2014年8月16日土曜日

中野武夫氏作 東郷鋼鉋を研ぐ


昨日紹介した中野武夫氏作(武則二代目)
東郷鋼寸三鉋(身幅55mm)
届いた状態は台も刃もほとんどすぐ使える状態まで
高い精度で仕上げられていました

自分の道具として仕立て直した状態
研ぎ動画をYouTubeにUPしております

届いた状態がよかったので
裏はほんの少し研ぎ直しただけで済みました

動画で最初に使った中砥
沼田虎砥として売られていたものですが
一見、備水赤虎砥に見えます
縞の状態、色あい、研ぎ感などよく観察すると
備水赤虎とは違うので、一応 沼田虎砥としておきますが
他に同様のものを見たことがないので確信は持てません

参考までに、これは一般的な沼田虎砥
縞が部分的に入っているものです
他に紹介したものはこちらを参照下さい

これは本沼田砥(色物)
一般的な沼田砥の上の層だということで
早い時期に掘り尽くされたようです
この下の層が瓢箪沼田となり
その下の層が白い沼田砥となるそうです

このように沼田砥はどの層でも石質は緻密で
今回紹介したもののように気泡のようなものは見られません
販売されていたところでは
一般的な沼田砥とは違った場所で採掘されたもの
と説明されていました・・

さて閑話休題、最初の沼田虎砥に戻ります
硬口ですがよく反応し強い研磨力があります
粒度は#400程度

柔らかい地鉄じがねには粗く深い傷が付きますが
鋼には及ばず後の研ぎは楽に行えます

次に使ったのは福井県産浄教寺砥

よく反応し強い研磨力があります

粒度は#600程度で、砥目がよく揃っています
古来から刀剣研磨に使われてきたのがよく理解できます

中研ぎの最終段階として使った
先日紹介した
関東産と思われる青砥(参照下さい

文句なしの研ぎ上がりです

仕上砥ぎの中継ぎは
山口県産 杭名砥 黒蓮華巣板

たいへん研ぎ易く、心地よく研ぐことができます

地鉄にやや粗い傷が付きますが
鋼はピカリと光るほどに研ぎ上がります

この状態でも充分仕事で使えます
中継ぎとして文句なしです

最終仕上げは京都梅ヶ畑・木津山産の戸前を使いました
硬口ですが、木津山産独特の滑らかな研ぎ感で

硬い割にはよく反応します

地鉄の傷もほぼ消すことができます

これも文句なしの最終仕上砥です

刃先の拡大画像

2014年8月15日金曜日

秀弘鉋と青紙スーパー鋼鉋 削り比べ

今回出来上がったMaria Harp のブリッジを削る際に
せっかくだから、ということで
鉋の削り比べをやってみました





削った材は深いカール杢のブラック・ウォルナット





使った鉋は先日手に入れた
安来鋼・青紙スーパーの寸三(身幅55mm)
銘は一応、モザイクをかけ伏せておきます


Maria Harp 3台分のブリッジ材を荒削りしましたが
刃先はほとんど変化ありません
切れも軽くさすが青紙スーパーといったところでしょうか・・


これは同じサイズの古い鉋
秀弘銘寸三(身幅57mm、炭素鋼)


こちらも刃先はほとんど変化なし


3台分のMaria Harp のブリッジを削った鉋屑



この作業をやっている最中に
注文していた中野武夫(武則二代目)氏作
東郷鋼(犬首)の鉋(寸三・身幅55mm)が届きました


早速これを使えるようにしなければ・・
ということで、この続きは後日・・


2014年8月14日木曜日

早くも丹波霧 台風の影響か・・


以前紹介した楽只堂年録に「ありがたい」を発見!
元禄十年(1697年)は江戸時代初め頃 


楽只堂年録(日記)を書いた柳沢吉保よしやす




これは昨日の朝の様子(工房の近く)ですが
午前7時、早くも丹波霧が発生・・例年になく早い・・
台風で驚いたのか


オニフスベが顔を出していました







こちらは工房裏の様子
甕に植えている木瓜の木の花に蟷螂が遊びに来ていました

2014年8月12日火曜日

柾目で使う青砥を板目で活用 適材適所・・

昔の職人さんが使っていた青砥(中砥)を入手
おそらく茨城県産の助川砥と思われます
一般的に、青砥は柾目使い(仕上砥は板目使い)ですが
これは板目で使われています
かなり硬い石質ですが、研ぎ減って
中央部が凹んでいます
板目使いされていたのが意図的かどうかは
分かりませんが
柾目面の厚みもあまりないので
このまま使ってみることにしました


これまで使われてきた
凹んだ面を平にするのは大変なので
このように反対面を研ぎ面にし
木の台に接着しました


両側の様子


新たな研ぎ面の様子
筋は当たりません
かなり硬いので研ぎ汁はあまり出ませんが
研ぎ応えはかなりあります


中研ぎの最終段階として充分使えます
丹波産の硬口の青砥に見られる針気はほとんどなく
粒度はよく揃っています
以前、京都の和束産青砥を紹介した際に少し述べましたが
青砥の柾目面は研磨力はありますが
その分研ぎ傷が深く、針気も出やすい感じです
それに比べ板目面は柾目面に比べると滑らかな研ぎ感で
使い方によっては、それなりの効果を得ることができそうです



研いだ鉋身は新潟与板の舟弘鉋「天慶」銘(青紙鋼)
身幅4.3cmの小鉋です


その後の仕上砥ぎの様子
まず山口県産杭名砥の蓮華巣板を当てましたが


1分も研がないうちに鋼の傷がほぼ消えました






そして中山産の黄板で最終仕上げ




これも1分も研いでいません
中研ぎから含めて5分ほどで研ぎ終えることができました
これには大変助かります


小鉋で三分研ぎ(研ぎ面の幅が約9mm)の
影響もあると思いますが
中研ぎで研ぎ傷を細かくしていると
仕上砥ぎが大変楽に行えます




中研ぎに使った天然砥石
右から粗めの沼田・虎砥(粒度約#400)
中央は次に使った浄教寺砥(粒度約#600)
左は今回手に入れた青砥(粒度約#1500)




以上の砥石を使って
これらの小鉋3枚を研ぎ上げるのに15分ほどで済みました