この琵琶はこのままで仕上がりとします
以前修復したことのある500年ほど前の
平家琵琶もこのように仕上げられていました



2012年2月26日日曜日

平家琵琶、遠山を刻む

製作中の平家琵琶
今日は甲板(裏板)
膨らみを仕上げ
腹板(表板)の内側を
荒削りしました

これは甲板の遠山の
線を切っているところ

遠山を削り出す

甲の出来上がり


こちらは腹板の内側
動画UPしました)

これはまだ荒彫り
明日仕上げます