2014年11月17日月曜日

助川砥を含め5種類の青砥を研ぎ比べ

茨城県日立市で産出されていた
助川砥(青砥)を手に入れました

このようなラベルが
貼られています

ラベルの天側が
柾目になっているものと
思われますが
寸八鉋を砥ぐには狭すぎるので
板目面を研ぎ面にして
使ってみました

せっかくなので
他の産地の青砥と
研ぎ比べをやってみました
TouTube動画参照下さい

やや硬めですが、よく反応します

板目面の影響か研ぎ傷が浅く
全体にピカリと光る感じに
研ぎ上がりました

これは動画ではやっていませんが
柾目面でも研いでみました

板目面とはずいぶん違った
研ぎ上がりで
ムラのある荒い傷が付き
中砥というよりは
荒砥のような感じです
私としては、この面では
研ぐ気になりません・・
やはり、以前紹介したように
このように粒度にムラがあり
荒めの青砥は板目面で
使った方がいいような気がします

また、昔の大工さんのなかには
行きつけの砥石店に
新しい砥石が入荷すると
その一つを試し
良いものだったらまとめて
大量に買って行った
ということを聞いたことが
ありますが
その理由が分かるような
気がします

動画で次に使ったのは
同じく茨城県産の
大泉砥とされるものですが
その後、この砥石は
栃木県茂木町深沢産のもの
ということが判明(参照
丹波亀岡産の佐伯砥saeki-to
よく似ているのが
興味深いところです


上の助川砥よりは細かめの石質で
粒度は揃っています

次に使ったのは栃木県産の


やや粒度にムラがありますが
上の大泉砥とほぼ同じような
研ぎ上がりです

そして青砥の本場とも言える
京丹波・亀岡産の青砥


丹波産青砥によく見られる
針気が気になります
粒度は上の大泉砥と
ほほ同じ感じです

丹波産青砥


粒度がよく揃っていて
針気はほとんどありません
素晴しい研ぎ上がりです
このような青砥には現在では
ほとんどお目にかかれません

2014年11月16日日曜日

産地不明天然中砥二種試し研ぎ 

新たに入手した産地不明の天然中砥
福島県のリサイクルショップで手に入れたものです

中央が新たに手に入れたもの
左の熊本県産備水・赤虎とも
右の群馬県産沼田・虎砥とされるものとも
違った雰囲気があります

岐阜県産のものだとか岡山県産のものだといった
意見も頂きましたが、真相はいかに・・
ご存知の御方はぜひご教示願います

そしてこれは但馬(兵庫県北部)の
リサイクルショップから出たもの
かなり使い込まれて4面とも凹んでいます

左の山梨県産羽黒砥とも右の熊本県産備水・白砥とも
違うような感じですが

面出しをして汚れがなくなると質感が明らかになり
これは備水砥かな、という気がします

試し研ぎの動画をYouTubeにUPしました
これは最初に使いましたが

粒度がよく揃っていて、たいへん研ぎやすいものでした
おそらく備水砥でしょう


次ぎはオレンジ色のもの
これもよく反応し研ぎやすい中砥です

粒度がよく揃っていて針気がないので
即戦力として使えそうです


仕上砥ぎの中継ぎとして使ったのは
以前紹介したことのある、さゞれ銘砥さんからお世話になった
中世中山産の天井巣板です

この仕上砥はどのような刃物にも
ザクザクと反応し、守備範囲の広い砥石で


地鉄にはやや荒めの傷が付くものの
鋼はピカリと鏡面近くまで研ぎ上がる
不思議な仕上砥です



最終仕上げとして使ったのは
福井県産若狭砥・田村産の戸前(参照下さい
黒い筋は悪さをしないものの
動画では無意識についつい避けています・・




砥いだ鉋は身幅30mmの小鉋で
接着した後のギターの補強材を
両側から肉落としをするためのものです


2014年11月13日木曜日

小熊寅三郎鉋と佐野勝二鉋削り比べ YouTube動画の画像

以下紹介する画像もYouTubeにUPしたもので
画像紹介を忘れていたもの
新潟与板の鉋鍛冶、故・小熊寅三郎作「羅生門」銘寸八と
東京鉋の名工、故・佐野勝二作「昭豊」銘寸八とで
削り比べを行ったもの
鋼はどちらも昔の安来鋼・青紙と思われます
羅生門銘・寸八
これは若狭砥を採掘している天然砥石尚さんから
お世話になったもので、昔の職人さんによって
使われていたものです
台も全体に汚れていたので鉋をかけて
汚れを取り除きました


刃口の赤樫の埋木も緩くなっていたので補修




裏出し・裏押しの後、研ぎ上げた状態


鎬面は刃先から2mmほどを約28度で研ぎ直しました


天然砥石尚さんからお世話になったので
敬意を表して若狭・田村砥で最終仕上げを行いました
これは、以前紹介した黒い筋が全く当たらない不思議な仕上砥




研ぎ上がりの状態から
鋼はかなり強靭そうな印象を受けます


動画撮影前の状態


動画撮影後の状態
右は佐野勝二作「昭豊」銘・寸八




動画では強烈な逆目と深い杢の入った
Walnutウォルナット材を削ってみました
これは羅生門・寸八


昭豊銘・寸八


動画撮影後の刃先の状態
羅生門・寸八はほとんど変化はありません


こちらは昭豊・寸八
きれは止んでいませんが、刃先が白く磨耗しています
佐野勝二作「昭豊」寸八は手持ちの鉋の中では
ハイスや超特殊鋼を除いて、トップクラスの
強靭さを誇っていたのですが(参照
小熊寅三郎作「羅生門」寸八に軽くいなされてしまいました
驚きました・・脱帽・・