今はもう絶版となっている
Ludwig Beck ルードウィヒ ベックの
「鉄の歴史」から湖沼鉄に関する記述を
紹介しておこうと思います
湖沼鉄は日本ではほとんど研究がなされていないようですが
古代の鉄に関して大きな示唆を与えているものと思われ
浅井壮一郎著「古代製鉄物語」や
蔵富春成著「古代水辺民の遺産」で
それぞれ言及されています
また、日本刀の研究においても
湖沼鉄が注目され始めているようです参照
日本刀の研究に関しては
俵國一による「日本刀の科学的研究」でも
当時(昭和20年代)、古墳から出土した直刀の分析結果から
多くのものに銅分が含まれているので
古墳時代の原料は鉄鉱石とするのが妥当としています
そのことに関しては、現在では
出土した古代の鉄に銅が含まれている場合は
中国大陸で磁鉄鉱を原料にして炒鋼法で造られたもので
チタン分が多い場合は砂鉄を原料に造られたものと
結論付けられているようです
湖沼鉄は日本では高師小僧とも呼ばれていて
製鉄に関する兵主(ひょうず)神から派生したとされる
ヒョウスベ(河童・カッパ)も湖沼鉄に
関係があるのではないか、という説もあります参照
また、それは鈴石と呼ばれたり
鳴石と呼ばれたりしていますが
これらはみな生物由来の褐鉄鉱で
湖沼鉄の一種と言ってもいいのかもしれません
出版社はたたら書房
以下、ベックの「鉄の歴史」1巻③から
湖沼鉄に関する記述です
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ベックの「鉄の歴史」は1897年に刊行されたものですので
この分析データも当時のものと思われます
参考までに
これは明治43年(1910年)に刊行された
俵國一による著書「鉄と鋼 製造法及性質」ですが
以下、そのなかで紹介されている鉄原料の
分析データを紹介しておきます
赤鉄鉱の成分
表中の満俺はマンガンのことです
磁鉄鉱の成分
褐鉄鉱の成分
炭酸鉄鋼の成分
鉄滓及鉱滓の成分
以下、ベックの「鉄の歴史」に戻ります
以下はその他の記述から
興味深いものを少し紹介しておきます