2014年10月4日土曜日

青紙鋼の義廣銘寸四の作者が判明


以前紹介した青紙鋼が使われた義廣銘の寸四鉋(身幅60mm)が
新潟与板の刃物鍛冶・小熊寅三郎氏によるもの
ということが判明しました
このときに入手した義廣銘の小鉋のことを
越後与板打刃物 匠会に問い合わせたところ
中野氏は義廣銘については承知していない
ということでしたので困っていたところ
新潟で刃物業を営んでいる御方からご教示頂きました
以下、その御方からのご教示の内容ですが

「この鉋刃は、小熊寅三郎さんのものです
すでにお亡くなりになり、15年は経つと思います
青紙1号鋼で、クローム・タングステンが多い古い鋼かもしれません
火花テストで、暗い赤色の火花が出るのでは!?
この鍛冶屋さんの鉋は、「まだ無いか!」と
亡くなってからも問い合わせが有りました
この銘の問屋さんは、すでに営業しておりませんが
訳あって在庫は飛散していますので、
見つけられたらお買い得だと思います
この銘の鉋は、寸8より寸6・寸4が多く作られたようです」
ということでした




小熊寅三郎氏の鉋身は
背に氏独特の縦筋が入っているということでした
そのことを認識して、こうして二枚の背を比較してみると
左の中野武夫氏作とされる小鉋も
同様の縦筋が確認できます
中野氏は義廣銘のことは承知していないということなので
この小鉋も小熊寅三郎氏が鍛えたものかもしれません

以前紹介した削り比べでも永切れ具合は
ほぼ同様のものがあり
どちらもかなり優秀なので、その可能性は大と言えます





2014年9月28日日曜日

2014年9月27日土曜日

山梨県産羽黒砥と八木ノ島産合砥



山梨県産 羽黒砥
粒度は約800




仕上砥ぎの中継ぎとして使った京丹波・八木ノ島産合砥




羽黒砥の後、1分ほど砥いだ状態


次に滋賀県高島 相岩谷産の戸前を使ってみました


1分ほど砥いだ状態


最終仕上げとして中山産の黄板で研いでみました


これも1分ほど砥いだ状態


細かく研ぎ上がり
地・刃ともに冴えます
さすが中山産といったところですか・・

2014年9月24日水曜日

蔦 ツタで金輪寺茶入を作る

今年の春に手に入れていた蔦・ツタ(参照)で
金輪寺茶入を作ってみました
以下その工程


蔦は一見柔らかそうな感じでしたが
ナタで削ってみると、かなり粘りがありました
上の画像のように鉋をかけても粘りを感じます


導管はかなり荒く見えます




鉋で大まかに形成
右はフタにするものですが
こちらは野晒しにしていた影響か
色が褐色になっていました


穴あけは30mmのフォスナービットを使い
その穴を丸ノミと小刀、そして丸彫刻刀で広げていきました










先曲がりの丸ノミで底をさらった状態


フタを合わせる


これで木地の状態で出来上がり


適当に着色しセラック・ニスを塗りました


仕事の合間に行い、2日で完成
所要時間は3時間ほど











抹茶を入れてみました
茶杓も自作のもの



因みに左は21歳のときに自分で漆を塗った煎茶入
これは欅・ケヤキで作られていて
木地の状態で売られていたものを購入し
山に自生している漆から樹液を採集
それを精製(なやし、くろめ)し
透き漆、黒漆、弁柄漆を作り、塗ったもの
外側表面は「拭き漆」という技法を試してみました


内部の内蓋には表に黒漆、内側には弁柄漆を溜め塗り


外蓋の内部の黒漆にシワがありますが
これは漆を乾かす際の湿度が高過ぎたためと思われ
下手な塗りです
他は何とかうまくいきました
以上、若気の至りでありました・・