2015年4月14日火曜日

古い短刀を木工小刀として使う

焼け身で鈍(なまく)ら
になった古い短刀を
手に入れ仕事で使う
特殊小刀を作ってみました
形状は先般手に入れた
備中鍛冶の
中西佑水氏の小刀と
同様のものに形成しました

焼きが戻っていても
グラインダーにかけると
精緻で細かい炭素鋼系の
火花が飛びました
これまでの経験から
このような火花が飛ぶものは
小刀として優れているものが
多いので
期待が持てそうです

焼き入れをやり直した
状態(参照

やや低めの温度で
焼きを入れたので
焼戻しは160度ほどで
10分やってみました

焼戻し後、両側から同様の
角度で刃角度が30度ほど
になるように
研ぎ上げましたが

研いだ感じでは
かなり強靭な焼きが
入っている手応えが
ありました


柔らかめの材で
試し削りをやってみましたが
かなり切れが重いので

再度、約190度で20分ほど
焼戻しました
これでかなり切れが軽くなり
削り肌も美しくなりました

さっそく仕事で使ってみました

なかなか良い具合です
その後
硬い本黒檀の木口削りを
やってみましたが
木口削りの切れも
軽く行えました

本黒檀の木口削りを行った後の
刃先の拡大画像(約180倍)
刃先にほとんど
変化はありません
研ぎ上がりの状態も良く
かなり練れた粘りのある
鋼のような印象を受けます
このような刃先は
現代製の玉鋼では
あまり見られないような
気がします
この短刀は、時代は古くても
江戸時代の中頃と思われ
日本刀の出来としては
凡庸ですが
それでも刃物としてかなり
優れているのに
正直なところ
驚かされました・・

こちらは先に紹介した
佑水銘の小刀
鋼は青紙スーパーだと
いうことですが
切れはこちらの方が
さらに軽く
これにも驚かされた
次第であります・・

アールがきついところは
この幅の小刀では
やや削りづらいので
もう少し刃幅を
狭くしたいところです


2015年4月12日日曜日

ブリッジ三態 筑前琵琶 19世紀ギター 小型モダン・タイプ


修復中の筑前琵琶
欠落している覆手の装飾部品の加工




このように接着して完了


こちらは19世紀ギターのブリッジ


切れ端の形に何故か惹かれるものがある・・


ギター3台分のブリッジ出来上がり





膠(ニカワ)接着


メープル仕様の特注モダン・タイプ
弦長630mm


こちらもMaple仕様の19世紀ギター
ラコート・タイプ 弦長630mm


これは修復中の19世紀ギター


裏板の割れ部分の矯正もうまく行き
補強材を接着し直しました
この後、埋木をしてニスの補修を行います


ヘッドの形状とネックの継ぎ部分を見ると
19世紀ギターに詳しい方は
ラベルの銘が判るかもですね・・

2015年4月10日金曜日

篠山も寒い・・桜と山芍薬 そして野の花

工房近くの一本桜は
そろそろ散り始めている
写真は満開の時のもの


もうこんなに伸びています


花の蕾も・・


ほんとにこんな実が生るのかな・・
種類があるのかな・・
ま、楽しみにしておきましょう


これは工房裏の草むらの花々


2015年4月7日火曜日

茨城県産赤沢砥を使って粉末ハイス鉋を研ぎ上げる

先日、5日に紹介した茨城県産赤沢砥を使って
粉末ハイス鋼(powder HSS)の鉋を研いでみました
YouTube動画参照下さい

動画で最初に使ったのは
現在中砥ぎの主力として使っている
沼田・虎砥の一種とされている天然中砥

この砥石は刃物を選ばず良く反応してくれます
粒度は粗めですが研ぎ傷は浅いので
後の研ぎが楽に行えます

ハイス鋼は中砥ぎをよく行っていないと
仕上げ研ぎに苦労するので
次に先般手に入れた伊予砥を使ってみました

刃先部分はだいたい前段階の研ぎ傷が消えました

次に5日の重利二寸研ぎにも使った
三河名倉(八重ボタン層と思われるもの)

これで次の仕上げ研ぎがかなり楽になります

最初に使ったのは程よい硬さの赤沢砥

1分ほど研いだ状態
粉末ハイス鋼にも充分威力を発揮してくれます
通常ならば、この研ぎ上がりでしたら仕事で使います

動画で最後に使った硬めの赤沢砥


これも1分ほど研いだ状態
地・刃ともにさらに冴えました

刃の研ぎ角度は約28度
ハイス鉋は刃角度を高く(例えば30度)すると
本黒檀などの堅材を削った際
刃先が滑って削れない場合があるので
私は刃角度は通常の鉋と同じにしています

刃先の拡大画像(約180倍)
粉末ハイスの刃は強靭なので仕上砥の傷が付き難いのか
粗い金属粒子に紛れて傷が見えないのか
通常の鋼の刃先とは随分と様子が違って見えます

こちらは同じ2種類の赤沢砥で研ぎ上げた
古い会津鉋、重利二寸(鋼は玉鋼)
これも最終仕上げは1分ほど研いだ状態



さっそく仕事で使ってみました
指板材(本黒檀)を削っているところ


台は市販されている状態で
鉋身の仕込み角度も通常と同じで
ほぼ八分勾配(約39度 参照)になっています


ニカワ接着完了。
こちらは特注小型モダン・タイプ、弦長630mm

こちらは19世紀ギター、特注ラコート・タイプ
弦長630mm