2015年2月8日日曜日

古い仏像の内部 そして生反り小刀の柄を仕上げる

知人からバラバラになった古い仏像を見せてもらいました
寄木造りなので鎌倉時代以降ということになりますが
古くても室町時代といったところでしょうか・・

内部の刃物の痕に
興味が湧きます・・

明るい色の部分は
後に補修されたのでしょうか・・

鋸の挽き痕も見られます


こちらは昨日紹介した
生反り小刀の柄

握り部分を成形して

プラネットカラーで
オイル・フィニッシュ


出来上がり

2015年2月7日土曜日

ヨガ・マットと生反り小刀の柄

ヨガ・マット よかねェ~
近所のホームセンターで木炭を探していたら
ヨガ・マットなるものが目に入った・・
ヨガ・マットてなん・・?と思って説明書を見たら
文字どおり、ヨガをするときに使うらしい・・

この上に寝たらヨガをしなくてもヨガをした効果があるのだったら
買おうと思ったが、どうもそうではないらしい・・
これは独りヨガりであった・・

じゃが、まてよ・・これは仕事に使えるカモ・・と思って
買ってみたら、楽器の滑り止めとして重宝しそうでアル

いま使っているもの(画像の青い方)は網状になっていて
場合によっては網状でない方がいい場合があるので
使い分けるといいカモ・・

こちらは天水Takamiさんが鍛えてくれた
生反りNamazori小刀

安来鋼(ヤスキハガネ)白紙1号の2本を
柄に挿(す)げることにした
材は欅の端材

比較的安価で切れは素晴しい
しかも軟材から堅材まで対応してくれる優れもの
全鋼でも研ぎは比較的楽に行える


ここのところ刃物の柄の接着には
このスティック・ボンドばかり使っている


今回のものは身は抜き・差しができるようにした


明日柄を持ちやすいように削って仕上げる

2015年2月4日水曜日

羅生門銘・寸六鉋を仕事で使う

1日に紹介した羅生門寸六鉋を
仕事で使ってみました
まずギターの響板として使う
30年ほど寝かせた
ドイツ・スプルースSpruceを荒削り
長年寝かせたスプルースは
木細胞中のミネラル分の
結晶化が進んでいて
刃先が磨耗しやすいのですが
この鉋はほとんど変化はありませんでした
これには驚きました・・

次にギターの裏板として使う
メープル材Mapleを荒削り

荒削りながら、逆目はほぼ止まっています

ギター1台分の響板と裏板を
荒削りしましたが

刃先はまだまだ健全です
通常の鉋でしたら、この時点で
切れが止むものがほとんどなのです・・

刃の研ぎ角度は約26度
刃先部分をややハマグリ状に
研いでいるので
実質は27度位はありそうです

さらにギターのネック材として使う
セドロ材を荒削り

セドロ材は石気を含んでいるので
これも刃先が磨耗しやすい材なのですが

さんざん荒削りをやり
刃先はさすがに白く磨耗していますが
まだ切れは止んでいません
かなりの永切れです

その後、深い逆目のローズウッドを
荒削りしてみました

荒削りながら、深い逆目も
ほぼ止まっています
文句なし

2015年2月3日火曜日

天水さんが鍛えてくれた生反り小刀 

天水さんから生反り小刀が届きました
どれも素晴しい切れです

生反りは槍鉋(やりがんな)の小さなもので
日本では弥生時代から使われているものです
刃の形状、反り具合など無数の種類があります

先端の反りがもう少し欲しいところですが
鋼の厚みに余裕があるので
研ぎで修正できる範囲です


使われた鋼は安来鋼・白紙1号が2本と
スウェーデン鋼 K120(高炭素鋼)が2本
切れの軽さは白紙1号が優れている感じです

この「生反り」は主に19世紀ギターの
ライニング削りに使いますが
この作業は1台分削るだけでも
かなり手に負担がかかり、切れ軽さは重要なのです
以前紹介したように、今使っているものが
切れが悪いので、何とか切れの優れたものを・・
と思っていたので大変助かります


穂が短いものをさっそく仕事で使ってみました
縞黒檀の木口削りで
しかも木口の全面が削れない状態なので
刃物の切れの軽さとコントロール性能が要求される場面です

少しでも間違えると楽器本体に傷が付く
シビアな場面でもあります

こういったときは刃物に助けてもらうしかありません
たいへん助かりました


先端に反りがないものでも
このように使い道はあります

2015年2月1日日曜日

羅生門銘寸六を仕立てる 押金(裏金)考

羅生門銘の寸六鉋は
そのままでは
仕事で使えないので
自分の道具として仕立て直した

まず押金の鎬角度を
修正(20度~22度)
強烈な逆目を止めるための
押金(裏金)は
私はだいたいこのように設定している
この鉋は寸六で
荒削りにも使うので
身の刃先の形状に合わせて
両端にアールを付けている

また、鎬面を研ぎ上げて
ピカピカにすると
刃先を利かせる際に
先端が見にくいので
グラインダーをかけたままの
状態にしている

ギリギリまで押金を
利かせるためには
先端の状態を確認しやすい
ということが重要

刃先角度は50度~55度で
先端はできるだけ細くしている

押金の様子

刃先の先端の押さえ具合
強烈な逆目の場合はもっと寄せる

今回手に入れた
羅生門銘・寸六は
押さえ棒の位置が低すぎて
押金の耳を折る余裕が
なかったので
押さえ棒の下部を
ヤスリで磨り減らし
何とかこの状態まで持ってきた
押金の内側と鉋身の裏の
隙間が狭すぎると
刃先の合わせの状態が
確認しにくいのです

鉋仕立てを説明している
本などには
「身の刃先幅を押金よりも
やや狭くし両端の
重なり具合を確認する」
などと書かれていたりするが
この方法は大雑把な
確認の仕方で
初心者には分かり易い
かもしれないが
刃先全体の状態の確認は出来ない
深い逆目を止めるためには
押金をギリギリまで
刃先に寄せるので
刃先全体の確認が必要

そのためには
「木端返し」よりも
押金の先端を確認出来る
ことの方が重要なので
私は木端返しは
ほぼ直角に切っている

因みにこれは
三代目・千代鶴延国こと
落合宇一氏作の寸八鉋ですが
押金は千代鶴延国式と
呼ばれているもので
落合宇一氏考案のもの
身はごく薄く、台の押さえ棒は
両端しかないので
押さえ具合が難しいが
ピッタリ決まれば心地よく
使うことができる
千代鶴延国鉋の
「鉋使用説明書」では
裏金(押金)は出来るだけ
緩く収めるように説明されている

閑話休題
仕事で使える状態になった
羅生門銘・寸六



さっそく欅(けやき)材を荒削り
切れに問題はなく
刃先の持ちも期待できそう

刃先の状態はやや荒れていたが
削り肌には影響は及んでいない

先日紹介した研ぎ上げた状態の
刃先の拡大画像(約100倍)
刃先がやや粗く乱れているが
仕事で使う分には
削り肌に問題はない

試し削り後の様子
堅い欅材なので刃先が
かなりやられているが
まだ切れは止んでいない
これの数倍の価格のものでも
これより劣る鉋は
多く出合ってきたので
これで充分満足

こちらは優れた羅生門銘・寸八

上の寸六とほぼ同じ量を削ったが
刃先の強靭さは
こちらの方が優れている

しばらく仕事で
使ってみようと思います