2013年12月15日日曜日

ZDP189全鋼小刀を試し研ぎ

ZDP189全鋼小刀を研いでみました

まずグラインダーで
刃渡りの角度を鋭角に修正し
手持ちの人造砥や天然砥石を
いろいろと試してみました

数多くの砥石の中で最もよく反応したのは
以前紹介した、内藤商店から出されている
人造砥石のPAPA2000でありました

研ぎ上がりもこれで充分で
仕上砥で研ぐ必要がないくらいです


刃先の拡大画像
右上から左下にかけて
45度ほどに付いている傷が研ぎ傷で
その途中にささくれのようになっているのも
研ぎ傷と思われますが
何故こうなったのかは判然としません
この鋼はハイス全鋼に比べると
かなり柔らかい感じがします
そのこともあって
研ぎ汁に含まれた研磨剤の
影響を受けやすかったのでしょうか・・

動画でもお分かりのように
天然中砥はすべて反応せず
天然仕上砥で反応したのは
この2丁だけでした
左は京都・新田産巣板で
右は福井県産若狭砥

これは新田産巣板で研ぎ上げた状態
刃先部分と鎬しのぎ部分の
艶が違いますが
これは何故でしょうか・・
一般の刃物のように鋼と地鉄が
鍛接されているわけではないのです
焼き入れ具合が違うのでしょうか・・

PAPA2000よりも
光っているように見えますが・・

拡大してみると
PAPA2000よりも深い傷が付いています
これには驚きました・・

こちらは福井県産仕上砥

研ぎ上がりは新田産巣板よりもやや曇っていますが

研ぎ傷は新田巣板よりも浅く
PAPA2000よりも深い感じです
砥石と研ぎというのは
ほんとうに不思議です・・

2 件のコメント:

源 信正 さんのコメント...

刃先と鎬の艶の違いですが、
グラインダーで角度調整の際、金属が硬いため、切断(粗削り)に時間がかかり、また、先端部が薄いために刃先部の組織変化がおきたのではないでしょうか。
水で急冷したのなら焼きが入り、自然冷却なら焼き戻しの状態になったのではないでしょうか。
匂いとかニエがでると面白いのですが。
まくれ の件ですが。
金属の粘りが高いために起きたからではないでしょうか。
固い上に粘りがあるので、よく切れて長持ちすると思います。

楽器製作家 田中清人 さんのコメント...

コメントありがとうございます。
鉋を研ぎ上げてみましたが
小刀と同様で、ハイス鋼や燕鋼に比べると
柔らかい感じでした。
台に挿げ、試し削りをやってみましたが
これも小刀同様、刃先の磨耗が早く
スプルースのような軟材を削るのは
小刀のように切れの重さは感じませんが
削り肌が荒く、仕事で使うには無理があります。
削り比べの動画UPしました。
http://kiyond.blogspot.jp/2013/12/zdp189_20.html
http://kiyond.blogspot.jp/2013/12/zdp189_4059.html
小刀にグラインダーをかける際は
いつものように焼き戻りには充分気を使ったので
焼きが戻ったということはないと思います。
グラインダーのかかりは硬いというよりは
粘りがある、とう感じでしたが
削る時間は通常の鋼とほとんど変わりません。