2014年2月3日月曜日

工房の様子

これから製作に取りかかる楽器の材料
今回はギターは特注小型モダン・タイプ(弦長630mm)と
横・裏板にブラック・ウォルナットを使う
19世紀ギター、Laprevotteラプレヴォット・タイプ
弦長630mmのSuzuki音律




これは19世紀ギター ラプレヴォット・タイプの裏板
全体に美しい杢が出ています





ウォルナット削りに使った鉋
どちらも古いもので、頼もしい助っ人です
左は中仕工に使った秀弘銘寸三(身幅57mm、炭素鋼)
右は正丸銘寸八(身幅70mm、炭素鋼)
やはり昔の鉋の方が優れているので
ついつい頼ってしまいます・・



これはLaprevotteタイプの響板
30年程寝かせたヨーロッパ・スプルースです


仕上げ削りに使ったのは長光銘寸八(炭素鋼)
これも古い鉋で、現在主力で使っているものです





 特注モダン・タイプの響板仕上げには
石社いしこそ鉋寸八(炭素鋼)を使いました


響板削りでは厚み減らしも兼ねているので
上の画像のような厚めの削りで
このように接ぎ目の逆目もきれいに止まってくれると
仕事がたいへん捗ります


接ぎ目部分をさらに拡大



30年ほど寝かせたスプルース材は
木細胞中のミネラル分の結晶化が進んでいて
鉋の刃先が磨耗しやすい
中仕工鉋は刃先を多く出すので磨耗が激しいが
昔の会津鉋の重則銘のものは
鋼が玉鋼のためか驚くほど永切れしてくれる



これはマリア・ハープの構造材のメープルを製材しているところ


ガガリ鋸はこれも古いもので
銘は「京都伏見住 谷口清三郎
これにも助けられています

2014年1月30日木曜日

山口県岩国産、杭名砥・黒蓮華巣板 

19日に紹介した山口県岩国産の杭名砥の
白巣板がたいへん優れているので
お世話になった刃物工房藤本さんに
やや柔らかめのもので
鉋を研ぐことが出来る程度の
大きさのものをお願いしていたら
このように立派な黒蓮華巣板の
原石を送って下さいました
右は寸八鉋

裏に抜けがありますが
何とか原石に近い形で
形成したいところです・・

側の様子

ほとんど巣無しです

砥石の座りが安定するように
底に同じ杭名砥の欠片を
エポキシで接着し

座布団を敷いた状態にしました

これで底が平になり
座りが安定しました

側を少し削って成形完了

前回お世話になった白巣板2丁を含め
研ぎ比べをやってみました
YouTube動画UPしました
左端は中研ぎに使った
京都丹波・亀岡産青砥(参照


前回の小振りのやや柔らかめの
蓮華巣板よりも
さらに柔らかな砥当たりですが
研ぎ面の弱さはなく
カッチリと研ぐことができます
左側の焼けの部分もやや硬いくらいで
研ぎ難さはなく、当たる筋もありません
実用的な文句なしの仕上砥です

研ぎ幅7mmほどの二分研ぎ状態ですが
良く反応し強い研磨力を発揮してくれます
鋼は光るほどに仕上がります
鉋身は名工・佐野勝二作
「千代鶴」銘寸八(参照


研ぎ傷も浅く、意識して研いだ刃先は
ほぼ研ぎ傷が消えています

正宗小刀 削り比べ

YouTubeにUPした
小刀の削り比べの画像を紹介しておきます






動画で最初に使った「正宗」銘小刀
鋼は安来鋼・白紙ということです
刃角度は約30度(研ぎ動画はこちら
刃角度が高い影響か、やや切れは重いものの
切り込みの微妙なコントロールには応えてくれます
小刀の刃角度が30度になると
刃を返して手前に削る際に手首の返りが大きくなるので
手首に負担がかかってしまいます
少しの時間ならば大丈夫ですが
長時間になると手首を傷めることがあるので
私は仕事で使う小刀は27度前後にしています


これは以前紹介した「正宗」銘、安来鋼・青紙の小刀
刃角度23度ほどですが、切れの軽さは
上の正宗とそれほど変わりません


これはスウェーデン鋼の左久作銘
切れは滑らかですが削り具合のコントロールにやや苦労します
刃角度は約26度


最後にこれは主力で使っているもの
切り込みの鋭さと切れの軽さを併せ持ち
微妙なコントロールにも応えてくれる優れものです
刃角度は約28度


2014年1月26日日曜日

刀匠・綱廣さんが鍛えた正宗銘小刀を研ぐ

相州鎌倉の刀匠、正宗二十四代目
綱廣さんが鍛えた小刀を
縁あって手に入れることが出来ました
銘は正宗


自分の道具として使うためこのように形成



砥ぎ動画をYouTubeにUPしました
その際に使った砥石群

動画で使った順に、上左からシャプトン刃の黒幕#320→
これは荒研ぎで、動画撮影はこの砥石で
5分ほど研いだ状態で始めました
その右、メーカー不明人造砥#1000→
群馬県産戸沢虎砥、粒度約#800→
同じく戸沢虎砥、粒度約#1200→
下段左、三河中名倉・アツ層、粒度約#1500→
ここから仕上砥ぎで、丸尾山産・黒蓮華巣板→
山口県岩国産杭名砥・蓮華巣板やや軟質→
同じく杭名砥・蓮華巣板やや硬質


杭名砥・蓮華巣板の硬質のもので砥ぎ上げた状態
鋼はほぼ鏡面に、地鉄の砥ぎ傷もほぼ消えています
これで充分な研ぎ上がりです
元の方の刃先が2cmほどまだ研ぎ上がっていませんが
この部分は使わないので問題ありません 


裏の様子


鋼の刃先の拡大画像(約100倍)
問題なく研ぎ上がっています

2014年1月24日金曜日

杭名砥・浅黄で燕鋼の鉋を砥いでみました

山口県岩国産杭名砥の硬口浅黄で
燕鋼の鉋を砥いでみました


今回砥いだ燕鉋は身幅は55mm(寸四鉋)で
刃角度修正中で砥ぎ面は3mmほどしかありません
それでも前回の石社鉋砥ぎよりも良く反応しました





こちらはさらに硬めのもの


これは上の手に入れた状態から
サイドをカットしたものです
前回の石社鉋砥ぎでは、ほとんど反応しなかったのですが
燕鋼には砥ぎ幅が3mmほどと狭くても
驚くほど良く反応しました

これは以前紹介したハイス全鋼鉋砥ぎと
同様の現象で、このように硬い仕上砥は強靭な鋼ほど
良く反応するのです(参照




刃角度修正中のため
刃先から3mmほどを約29度で砥いでいます


砥ぎ傷も前回の石社鉋(炭素鋼)よりも浅く
問題なく研ぎ上がっています

おそらく燕鋼は炭素鋼よりも強靭なため
砥ぎ傷が付きにくかったためと思われます


これは前回の石社鉋(炭素鋼)の砥ぎ傷