2017年3月16日木曜日

篠山の木工職人が使っていた鉋

先日紹介した丹波篠山自然塾の
大塚さんからお借りしていた天然砥石を返すため
大塚さんのお宅に伺いました
大塚さんは木工も本格的になされていて
轆轤Rokuroの設備まで自作されているのには驚き
漆塗りの作品を頂戴しました
感謝
5年ほど前に製材したという漆の木の端材も頂いた
漆材はまだ削ったことがないので楽しみ・・

また、篠山の木工職人が使っていた古い鉋を
しばらく使わせてもらえることにもなりました
使い込まれて身がかなり短くなっているので
気に入って使われてきたものと思われます
たいへん興味が湧きます

銘は「高砂Takasago」
寸六(身幅65mm)の一枚刃鉋
ラベルに「木口Koguchi一枚鉋」と書かれてあります
木口削り専用として使われていたのでしょうか・・
この銘についてご存知の方は
ぜひご教示願います
グラインダーをかけると
炭素鋼系の火花が飛びました




台はいい風合いに変色していて、風格を感じます
ほとんど狂っていないのには驚かされます


かなり使い込まれ
鋼Hagane部分は残りわずかです



刃先は理想的なアールが付けられています
裏出しの具合や砥ぎ上がりの状態を見ても
かなりの腕の職人さんだったものと想像されます 

刃角度は24度以下
昔の鉋はこのような刃角度のものが多いですね

研ぎ直すに当って
まず裏出しを行いました

裏出しは比較的容易ですが
あまり無理をしないように心がけました

一枚刃鉋で、身も短くなっているので
裏押しは行わず
この画像の砥石を使って砥ぎ上げました

これは硬口の天然中砥
群馬県産砥沢・虎砥を目起こしをし
砥汁を残したまま研いだ状態

裏からの刃先の返りが顕著です

これは仕上砥、大平産戸前で研いだ状態

まだ刃先の返りが残っています
かなり粘りのある鋼で
焼き入れも甘めなのでしょうか・・

その後、これらの砥石を使って砥ぎ上げました
下段左から、荒砥ぎに使った人造砥
シャプトン「刃の黒幕」grit320
その右の黄色いものは同じく「刃の黒幕」grit1000
そして「刃の黒幕」grit1500
右から2番目は天然砥石の硬口・備水砥
そして右端は仕上砥ぎに使った若狭砥(田村山産)

若狭砥で砥ぎ上げた状態
やはり甘めの焼きが入っているためか
砥ぎは容易で、ここまで楽に研ぐことができました

刃角度が24度と低いので
刃先部分を蛤Hamaguri刃に砥ぎ
先端部分だけ26度ほどに砥ぎ上げました

地鉄Jiganeは縞状の模様があり美しい
地沸Jinie風の金属組織も確認できる
さらに緻密に砥ぎ上げるともっと美しくなると思う

刃先の状態は文句なしです
(約100倍の拡大画像)

さっそく試し削りを・・
頂いた漆材を削ってみました
YouTube動画参照下さい

動画撮影後の状態

材は中庸の堅さでやや粘りがありますが
心地よく削ることができます

削り肌も美しい

もう一枚の端材も削ってみました

刃先はほとんど変化なし
永切れが期待できます

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