古い大阪鉋
源兵衛(後代と思われる)
寸六を手に入れました
鋼は玉鋼たまはがねで
地鉄jiganeはよく練れた和鉄
画像右は以前紹介したことのある
勘兵衛・寸二(明治頃)
源兵衛の地鉄は
江戸後期(新々刀期)の
刀の地鉄のように
よく詰んでいます
この鉋身を中研ぎに三種類の
沼田砥を使って研いでみました
最初に使ったのは
右端の粗めの沼田虎砥
一見、天草備水・赤虎のようにも
見えますが、縞の感じは
九州ものではないように思えます
このような沼田砥には
初めてお目にかかりました
中央は本沼田砥(粒度約1000)
左は通称 瓢箪ひょうたん沼田で
本沼田の下の層になる
ということです
粒度は細かく1200番
といった感じです
粗めの沼田砥
(水に濡れていない状態)
水に濡れた状態
カチリとした硬さですが
良く反応し
心地よく研ぐことができます
地鉄に荒めの傷が付きますが
粒度300~400といった感じ
鋼にはそれほど及んでいません
次に使ったのは浄教寺砥
研ぎ傷が浅く均一で
美しく研ぎ上がります
浄教寺砥が刀剣研ぎに
使われていたのが納得できます
そして本沼田砥
やや反応が鈍いので
目起こしをして研ぎ始めました
粒度は浄教寺砥よりも
細かい感じなのですが
研ぎ傷は荒く付きます
この研ぎ傷の付き方は
砥沢砥など群馬県産の中砥
全般に見られるものです
これは瓢箪沼田
これも目起こしをして研ぎました
これも粒度が細かい割りに
研ぎ傷が荒く付きます
仕上砥ぎの最初は
中継ぎとして京都梅ヶ畑
鳴滝産の戸前を使いました
やや柔らかめで仕上砥としては
粒度も荒めなので
中継ぎとして威力を
発揮してくれます
青砥(中研ぎ)の針気の
多いものを使うよりは
目〆系の天然中砥で
細かく研ぎ上げておいて
この鳴滝戸前のような
粗めの仕上砥で研いだ方が
効率が良いように感じます
参考までに、一昔前までは
鳴滝といえば梅ヶ畑産のものを
総称して呼んでいました
地・刃ともに微塵に曇ります
最後の鏡面仕上げには
滋賀県高島産の戸前を使いました
カチリとした硬質な研ぎ感で
高島産独特のややザラザラとした
手応えがあります
鋼は鏡面に研ぎ上がりますが
地鉄にはやや傷が残ります
よく使い込まれていて
鋼があと1cmほどしか
残っていません・・
砥ぎ終えた状態
こちらは同じ高島産戸前で
研ぎ上げた勘兵衛鉋
鉋かけの様子は