2012年11月17日土曜日

ブリッジの加工と接着

製作中のギター3台の
ブリッジを今日接着しました
以下はこれまでの過程

Laprevotteラプレヴォット・タイプのブリッジ
上の画像の小刀はどれもハイス鋼(HSS)で
刃角度は30度~32度ほど


これは加工途中の
Torresトーレス・タイプのブリッジ
弦を結ぶスペースのデザインを 
どのようにしようか、いろいろ思案しましたが


結局このように仕上げてみました







そして膠ニカワで接着

これで

ヘッド

サウンドホール縁飾り

ブリッジの貝のインレイが揃いました
インレイの下描きはこちらを参照ください


ついでに修復中の古い楽器の
縁飾りのインレイを3個切り出しました


これはラプレヴォット・タイプの
ブリッジ接着の様子
圧着はできるだけ弱い力で済むように
接着面の加工は慎重に行います


2012年11月15日木曜日

幻の砥石・浄教寺砥を使った研ぎ動画の画像


12日に紹介した幻の砥石・浄教寺砥
使った研ぎの画像をUPしておきます
これは動画で最初に使っている
福島県産の会津荒砥
粒度は約400番
やや硬めで、ほど良い研ぎ感
たいへん使い易い砥石です

研いでいる鉋身は11日の鉋仕立ての
レクチャーで裏出しをし
この鉋刃はギター製作用として
研ぎ上げていきました

次に荒目の伊予砥
粒度は約600番
これはやや柔らかめですが
その分よく下り、研ぎやすい中砥です

そして、幻の浄教寺(じょうけんじ)
常見寺とも表記されます
江戸時代の砥石に関する文献では
ほとんど常慶寺と書かれています
たとえば、江戸時代の初めに書かれた
雍州府志では
「越前えちぜん(福井県)
常慶寺砥というものがあり、
これは俗に「じょうけんじど」と
呼ばれている」
と説明されています(参照


こちらは同じく浄教寺赤砥
これも福井県に産しますが
現在では掘られておらず
大正時代頃まで掘られていたようです
粒度は赤砥の方がやや粗い感じで
傷も深いような気がします
研ぎ感も赤砥の方が力があります

後に新たに手に入れた浄教寺砥

そして三河名倉砥、層はアツと思われます
強い研磨力があり
浄教寺砥の傷が僅かの時間で消えました
日本刀の研ぎでは
浄教寺砥の後は改正名倉をかけますが
一般的な刃物でしたら
その必要はありません

仕上げ研ぎは
中継ぎとして奥殿産巣板

そして最後の鏡面仕上げは
仕上砥石の名門
京都梅ヶ畑産の中世中山砥です
これはそこそこ硬い石質ですが
反応が良いので
心地よく研ぐことができます
これはさゞれ銘砥さんから
お世話になりました

2012年11月14日水曜日

鉋刃の裏押し

11月10日の鉋仕立てのレクチャー
行えなかった、鉋刃の裏押しの動画をUPしました
以下その画像を紹介しておきます



上の二枚の画像は未使用の古い鉋身を
裏出しを行い#800の電着ダイヤモンド砥石で
仮押しした状態(身幅48mm)


こちらは研ぎ面ですが、裏出しのため
ハンマーで叩いた痕が付いています


裏押しのための用具
今回は粒度#1000のGC(グリーン・カーボランダム)
パウダーを使いました


これは鉋身の押え棒
30年以上使っています
中央部の黒い部分は厚み3mmほどの
柔らかめのゴムを貼っています


裏押しが終わった状態
この後、砥汁を出した天然仕上砥石3種で仕上げます

小刀など小さな刃物は金盤は使わずに
ダイヤモンド砥石を使っています


仕上がった状態
使った仕上砥は奥殿産巣板


2012年11月12日月曜日

幻の砥石、浄教寺砥を入手


徳島に出発する前日に
いつもお世話になっている砥石店から
今では幻の砥石となってしまった
浄教寺(じょうけんじ)砥の
コッパをいただきました
(浄教寺赤砥はこちらを参照ください)

浄教寺は常見寺と表記されたりしますが
江戸時代の砥石に関する文献では
常慶寺と記されています

たとえば、雍州府志では
「越前えちぜん(福井県)に常慶寺砥というものがあり、
これは俗に「じょうけんじど」と呼ばれている」
と説明されています(参照



出発直前まで砥石を試していたのですが
その研ぎ心地、研磨力、研ぎ傷の精緻さに
何度も感嘆の溜息が出ていたのでありました
日本刀の研ぎでも使われていたことが
よく理解できます
この砥石は福井県で産していたということですが
早くに掘り尽されてしまったようです
その代替品として伊予砥が
使われるようになったようですが
その伊予砥も良質のものがなくなり
現在では備水砥や天草砥
そして人造砥が使われています


砥石の表面を観察した感じでは
粒度が粗そうに見えたのですが
実際に研いでみると
ザクザクとした研ぎ応えからは
想像ができない精緻な研ぎ傷でした


これは違った角度から撮影したもの
研ぎ動画を紹介したブログ参照下さい

後に新たに手に入れた浄教寺砥

2012年11月6日火曜日

夏屋砥二種を使って台直し鉋の刃を研ぐ

岩手県盛岡産の夏屋砥を
二種類新たに手に入れました
夏屋砥は以前紹介したことがありますが

夏屋砥には黄色系と赤系、そして白系、青系があるようで
これは黄色系のものと思われます
以前紹介したものよりも硬めです


反応は悪くはなく、強い研磨力があります


今回は東郷鋼の台直し鉋を研いでみました
鋼に輝きが出て
中研ぎの最終段階という感じです




こちらも夏屋砥で、青蓮華が出ているもの
他に本白といって真っ白なものがあります


これも硬めの石質ですが
反応は悪くはなく研磨力もあります
ですが、喰い付きが強く
やや研ぎ難い感があります
動画の途中、小さなダイヤモンド砥石で
目起こしをしましたが
こうして使った方が無難な感じです


上の黄色系よりはやや荒い研ぎ上がりで
粒度は#2000ほどでしょうか・・
これも中研ぎの最終段階として使えます




仕上げ研ぎは
さゞれ銘砥からお世話になった
京都梅ヶ畑産中世中山砥


やや柔らかめで反応よく
心地よく研ぐことができます


地・刃共に美しく微塵に曇ります
優秀な中継ぎ仕上砥です




最後の鏡面仕上げとして
滋賀県高島・相岩谷(あいおいたに)産の
仕上砥を使いました


これも最終仕上砥として文句なしの優品です
刃物への喰い付きが強烈なので
研ぎのストロークは短くし
引くときに力を入れる割合を多くして研いでいます