YouTubeにUPした研ぎ動画の画像を
紹介しておきます
今回研いだものは身幅38mmの際鉋(キワカンナ)
際鉋はギター製作でもあると重宝します
最初に使った砥石は産地不明の中砥
石質は粘板岩のように積層にはなっていません
手持ちの天然中砥と比べてみると
群馬県産の砥沢虎砥にもっとも近い感じがします
参照(内田広顕著「刃物に関する諸材料」から
1970年当時の砥石採掘事情)
左が砥沢虎砥ですが
これは産地がはっきりしているものです(参照)
中央のものも砥沢虎砥と思われるものですが
確かではありません
そして右が今回手に入れたものです
左から右に順に粒度は細かくなっています
粒度は#1500といったところでしょうか
硬めで緻密な石質ですが、よく反応し強い研磨力があります
次に使ったのは、これも産地不明の中砥
これと同じものを以前四国にある石材店から
購入したことがありますが
それよりは良く反応し、これでしたら
中研ぎの最終段階として充分使えます
四国の石材店から手に入れた際に産地を訊ねたら
外国産というところまでは教えてくれましたが
産国は言えないということでした
石材店では青砥の代替品ということで販売されていましたが
これは青砥というよりも対馬砥に近い感じを受けます
側も青砥や仕上砥のような顕著な層は確認できず
頁岩の一種かなという印象を受けます
粒度は#2000以上ある感じです
仕上げ研ぎは中継ぎとして
丸尾山産・天上内曇(天井巣板)を使いました
石質は硬めで、今回研いだような
刃先の直線をきっちりと出すための研ぎには
持ってこいの仕上砥です
硬めにもかかわらず良く反応し強い研磨力があります
地・刃ともに美しく微塵に曇り
地は青く、刃は白く仕上がります
このレベルでしたら刀剣研ぎでの
地鉄(じがね)部分を研ぐ内曇地砥
としても充分使えるのではないでしょうか
最終仕上げとして使ったのは
仕上げ砥石の名門、京都梅ヶ畑・中山産の戸前です
やや硬めの石質ですが
反応良く、心地よく研ぐことができます
時折、こういったことをして自慢している人を見かけますが
これは研ぎのごく基本的なことができていることの
傍証とはなりますが、それ以上の意義は何もありません
私は若い頃、研ぎの師匠から
こんなことを人に自慢するのは恥ずかしいことだから
決してやらないようにと戒めを受けました
当然のことながら、鎬面を少なくした
二分研ぎや三分研ぎではこういうことはできません
さすが中山産の仕上砥
地鉄の模様がくっきりと現れ
鋼はほぼ鏡面に仕上がります
コッパながら文句なしの仕上砥石です