2010年8月19日木曜日

2010年8月18日水曜日

驚異の砥石 三河名倉砥か小鳥砥か・・

新たに天然中砥を手に入れましたが
これは三河名倉砥ということで
入手したのですが、どうも違うようですね・・
おそらく岐阜県に産する小鳥(おどり)砥のようです


使ってみてビックリ
柔らかめですがよく反応し、強烈な研磨力があります
この砥石を使った動画をUPしました

これは一般的な鉋身ですが
ご覧のように傷が浅く
次の仕上研ぎがたいへん楽に行えます
やや粒度にムラがありますが
木工用の砥石としては問題ありません

そしてまた驚いたのは
ハイス全鋼の鉋身を研いだときでした
一般的に日本の刃物は、研ぎやすいように
柔らかい鉄に薄い鋼を鍛接 して作られていますが
最近は諸外国の刃物も手に入れることができ
私はドイツで売られている中国製の鉋も使っています
その身は強靭なハイス鋼だけになっていて
優れた人造中砥でも研ぎの反応がよくないのです
ところがこの砥石では
上の画像のようにサクサクとよく反応するのです
これには驚きます

研いだ跡ですが
強靭な硬い鋼なので砥石の傷が付きにくいのか
仕上研ぎをしたように仕上がっています
この後の仕上研ぎは必要ないくらいです

これは現在一般的に出回っている
ハイス鋼の鉋ですが
研ぎやすさを考慮してか
従来の鋼と同様の硬さに調整してあるようです
(その分永切れがしません)
ですから上のハイス全鋼よりも
砥石の傷が深く残っています

2010年8月15日日曜日

特注サイズギター製作 その1

これから特注サイズの
モダンタイプ・クラシックギターと
これも特注の19世紀ギター
ラプレヴォット・タイプを製作していきます
今回製作するのは、HPで紹介している
アグアドが使っていたとされるタイプです
どちらも初めての試みなので
注文をして下さった方の了解を得て
その製作過程をブログで紹介していきたいと思います
これは特注サイズのモダンタイプの響板ですが
この状態は、一枚の板を厚みを半分に製材した後
本を開くように両側に開いたものです
その状態でニカワで接ぎ付けます

この板はヨーロッパ・アルプス産のスプルースで
30年近くエイジングさせたものです
全体に大波の杢が入っています


その接ぎ面を長台鉋で仕上げるのですが
板をぴったりと合うように削るには
まず鉋台の削り面の確認から行います


鉋台が狂っていたら矯正し、それが終わったら
このように接ぎ面を仕上げます
その様子はYou Tube にUPしましたので
そちらでご覧ください



接着面が仕上がったら
このようにニカワで接着します


今回製作する特注サイズは
上の型の黒い縁のものです
依頼のサイズになるように
新たに図面を描いたものです
その外側の型は現在の私の
モダンタイプのサイズです
このサイズは一般的なクラシックギターよりは
小さめで、トーレスの標準タイプや
ブーシェの弟子に当たる
ジュリアン・ゴメス・ラミレスとほぼ同じ大きさです

特注サイズの内側の型は
19世紀タイプの私のオリジナル
最も小さいのがラプレヴォット・タイプです

接ぎ付けが終わったら
大まかに表面を仕上げて
ギターの形に切り抜きます
その削りの様子もYou Tube にUPしました

次の工程はこちら


切り抜きは、私は小型のバンド・ソーで行っています


今回製作する二台分の響板と裏板が揃いました


2010年8月14日土曜日

一夏の記憶・・クマゼミ

そろそろ蝉たちの死骸を散見するようになりました
ここ数年こちら丹波地方でも
クマゼミの鳴声を多く聞くようになりました

子供の頃、福岡に居た頃は
クマゼミは我々にとってあこがれの王様でした
めったに鳴声を聞けないし
高い木に止まっているので姿も見えない
迫力のある声が出ている彼方を見上げて
溜息しか出ないのでありました

地元では「ワシワシ」と呼ばれていました
鳴声がワシワシと聞こえるからですが
物心がついて、昆虫図鑑などというものを
開いてみると
「クマゼミ:シャーシャーと鳴く」と
解説されているのを
なしてシャーシャー?
ぜったいワシワシや!と涙がこぼれんばかりに
なりながら、蝉採り仲間に報告に行ったのでありました
それ以来、ワタクシは図鑑や事典を信用しません



2010年8月12日木曜日

謎の出土砥石

出土した砥石を手に入れることができました
出土地は明らかでは
ありませんが
これの出所が
はっきりしていたら
このように一般人のところには回ってきません

明らかに砥石として
使われた痕跡がありますね
しかもかなり古そうです
長さは約20cm

裏側の様子
写真では分かりにくいですが
全面が何かに擦られたのか
滑らかになっています
おそらく砥石を使う際に
石の座りをよくするために
やわらかい地面か
何かを敷いた上に
置いていたのかもしれません
そして研くときに
砥石もいっしょに動いた
ということも考えられます
それでもこのように
滑らかになるには
かなり長い期間
使われたものと思われます

不思議なのは
写真の左側半分ほどに
何かが付着しているのですが
これがかなり硬いものなのです
砥石と同じくらい硬い

危険な成分が含まれていないか
検査をしてもらいましたが


大丈夫のようです

カッターナイフで
傷を付けてみました
硬いです
なんとか傷が付いた
という感じで
カッターナイフの刃は
ボロボロになりました
我々が木工用として使っている
天然砥石はこれほど
硬くはありません

同じような砂岩系の
和歌山県産の荒砥も
削ってみましたが
それほど硬くは
ありませんでした
中砥の硬めの但馬砥でも
カッターナイフでは
サクサク削ることができます

そして付着しているものも
ほぼ同様でモルタルの
ような感じです
これは一体何なのだ
このことはひとまず置いといて
この砥石を実際に
使ってみようと思います
こんなことも
出所がはっきりしている
考古学上重要なものだったら
まずできません

これは作りかけの
デッカイ勾玉です
石材はミャンマー産の
硬玉(ヒスイ)
この状態は、ダイヤモンド
グラインダーで
荒削りをしたものです

これを砥石に当ててみました
もちろん水をかけて研ぎます
ザクザクとよく反応する
ではないですか・・

3分ほど研いで確認してみると
グラインダーの傷痕が
見事に消えています

砥石の方は
このように経年による
表面の汚れが削れて
原石の肌が現れました
砂岩ですかね・・

それじゃ刃物はどうなのか
早速試しましたが
これもよく反応し
黒い研ぎ汁が出る
ではないですか
おそるべし