2022年11月9日水曜日

鉇 銫 鐁 槍鉋 ヤリガンナ


江戸時代中頃の浮世絵画家
鍬形蕙斎が描いた
今様職人尽絵詞の大工の図


その文句の部分の最初の字を

恒和出版から出されている
本の解説では

鉇(ヤリガンナ)としています
どう見てもそう思うのですが

勉誠出版から
出されているものでは

「鉇」を「銫」とし、解説では銫は鉋kannaと同じとしています。銫という字にはカンナとい意味もあるようですが、蕙斎の文字はどう見ても鉇です。ですが、描かれている絵は台鉋を使っているので蕙斎が文字を間違えているか、当時は台鉋のことを鉇と書いていたかどちらか、ということになります。

江戸時代中頃に出された「和漢三才図会」では鉋は「つきがんな」とルビが振ってあります。

またヤリガンナには
鐁が当てられています
真実はいかに・・





また、同じく
江戸時代中頃宝暦五年
1755年に出版された

鉇をカンナとしています



ヤリガンナについては、今様職人尽絵詞の大工のところに書き込まれている文句「鉇yarigannaは鈍きがよく候ぞ」。これは有名な徒然草の第二百二十九段「よき細工は、少し鈍き刀を使うといふ妙観が刀はいたく立たず」を彷彿とさせます。
このことは宮大工棟梁、故・西岡常一氏も同じことを言っていて、氏が槍鉋を初めて作ってもらったとき、鋼haganeが硬く研ぎにくく、その割に切れが悪いということで、試行錯誤の末、昔の和釘を鋼に混ぜて刀工に鍛えてもらったら、ようやく切れのよい鉇が出来上がったということです。



その刃は柔らかく粘りがあり研ぎやすいものだったと西岡棟梁は口にされています。

そのことは私も小刀で
経験してきました
刃物というものは
たいへん不思議です

これは古い刀で作った小刀
日本刀は鋼の炭素分が
木工用刃物の鋼よりも
炭素分が少ない影響か
研ぎやすく、切れも軽い

2022年11月8日火曜日

鏝状鉇 コテ状ヤリカンナ


突然ですが、回る水差し・・
酒を入れる前から
酔っぱらっております・・

こちらは鏝状の鉇
Yarikanna

古いもので 

木工用の刃は
付けられていません

裏はこのような形状
金属加工のバリ取りに使う
キサゲのようにも見えます

取りあえず木工用の刃を
付けてみようと思います
まずグラインダーで成形


ザッと研ぎ上げ


セドロ材で試し削り




2022年11月7日月曜日

ポルトガルギターCD そして淡路夢舞台


ポルトガルギター奏者
月本一史氏のCD

本場ポルトガルの伝説的奏者が一堂に取り上げられ
作曲された代表曲が次々と登場
ここ数日、仕事をしながら聴かせてもらっていますが
何度聴いても飽きない名演です
そして、ああやっぱり人間には音楽が必要なんだな
と再認識させられたのです

ヴィンテージ楽器が
使われています


そして、こちらは
ポルトガル奏者 湯浅隆氏と
マンドリン奏者 吉田剛士氏
の二人による音楽ユニット
から新発売の童謡CD
トレモロココロ

このCDでは湯浅氏は拙作の
19世紀ギター ラコートタイプ
伴奏してくれています
CDだけ聞くと
使われているギターが
19世紀ギターだとは
分からないと思います
使ってある弦も含めて
そういったことを狙った


吉田剛士氏のマンドリン


話題は変わって
行ってきました淡路夢舞台









2022年11月6日日曜日

琵琶の歴史について 琵琶法師


江戸時代の職人絵
「琵琶法師のはじまり」が
書かれていて最初に
「琵琶はもろこし漢の公主禹孫といふゑびす国へ嫁し給ふとき、道すがら馬上にて弾ずるためにつくりいだせるものなり」
と説明されています

それに関して
中国漢代(紀元前1世紀頃)の王妃、王昭君は政略結婚のため匈奴に嫁がされたという逸話から、道中手慰みに馬上で弾けるような特殊な琵琶(おそらく小型で軽い琵琶と思われる)を持った像や絵などか残っています。


江戸時代初め加納派の画家
久隅守景が描いたもの

ところが実際はそのような記録はなく、他の逸話にそのようなことが書かれているので、王昭君もそうであったであろうという想像で馬上琵琶の像や絵が残されているようです。

江戸時代初期の画家
加納探幽の作品


江戸時代中頃の画家
河村文鳳が描いたもの

2022年11月3日木曜日