2012年2月23日木曜日

平家琵琶の鶴首の継ぎ部分を仕上げる


製作中の平家琵琶の鶴首(ネック)
継ぎ部分を仕上げました
このホゾ部分を甲板(裏板)に差し込んでから
甲板の仕上を行います

材は、琵琶を注文して頂いた方の依頼で
庭木として植えていたカリンの木を使っています
庭木が枯れ、伐採したものを
大切に保管されていたということです
そういった木ですから、私も心をこめて
大切に加工していきたいと思っています

バンドソーで挽いたら、鶴首の裏に
木の芯が出ました・・
最後の仕上削りのときに角を丸くするので
それで無くなればいいのですが・・

八音抄では、鶴首を含め
各部材の処理と音との関係について
次のように記されています

甲・腹厚く、覆手こはく、頸太き琵琶は音小さくて、
三・四の絃はよく鳴りて、一・二の絃は鳴らず。腹薄く、覆手柔らかに、頸細くなりぬれば、一・二の絃は音勢あれども、三・四の絃鳴らず。すべて声かしこき琵琶は、一・二の絃少しおろかなり。声おろかなるは三・四の絃ならず。一・二の絃はよく聞こゆ。ただし遠くて悪し。されば腹は厚くてくつろぎ、覆手は薄くて硬く、頸は細くて強きが良かるべきやらむ。

天然砥石の不思議


いま平家琵琶の甲板である紅カリン材を集中的に削っているので、ハイス鉋を頻繁に研いでいます。
そういうことなので、先日手に入れた大谷山産の仕上砥も使ってみたのですが、いま一つ、うまく仕上がらないのです。
通常の鋼の鉋でしたらピカピカの鏡面に仕上がるこの砥石も、ハイス鋼では砥目の筋が目立ち、荒い砥石で研いだようになるのです(燕鋼も同様です)
鋼によってここまで仕上がり具合が違う砥石は他にはあまり知りません・・。そこで、たまたま目に付いた京都産の敷白で研いでみたら、これはまた大谷山産とは反対に、荒い研ぎ心地なのに仕上がりは緻密で、砥目が見えないくらいまで仕上がったのです。
まったく、天然砥石というのは不思議です・・
動画参照下さい。

動画で最初に使っているのは
中砥である伊予砥
粒度は約1000


次に三河産白名倉
粒度約1500


そして仕上砥石の
京都産・敷白




参考までに
これは同じ砥石で仕上げた
通常のノミです
(安来鋼・青紙系)


2012年2月22日水曜日

平家琵琶の甲板(紅カリン材)をハイス鉋で削る

You TubeにUPした動画の画像を
紹介しておきます

どちらの鉋もハイス鋼(HSS steel)で
右は身幅50mmの平鉋
左は身幅43mmの四方反り鉋
この鉋は自分好みに緩く反りを付けたものです
堅木専用の鉋にしているので
刃口には金属を埋め込んでいます


削っている木は紅カリン材
文字どうり、削り屑は紅色をしています

三種の鉋で平家琵琶の腹板を削る


三種類の小鉋を使って平家琵琶の腹板
タモ材を削ってみました


使った鉋は、左から「も作」、「長弘」、「善作」
どれも身幅43mの小鉋です
も作と長弘の鋼は炭素鋼系、善作は燕鋼です
どの鉋も優れていますが
比べてみると、明らかに違いがあります
燕鋼は強靭で永切れしますが
炭素鋼の優れた鉋に比べると切れが重いです

削った後の刃先の状態
これは「も作」

長弘

そして善作 
どの鉋も永切れするので
これくらいの削りでは刃先はほとんど
変化はありません


2012年2月21日火曜日

大谷山産仕上砥を使って石社鉋を研ぐ


You TubeにUPした研ぎ動画
画像を紹介しておきます
研いでいる鉋身は石社(いしこそ)氏作・寸八
鋼は炭素鋼系です

最初に使っているのは中砥の
丹波亀岡・岡花産青砥(参照
粒度は約#1000








次に産地不明の中砥(目〆系)
粒度は約#2000







次に仕上研ぎの中継ぎとして
丹波亀岡・丸尾山産八枚層のもの







次に京都・新田産巣板








そしてこれは20日に砥取家さんのところで
入手した大谷山産、戸前層の浅黄
砥取家さんではカミソリ砥として売られていて
名倉が必要と説明されていますが
これは全く必要なく、まったりと研ぐことができます
小振りのコッパですが鏡面仕上げ用としては
トップクラスの砥石です