2015年1月14日水曜日

昔の職人さんが使っていた会津刃物 重輝銘 櫛刃鉋を入手

昔の職人さんが使っていた会津鉋を入手


身幅42mmほどの一枚刃ですが


刃先が櫛刃になっています


櫛刃鉋は西洋独特のものと思っていましたが
日本にもあったのか、とちょっと驚きました
手工道具全盛期の道具カタログにも
櫛刃鉋は載っていないので
おそらく特注で誂えられたものと思われます

このページでも櫛刃鉋は日本には全く存在しない
と説明されています


櫛刃鉋は杢の深いメープルや堅木削りで
主に使われたものと思われますが
西洋ではヴァイオリン製作で有名な
ストラディバリも使っていたようです
また、19世紀ギターにも裏板や横板の内側に
櫛刃の削り痕が残っているものをよく目にします
ですから西洋ではかなり古くからこの鉋が使われたようです




とりあえず研ぎ上げてみました


堅木削りにも使われるので鋼は東郷鋼かな・・
と思っていましたが玉鋼でした
これにもちょっと驚きました


研ぎ角度は刃先から1mmほどを約29度に研ぎ直しました


刃口も広すぎる状態なので


補修




さっそく試し削りをやってみました


削った板は深い杢のメープル材
荒削りをやってみましたが
切れは通常の刃先よりも軽い感じはあり
一枚刃でも逆目はほぼ止まっています




台は白樫ですが、どういう訳か黒く塗られています
水には溶解しないので墨ではなく
ステインのようなものが染み込ませてある感じです


櫛刃の削り痕は通常はスクレーパーで削り落とすようですが
普通の寸八鉋で削ってみました
せっかく荒削りで会津鉋の重輝を使ったので
仕上げ削りは重正銘(鋼は玉鋼)を使ってみました


艶のある美しい削り肌で
逆目もきれいに止まっています
このように平面を削る場合は
スクレーパーで苦労して削るよりは
通常の仕上げ鉋を使った方がかなり楽ですが
ヴァイオリンなど曲面削りには
スクレーパーが向いているでしょう


試みに木口を荒削りしてみましたが
なかなか具合がよい感じです




試し削り後の刃先の状態
ほとんど変化はありません
当面、木口の荒削り用として使ってみようと思います

他の会津鉋はこちらでまとめて紹介しています
参照下さい

2015年1月13日火曜日

偲石とドイツのDICTUM

偲石(しのぶいし)をゲット
ドイツ産(時代はジュラ紀との説明がある)


樹木のような模様が出ているが
化石ではなく自然にできた模様らしい
模様の成分は酸化マンガンと説明されている
それにしても不思議である・・
そういえば砥石にも似たようなものがある・・
蓮華とか紅葉とか・・


反対面の模様



こちらは今日ドイツのDICTUMから届いたカタログ


表紙の写真が先日小刀の紹介でUPした
写真に似ているのにビックリ・・



それにしても、楽器用の刃物に日本製が多いのに驚かされる・・






2015年1月11日日曜日

古い会津刃物、重春銘鉋身を特殊小刀に作り変える

昨日紹介した重春銘の鉋身を研ぎ上げました


グラインダーで形成した際には分からなかったのですが
鋼の厚みに余裕があるので


先端はもっと反らせてもよかったかも・・




研ぎに使った砥石群
右から荒研ぎ用人造砥石(粒度#400程度)
その左は産地不明の天然中砥(粒度#600ほど)
その左も産地不明の中砥(粒度は#(800~1000)
その左は丹波亀岡・岡花産青砥(硬口・粒度#1200ほど)
左の2丁は仕上砥で、右は丹波亀岡丸尾山産・天井巣板(内曇)
左端は京都梅ヶ畑・中世中山産戸前


さっそく試し削り
最初に軟材から、30年ほど寝かせたヨーロッパ・スプルース
玉鋼独特のザラつきがあるものの切れは悪くない


次にやや堅めで粘りがあり
深い杢と逆目が交じったウォルナット材
スプルースを削るよりは切れは軽く感じる
削り肌も問題なし


次に粘りの強いソフト・メープル材
これも問題なく削ることができる
他の優れた小刀に比べると、切れはやや重いかなという感じ


最後に堅木でしかも粘りの強い
ホンジュラス・ローズウッドを削ってみた
こういった堅く粘りが強い材に威力を発揮してくれる


柄が付いた3丁は日本刀の短刀から
特殊小刀に作り変えたもの
左端は藤井刀匠作の短刀
その右は江戸時代後期頃と思われる短刀
右端は室町時代後期頃と思われる短刀


これらと比較しても切れ具合や刃先の強靭さは
ほとんど遜色ありませんが
堅木を削った際に刃こぼれがあったので
ちょっと焼戻しました(約180度で30分ほど)





それから、先端の反りがもう少し欲しいところなので
先端だけ裏を研ぎ直しました


研ぎ直した状態


これで仕事で使えそうです


ということで、さっそく楽器の修理・修復で使ってみました


修理を終えた状態


特に、こういった削りの際に
先端が反り上がっていると大変助かるのです

マリアハープ弾き初め会 そして会津鉋重春

昨日1月10日に兵庫県三木市にある
画廊風らんで行われた
マリアハープ教室の新年会
無事に終了しました



こちらは新たに入手した重春銘の古い会津鉋の身


特殊鉋の身と思われますが






これを両刃(もろは)とし
楽器製作で使っていければ・・
これはグラインダーで荒削りした状態
刃の研ぎ角度はどちらも約26度


刃を付けるのは先端から2cmほど
先端を生反り小刀のように僅かに反らせた
長さ約12.5cm、最大幅2.4cm


昨日はグラインダーによる成形で終わり
今日研ぎ上げる予定

2015年1月9日金曜日

工房の様子 製作中の19世紀ギターのネックを接着

製作中の19世紀ギターのボディとネックを接着
加工の様子は以前YouTubeに動画をUPしておりますので
そちらを参照下さい


当時のギターはヴァイオリンと同様に
ネックにストレートのホゾを作り
ボディに少し埋め込んで接着するやり方と
バロックギターのようにボディにネックをベタ貼り接着する
方法が主に行われていました(参照下さい)




接着完了








こちらは修理中のヴァイオリン




数日前に出来上がったマリアハープ(右)
ブリッジの肉付け具合と位置を変更したもの




背面部の材質は右はホンジュラス・ローズウッド
仕上げ削りの様子(YouTube動画) 
左はウォルナット材